今こそ注目したい90年代の名車たち
1990年代に製造されたクルマは、お世辞にも新しいとは言えないが、クラシックカーと呼ぶほど古くもない。一見すると、地味で目立たない存在にも思えるかもしれない。1980年代のホットハッチ、魅力的なホモロゲーション・スペシャル、弾丸のように速いスーパーカーなど、輝かしい先輩たちの後に続くのはそう簡単なことではない。
【画像】輝かしい1990年代の名車たち【初代エリーゼ、996型911、E46 3シリーズ、アルファ156を写真で見る】 全120枚
しかし、今こそ90年代のクルマに注目すべきではないだろうか。フューエルインジェクション、ABS、パワーステアリング、エアコンなどが普及し、信頼性、安全性、使い勝手、快適性が向上した時代だ。要するに、日常的な使用に耐えるだけの現代的な実用性とパワーを持ちながら、適度な古さと希少性を兼ね備えた、興味深い存在なのである。
そして何より、偉大なる80年代のクラシックカーとは異なり、90年代の後輩たちはまだ手の届くところにある。
今回は、欧州市場を中心に、1990年代に製造・販売されたモデルを振り返る。すべてを取り上げることはできないので、本稿では1996年から1999年までにデビューしたモデルに焦点を当てたい。
シトロエン・ベルランゴ・マルチスペース(1996~2013年)
ゆったりとした乗り心地と巨大な荷室を持つベルランゴ・マルチスペースは、本来ならもっと大きな成功を収めるべきクルマだった。しかし、そのためにはフランスの商用バンをベースにしていることを気にしないオーナーが必要であった。
英国などではよほど期待感が薄かったのか、初期モデルには5ドアすらない状態。しかし、時が経つにつれて、より実用的に、そしてより魅力的になっていった。新型ベルランゴも良いが、あえてこちらを選ぶのもアリ。
フォードKa(1996~2008年)
このKa(カー)は単なる小型車ではなく、「ニューエッジ」デザインによってフォードの新時代を開拓したクルマだ。
標準モデルは最高出力69psのデュラテックエンジンを搭載するが、スポーツモデルのSportKa(スポーツカー)は95psにパワーアップし、トランスミッションとサスペンションはプーマのものを流用している。どちらのモデルでも、とても楽しく、果てしなくチャーミングだ。
初代ロータス・エリーゼ(1996~2001年)
1996年、新世紀を迎えるにふさわしいスポーツカーとして誕生したエリーゼは、以来20年間にわたってロータスの経営を支えてきた功労車である。発売当時のエンジン出力は120ps程度しかなかったが、800kgを下回る車両重量が代えがたい利点となっており、今日でも十分に楽しむことができる。
中古車では、購入前にフロントのクラムシェルにダメージがないか、ローバーKシリーズエンジンのヘッドガスケットを最近交換しているかどうかをチェックしよう。
メルセデス・ベンツSLK R170(1996~2004年)
美しく魅惑的だが、特にスポーティというわけでもない、コンパクトなオープンカー。スーパーチャージャー付き2.3L 4気筒エンジンの肉厚なパワーと、当時としては斬新な格納式メタルルーフが多くのドライバーを惹きつけた。
要するに、スプリンターではなくクルーザーなのだ。よくできたクルマで、中古車もまだたくさん残っているが、錆には注意すること。
ポルシェ・ボクスター 986型(1996~2004年)
ポルシェがボクスターを発売したとき、少なくとも欧州では、ライバルが皆ひっくり返った。当初は、安くて扱いやすい911の弟分として見られていた。しかし、結果的にはロータスやTVRをはじめとする欧州ブランドを苦しめることになる。
2.5Lエンジンを積んだポルシェのエントリーモデル、986型ボクスターは、やがてスポーツカーとして各地の市場に定着。ライバルとの比較テストでは、20年以上にわたり上位に君臨している。ほとんどのドライバーは、上級装備と高出力に抗えずにボクスターSを買い求めるが、「素」のモデルでも十分に楽しめる。
中古車では、IMS(インターミディエイト・シャフト・ベアリング)とRMS(リア・メイン・シール)の状態に注意し、それらが修復された個体を探すこと。
ルノー・メガーヌ・セニック(1996~2003年)
いまやコンパクトMPVを世界的に展開しているメーカーはほとんどない。このカテゴリーを発明したのはルノーだと言えば抗議の電話がかかってくるかもしれないが、少なくとも欧州では、メガーヌ・セニックはコンパクトMPVというものを普及させ、十分に通用するのだと証明したと言っても過言ではない。
TVRサーブラウ(1996~2003年)
英国のスポーツカーブランドが、初めて自社のV8エンジンをライトウェイトスポーツカーに搭載したとき、これぞ「TVR」というモデルが生まれた。TVR唯一の「2+2」クーペ、サーブラウである。
4.0L 6気筒、4.2L V8、4.5L V8が用意され、バルブクリアランスを定期的にメンテナンスしていれば4.5Lが最も信頼性が高いとされている。中古車では、プラスチック製のボディパネルの凹み(修理が難しい)や、シャシーの腐食がないかどうかを確かめよう。
フォルクスワーゲン・パサートB5(1996~2005年)
5代目パサートは、大衆車ブランドのフォルクスワーゲンでもプレミアムな上級車を作ることができるんだと世界に示した。アウディA4とプラットフォームを共有し、紛れもない90年代風のスタイリング、上質なインテリア、そしてライバルがどうしたらいいかわからなくなるほど多くのエンジンとドライブトレインの選択肢を用意している。
現在、W8エンジンを積んだモデルは一角獣のようにレアな存在だが、20バルブ1.8T、VR5、V6(一部は四輪駆動)など、見つけるのがそれほど難しくないものも多い。
5代目ホンダ・プレリュードVTi(1996~2000年)
ルックスは万人受けするものではなく、インテリアは若干プラスチッキーだが、この不世出のホンダ・プレリュードは、最高出力200psを発揮する素晴らしい2.2L VTECエンジンを搭載し、回すのがとにかく面白いクルマだった。
また、5代目プレリュードには斬新な4WS(四輪操舵システム)が搭載されており、アンダーステアの影響を軽減しながら、軽快な走りを実現している。
ヒョンデ・クーペ(1996~2002年)
1990年代、韓国車は一般的に高く評価されていなかった。ヒョンデ(当時はヒュンダイ)がこの愛想の良さそうなクーペを人々の生活に溶け込ませることに成功したのは、ある種のクーデターとも言える出来事だろう。見た目もよく、走りもよく、全体的によくできたクルマであり、その後のヒョンデの成長を助けた。
アルファ・ロメオ156(1996~2007年)
華やかな156は、その魅惑的なルックスでドライバーを虜にした。シャープなステアリングとツインスパークエンジンは、より優れた159が登場するまでは、多くのドライバーの心の中に地位を確立していた。しかし、チーズで出来ているかのような脆さが玉に瑕。欠陥のあるダイヤモンドだが、宝石であることに変わりはない。
初代アウディA3(1996~2003年)
A3は、高級ハッチバックというジャンルにスポットライトを当てたクルマだ。コンパクトなボディにアウディのエンブレムがつけられ、当時は新車で買うのにそれほど高くはなかった。
今日、最新モデルとも古いゴルフとも異なる欧州のハッチバックを探しているなら、初代A3をチェックされたい。嫌味がなく、毎日のドライブに華を添えてくれるだろう。走りを求めるならS3だ。
2代目セアト・イビサGTIクプラ・スポーツ16v(1996~1999年)
スペインで生まれた爆竹のようなクルマ。日本未導入のホットハッチのため、欲しいと思っても探すのは難しいだろう。もしハンドルを握るがあれば、粘り強いハンドリングを楽しむことができるはずだ。
プジョー406クーペ(1997~2003年)
プジョー406クーペは、しばしばライバル車よりも所有にお金がかかるし、インテリアもどちらかというと質素なものだ。しかし、エクステリアは素晴らしく、走りも良好。面白いV6エンジン搭載車も選ぶことができる。今、良い個体を買えば、後悔はしないだろう。
BMW 3シリーズ E46(1997年~2006年)
E46が登場する以前から3シリーズは存在していたが、コンパクト・エグゼクティブカーとしての地位を確立したのはE46だ。内外装のデザインとフィールには、今日でも活きるテーマが設定されている。どのモデルもドライビングは良いものだが、M3は特にグッとくるものがある。
シトロエン・サクソVTS(1997~2003年)
タフで俊敏、そして手頃な価格の軽量ハッチバック。欧州ではサーキット用に改造されたものが多いため、希少価値が高まっている。1997年から2期に分けて製造され、どちらもヘルシーで信頼性の高い1.6Lエンジン(最高出力120ps)と5速トランスミッションを搭載している。
900kgしかない車体に対しては十分パワフルで、今日で言えば1200kgの車体に150psのエンジンを積んだものに相当する。それゆえ最高速度204km/h、0-97km/h加速7.9秒を実現したのだ。
ポルシェ911 996型(1997~2004年)
エンジンを初めて水冷化した世代ということもあり、996型の評判は低くなっているが、それはあくまで他者の評価である。賢く買えば、他の世代ほど高い金額を払うことなく、一流の911が手に入る。最後に道路でこのクルマを見たのはいつだろう?今となっては、結構レアな存在になっているのではないだろうか。
初代フォード・プーマ(1997~2001年)
初代プーマは、球根のような大きな目、くびれたウエストライン、丸みを帯びたリアエンド、曲線を描くサイドウィンドウなど、非常にキュートなルックスが特徴のクーペだ。そして、見た目だけでなくその走りにも注目したい。基本構造は質素なフォード・フィエスタのものだが、1990年代のフィエスタの走りに悪いところはなかったから、期待できないはずがない。
張りのあるスプリング、太いアンチロールバー、硬いリアアクスルなどにより足回りは強化され、運転するのが本当に楽しい。1.7Lエンジンでは最高出力125psを発生するなど、かなり特別なものだった。新車の時点で素晴らしかったプーマは、間違いなくクラシックカーとしての地位を確立している。
中古車における最大の敵はやはり錆で、アーチ、シル、トランクフロア、フロントガラスの周囲に崩れかけた金属がないかどうかチェックしよう。壊れやすいボトムエンドにも注意が必要。エンジンがノッキングしている個体には近づかないように。
日本では知名度は低いが、欧州では今だに愛されている名車で、フォードも新型コンパクト・クロスオーバーにプーマの名を与えている。
初代シトロエン・クサラVTS(1997~2000年)
クサラVTSが欧州で発売されたとき、シトロエンは、最高出力166psの2.0L 4気筒エンジンのおかげで、1万8000ポンド(約300万円)以下で買える最速のクーペであると喧伝した。
街乗りに最適とは言い難いが、良い道路ではシャープなステアリングと流体のようなシャシーで生き生きとした走りを見せてくれる。306 GTi-6の廉価版といったところだろうか。
ボルボC70(1997~2005年)
90年代のボルボというと、箱型のセダンやワゴンというイメージが強いかもしれないが、そればかりではない。2ドアのC70は、ボルボもスタイリッシュなクルマを作れるんだということを世界に示したモデルだ。味のあるコンバーチブルであり、快適で、広々として、かつ安全なC70。その魅力は深い。
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みんなのコメント
昔はxシリーズがというよりSUVがここまで増えるとは思わなかったな