カナダ・モントリオールのジル・ビルヌーブ・サーキットで開催されたF1第9戦カナダGP。決勝レースではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が勝利を挙げ、角田裕毅(RB)は14位でのフィニッシュとなった。
例年通り、今年のカナダGPも不安定な天候となり、予選日こそ完全ドライコンディションでのセッションとなったものの、初日に続いて決勝日も雨混じりの1日となった。
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ピットレーンがオープンになる頃には路面は完全ウエット。レコノサンスラップで各ドライバー、各チームは、インターミディエイトタイヤとウエットタイヤの両方を履き、初日とも異なるサーキットのコンディションをチェックした。
決勝前のセレモニーでは小康状態となっていた雨は、フォーメーションラップ開始と共に降り始め、ほとんどがインターミディエイトタイヤを装着。後方のハース勢のみがフルウエットタイヤを選んだ。
ピットレーンスタートを選んだキック・ザウバーを除く18台がグリッドに並び、赤く灯ったシグナルが消え、全70周のレースの幕が上がった。
スタートでは、ポールシッターのジョージ・ラッセル(メルセデス)がまずはホールショットを決めた。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、ランド・ノリス、オスカー・ピアストリ(ともにマクラーレン)、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)がそこに続いた。
ただ路面の雨量が多く、インターミディエイトタイヤ勢はペースを上げられず。逆にハースの2台が1周目から怒涛のポジションアップを果たし、ケビン・マグヌッセンは3周目にアロンソ、ピアストリを交わして4番手に浮上した。
ただ、この雨はすぐに上がり、雲の切れ間からは青空も覗くように。6周目になるとインターミディエイトタイヤ勢のペースがフルウエットタイヤ勢を上回っていった。
マグヌッセンは7周目終わりにピットへ飛び込み、インターミディエイトタイヤへ交換。チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグも、そこから数周遅れてピットでタイヤを変えた。
10周目になると、サーキットの所々で徐々にドライの走行ラインが確認できるように。フェルスタッペンはレース序盤から首位ラッセルの1秒以内を追ったが、17周目にまさかのコースオフ。逆に3番手ノリスの接近を許した。
そのノリスは路面コンディションが急速に回復する中でペースアップ。20周目の最終シケインでフェルスタッペンを抜き去ると、翌周には同じ最終シケインでラッセルも攻略した。そして、ラッセルはノリスに抜かれた際にコースオフ。フェルスタッペンにもポジションを明け渡すこととなった。
すると25周目にローガン・サージェント(ウイリアムズ)がターン5でスピン。ウォールにリヤを当ててコース上にマシンを止めたことで、翌周にセーフティカー出動が宣言された。
ほとんどのドライバーがここでピットイン。再び雨が降るという予報から、新しいインターミディエイトタイヤへと交換した。
ノリスはピット入口直前でセーフティカー出動が宣言されたことで、後続ドライバーから1周遅れでのピットインとなり、フェルスタッペンとラッセルの後ろ3番手でコースに戻ることとなった。
なお角田、エステバン・オコン(アルピーヌ)、バルテリ・ボッタス(キック・ザウバー)がステイアウトを選び、それぞれ7番手、9番手、12番手にポジションを上げた。
前戦モナコGPの勝者ながら、予選で振るわなかったシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、決勝でもエンジントラブルを抱え、厳しい戦いを強いられていた。その状況を打破するべく、ギャンブル戦略でなんとハードタイヤに変更。再び降り始める雨をスリックタイヤで耐え凌ぐことを狙ったが、30周目のレース再開後はコース上に留まるのやっとという状況……もう一度インターミディエイトタイヤに戻すことを強いられ、最終的にはリタイアを選んだ。
首位フェルスタッペンから5番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)までがひとつの集団として抜け出す中、35周目になるとサーキット上空から雨雲は去り、再び路面はドライアップ方向に。インターミディエイトタイヤよりもスリックタイヤのペースが優勢となるチェンジオーバーのタイミングが近づいた。
そして43周目を境に、多くのドライバーがスリックタイヤへと履き替えた。ここではミディアムタイヤとハードタイヤで、ドライバーによって選択が分かれた。
2番手フェルスタッペン以下がピットに飛び込む中、首位のノリスは47周目まで引っ張った。フェルスタッペンの前でピットアウトすることはできたものの、比較的濡れていたピットロード出口ではトラクションに苦しみ、オーバーカットは失敗。フェルスタッペンがここで再びトップに立った
ノリスはタイヤの温まりの問題か、ラッセルにも一度ポジションを明け渡すも、ラッセルがシケインで挙動を乱した隙を見逃さず、51周目に2番手を奪い返した。
ただ、54周目に2度目のセーフティカーが出動。今度はターン6でスピンしたカルロス・サインツJr.(フェラーリ)にアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)が巻き込まれる形で、2台が交錯したのだ。
アルボンはウォールに叩きつけられ、その場でリタイア。サインツJr.は走行が可能だったものの、そのままピットにマシンを戻してリタイアを選んだ。
なお、この接触の前にはセルジオ・ペレス(ペレス)がクラッシュによりリヤエンドを破損してマシンをガレージに戻しており、これで5台がレースから姿を消した。
このセーフティカー出動のタイミングを利用して、メルセデス勢などがピットイン。ラッセルがミディアムタイヤ、ハミルトンがハードタイヤを履いた。
フェルスタッペン、ノリス、ピアストリ、ラッセル、ハミルトン、アロンソ、ランス・ストロール(アストンマーティン)、角田、オコン、ダニエル・リカルド(RB)というトップ10のオーダーで、レースは59周目から再開された。
フェルスタッペンはリスタート直後から飛ばし、逃げに打って出た。それを追いかけたいメルセデス勢だったが、マクラーレン勢が行く手を阻む形に。タイヤがフレッシュなラッセルは3番手のピアストリに対してオーバーテイクを仕掛けるも、最終シケインで接触してしまった。
はじき出されたラッセルに代わってハミルトンがピアストリを66周目に攻略。ラッセルは5番手まで一度ポジションを下げたものの、履いているのはフレッシュなミディアムタイヤと上位陣では1番良い状況……ピアストリを抜くと68周目の最終シケイン進入でハミルトンのインを差して3番手に浮上した。
先頭に目線を移すと、フェルスタッペンは2番手ノリス以下に4秒以上のギャップを保ってファイナルラップを周り、トップチェッカー。過去2年ほどのアドバンテージはないものの、荒れたレース展開に対応し、今季6周目を挙げた。
ラッセルは最後ノリスに0.438秒まで詰め寄るも抜くには至らず3位。メルセデスが今季初表彰台を掴んだ。ただラッセルは、勝てたレースだったかもしれないと、その表情は曇ったままだった。
4位ハミルトン以下は、ピアストリ、アロンソ、ストロール、リカルド、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)、オコンというトップ10だった。
角田は14位でのフィニッシュ。スタートでポジションを下げながらも1回目のセーフティカー出動でステイアウトする英断でポイント圏内を走っていたが、レース終盤にターン9でコースを外れた際、濡れた芝生に足を取られて痛恨のスピンを喫して、大きくポジションを落とした。
なお、角田は決勝前のセレモニーで国歌斉唱に遅刻したとしてスチュワードから呼び出しを受けている。この他にも、接触したピアストリとラッセルが召喚対象となっている。
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