■勝つことを目的に開発する、純レーサー
ヤマハの「YZシリーズ」は、オフロード競技専用モデルでナンバー付きの公道向けモデルとはつくり手たちのアプローチや想いが異なります。競技モデルであるのだから、目指すのは“勝つ”こと。YZシリーズ企画&マーケティング担当の小川尊史さんは「あらゆるお客様を勝者にしたい」と言います。
「こんなのセローじゃない!」 復活を遂げたヤマハ「セロー250」の敵は「セロー」だった
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さらに「勝つというのはレースで勝つこともそうですし、過去の自分自身に勝つこと=成長していくことも大切だと考えています。そうすれば自ずとレースでも勝利できますので、ヤマハはお客様の持つパフォーマンスを最大化させ、目標を達成するためのお手伝いをしていきたいと考えています」と、力を込めます。
成長をサポートするというヤマハの意思表示が明確に分かるのが、幅広いモデルラインナップとステップアップ構造です。モトクロス用の「YZ」は、キッズ用の「YZ65」にはじまり、85、125、250までを2ストロークモデルとし、「YZ250F」と「YZ450F」を4ストロークモデルで用意。さらにエンデューロ用として2ストロークの「YZ125X」、「YZ250X」、4ストロークの「YZ250FX」、「YZ450FX」、「WR250F」、「WR450F」があります。
またファン領域として、子どもが最初に触れるための「PW50」、さらに日本未導入モデルですが、「TTR50」、「TTR110」、「TTR125」、「TTR230」も海外仕様に用意。多様化するオフロード競技やファンライディングにきめ細かく対応し、キッズやビギナー、エキスパートへ向け、レベルアップしていける段階的構造を見事なまでに築いているのです。
見た目にもリレーションシップが取られていて、ファミリーとしてラインナップが設計されているから、キッズやビギナーも「YZ450F」らフラッグシップモデルに乗るトップライダーに憧れ、同じシリーズに乗っていることを誇らしく思えるのです。
■日本専用仕様という強み
オフロードバイクファンの間で人気の高まるクロスカントリー。自然の地形を活かしたダートコースで、ライディングテクニックだけでなく体力や気力、知力なども含めライダーの総合力が求められる長丁場のバイクレースです。
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ヤマハがクロスカントリー向けに専用開発した競技モデルが「YZ250FX」です。マイナーチェンジした2022年型では、エアクリーナーボックスのキャップケースにダクトを設け、流入空気量を増加させることで中高回転域でのパワーアップが図られました。排気側のカムプロフィールが見直され、オーバーラップを減らし、ワークアングルを最適化することで低中速での扱いやすさも向上しています。
バイラテラルビームフレームは、2021年型の「YZ250F」を継承しつつ、タンクレールとダウンチューブの肉厚を最適化。エンジン懸架ブラケットをクロスカントリー向けに見直し、接地フィーリングを高め、ハンドリングを軽快にしています。
また、ライダーの体格や走る環境に合わせた日本専用仕様となっていることも見逃せません。アメリカや欧州のコースは広大で速度域が高い一方、日本はタイトコースが多く、スピードレンジも低めなのです。小川さんはこう言います。
「海外仕様と同じで良いわけがありません。環境に合ったバイクに乗る方が上達も早まります」
「YZ250FX」のプロジェクトリーダー鈴木豪仁さんは、「刻々と変化するコンディションに対応するためにも、よりマシンをライダーの支配下に置けるよう進化しました」と教えてくれました。日本のコースに最適化した国内専用ECU MAPを採用し、日本専用設計としてラジエターファンやセルスターターを多用しても余力のある発電系に強化しているのです。
■スマホで簡単チューニング
さらに「CCU(コミュニケーション・コントロール・ユニット)が搭載され、スマートフォン対応の専用アプリ「パワーチューナー」を使えば、高精度なエンジンセッティングが即座に簡単におこなえます。
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実際に日本のクロスカントリーを走り込む開発ライダー、元ヤマハMXファクトリーライダーの鈴木健二さんや、エンデューロ選手権チャンピオンである内山裕太郎さんらが作り込んだ推奨マップをデフォルトで用意しつつ、オーナー自身によっても燃料噴射量と点火時期をそれぞれ16ポイント調整でき、きめ細やかなセッティングができるというスグレモノ。
車両側にマップを2つ保存でき、走行中にハンドル左のモードスイッチでマップ切り替えも可能。「この難所で!」「疲れたから!!」「ここが勝負どころ!!」という具合に、スイッチでマップを切り替えたらさぞかし楽しいでしょう。
■低速で粘るエンジンが扱いやすい!
「YZ250FX」に乗ってまず感じるのは、極低回転域での粘り強さ。モトクロスコースでのタイトコーナーやエンデューロコースの林間セクションで、歩くようなスピード、停まるくらいにまで速度が落ちきった領域で、エンブレとともにアクセルを少し開けて駆動力を伝えたいという意志にリニアに応えてくれます。
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また、林間セクションへ移動する際など、トコトコとゆっくり走ることも許容してくれるから、2つのコースを行ったり来たりするとき、ありがたいとしか言いようがありません。
多用する低中速は充分にパワフルですが、マイルドでアクセルを開けやすい。そして、高回転まで引っ張ればオーバーレブまで力強く加速。全域で力強い一方で扱いやすさもあり、しなやかに動く前後サスペンションも相まって接地感を絶えず感じます。
滑らかに吹けあがるエンジンフィーリングは、マフラー容量を340cc増加したことも貢献しています。高周波音が抑えられ、不快な音を軽減。長時間のレースでの疲労軽減につながるでしょう。
ブレーキもコントロール性が秀逸です。2022年型ではフロントキャリパーの形状が見直され、30%剛性をアップ。ピストンサイズは22.65mmから25.4mmに大径化され、パッドも面積を25%拡大し、より摩擦力の安定性に優れたものに材質をグレードアップ。ローターはステー部を改良し、パッドとの接触面積を16%拡げました。リアブレーキもローターの形状を見直し、熱による歪みを抑制しています。
ハンドル位置は前へ16.5mm移動し、コーナリングでよりスムーズな体重移動を実現。シフト操作がスムーズになったのは、シフトカム溝形状の見直しによるもの。エキゾーストパイププロテクターの形状変更によって、走行中のフィット感も向上しています。
また、長丁場のレースに対応するべく、振動も少なくなりました。ウエイト位置をギア4歯分位相したバランサーによって、一次慣性力の向きと大きさを調整したためです。こうした重箱の隅をつつくような細かな改良が積み重なってライバルとの差となり、勝ちへつながっていくのです。
■異なる2モデルを比較試乗、特性を再認識
スポーツランドSUGOは国際格式の本格派モトクロスコースと難易度の高いエンデューロコース、両方があります。今回の試乗会ではクロスカントリー競技車の「YZ250FX」の他に、モトクロッサーの「YZ250F」にも乗ることができました。
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「YZ250F」(2022年型)はKYB製の前後サスペンションのセッティングが見直され、減衰力を高めています。車体姿勢が安定し、コーナー進入時などのピッチングを制御。トラクション性能をより向上しました。
エンジンは低速で粘りつつ、高回転ではパワーを伴って気持ちよく伸びます。トラクション性能がよく、リアタイヤの食いつきに神経を尖らせることなくアクセルを開けていけます。
「YZ250FX」とのキャラクターの違いをより実感してみようと「YZ250F」で林間コースにも入ってみました。すると、小さなギャップに弾かれるし、モトクロスコースではほとんど使わなかった極低回転域でギクシャクすることにも気づきます。つまり、狭いエンデューロコースでは、パワーを持て余してしまうではありませんか。
その点「YZ250FX」はラインが選べないタイトな区間もそつなくこなす、よりワイドレンジで、低い速度域でもクラッチ操作をせずにアクセル操作だけでマシンコントロールができ、コンスタントに進んでいける。まるでマシンとうまく会話しつつ、操縦している感覚なのです。
難所にさしかかえれば、サイドスタンドを出して休憩することもできる。シート高は955mmで、「YZ250F」より15mm低く、ストップ&ゴーの繰り返しも容易です。
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前方吸気・後方排気のエンジンやアルミ製バイラテラルビームフレームといった基本構成を同一としながら、まったく違うキャラクターに仕上げていることが、こうして乗り比べるとよくわかります。目指すのは“勝つ”こと。ヤマハ「YZ」シリーズの理念、最新モデルに乗って改めて実感し、舌を巻くばかりでした。
※ ※ ※
2022年型のヤマハ「YZ250F」と「YZ250FX」は生産可能数の上限に達した為、予約受付を終了しています。参考まで、価格(消費税10%込み)は以下の通りです。
「YZ250F」91万3000円「YZ250F Monster Energy Yamaha Racing」92万4000円「YZ250FX」97万9000円
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