両クラスでシリーズチャンピオン決定の場面をみた2025スーパーGT第8戦もてぎ大会では、将来のトップドライバーを目指す若手たちがひしめき合うFIA-F4の最終ラウンドも併催され、佐藤樹(Kageyama YBS Verve MCS4)と鈴木斗輝哉(TGR-DC RS F4)による、チャンピオンをかけたオープニング攻防戦が繰り広げられた。
前回のオートポリス大会を終えて、佐藤が212.5ポイントでランキングをリードし、鈴木に対して23.5ポイントの差をつけていたが、第13戦では佐藤のマシンにトラブルが発生し、フォーメーションラップで動き出すことができず、そのままノーポイントに終わってしまった。一方の鈴木は2位表彰台を獲得し、両者の差は5.5ポイントに縮まって、最終戦での直接対決を迎えた。
【順位結果】2025年FIA-F4選手権第14戦もてぎ 決勝
最終第14戦のグリッドは佐藤がポールポジションで鈴木が2番グリッドだったが、スタートで主導権を握ったのは鈴木。1コーナーでインから飛び込んでいったが、ワイドラインになったところを佐藤がクロスラインで抜き返した。これに鈴木も応戦したが、2コーナーアウト側の縁石の外側に飛び出す場面もあった。
これで佐藤が先頭で3コーナーを迎えるが、鈴木を警戒してインを抑えながら曲がって少しワイドライン気味に。ここに鈴木がクロスラインを仕掛けて4コーナーでは狭いラインを争ったところで、佐藤がアウト側のグラベルゾーンに飛び出て大きく後退し、鈴木も白崎稜(Kageyama YBS Verve MCS4)に抜かれて2番手に下がった。
まさにチャンピオンをかけた意地と意地のぶつかり合いだったが、お互いに5秒加算のペナルティが科されることに。これで鈴木は2番手でフィニッシュし最終結果は4位、一方の佐藤は13番手まで追い上げたが、最終結果は14位でポイント獲得はならなかった。
これにより鈴木が最終戦で大逆転を果たし、シリーズチャンピオンを獲得。パルクフェルメでマシンを降りると、涙が止まらない様子だった。
●パルクフェルメで感極まった鈴木斗輝哉「とにかく無の感情で走っていました」
「僕は正直スタートでしか仕掛ける場面がないと思っていました。僕はスタートをうまく決めて、逆に相手がミスをしたので、サイド・バイ・サイドで並ぶことができました。2コーナーでは並んでいる状態でしたが、彼がスペースを残してくれませんでした」とスタートの状況を振り返った鈴木。
佐藤がトラブルで第13戦を走れなかった分、タイヤ的にアドバンテージがあると見ており、スタート直後の序盤戦に照準を定めていたという。
「昨日の状況を踏まえるとタイヤの違いはありましたが、最初の1~2周は絶対にペースがあると分かっていたので、タイヤが冷えている段階でいかに前に出られるかというところで、3コーナーの立ち上がりでクロスラインをとって4コーナーは、正直ちょっとスペースは厳しかったのですが、ギリギリねじ込んでいきました。結局彼が自分で飛び出してしまったという感じで、両方ともペナルティはもらいましたが、スタートからの流れは個人的には今までのレースのなかで一番だったのではないかと思います」
そんな鈴木だが「本当にスタートがちょっと激しすぎて、自分でも……あまりよく覚えてないです」とのこと。「本当に無の感情で走っていました。『絶対に相手の前に出て、ゴールしなくちゃいけない』という気持ちがもう入りすぎて、アドレナリンが出まくって、あんまり記憶が残っていないです」と語る。
「今日の日のためにたくさん準備をしてきましたし、チームの方々への恩返しもしたかったです。1年間、苦しい時もあったなかで、こうして逆転チャンピオンを獲れたというのは、間違いなく自分ひとりの力ではできなかったので、TGRの方々をはじめ関係者の皆さんに感謝しています」
TGR-DC育成ドライバーのひとりとして、今季はFIA-F4とフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズチャンピオンシップ(FRJ)にも参戦する鈴木。特にFIA-F4は昨年ランキング10位に終わり、今年こそという思いが強かったという。
「チャンピオンを獲るというのは、どのクラスでも難しいことですし、それを背負って2年目も残してもらえて、片岡(龍也/TGR-DCレーシングスクール校長)さんの気持ちを背負って、恩返しの気持ちでレースをしていました。何よりも、自分が来年もっと幅広い活躍ができるようにという意味でもチャンピオンを獲りたかったので、それを成し遂げることができて……信じられない気持ちです」と、FIA-F4王座獲得の心境を語った。
●悔しさを滲ませる佐藤樹「正直、言葉にならないです」
「今日のレースに関して、納得がいっていないところは多いです。木曜と金曜は速さがありましたし『このままいける』という感覚はありました。昨日(トラブルで)止まってしまったこともそうですし……うまく言葉にできないです」
そう語るのは、チャンピオンを逃した佐藤。最終大会のことについて聞くと、悔しさを滲ませながら、スタートの状況を振り返った。
「スタートは僕が少し失敗してしまって、1コーナーのブレーキング勝負で僕がアウト側にいたのですが、鈴木選手がロックアップして外にふくらんでいったので、クロスラインをとって3コーナーまでは僕が前に出られました。3コーナーの進入は僕が若干アンダーステアを出してしまって、鈴木選手がクロス気味で入っていました。僕が半車身くらい前にいたんですけど、接触してしまいました」
「僕的には、4コーナーで1台分を空けていましたし、インをとられてしまったのは僕のミスですけど、僕の方が前に出ていたと思います。4コーナーに関しては僕にできることはなかったので、その部分に関しては納得はいっていないです」
今季は5勝を挙げたほか、2位も5回獲得するという安定した走りをみせていた佐藤。最終大会での2戦連続ノーポイントが響き、最終的にランキング2位となって「ただただ悔しいというか、言葉にならないです」と俯き加減に語った。
佐藤は、11月に行われる第72回マカオグランプリフォーミュラ4ワールドカップに、日本代表としての出場が決まっている。「本当はチャンピオンをとって、気持ちよくマカオに行きたかったのですが、こうなってしまった以上、マカオではやるしかないと思っています」と気持ちを新たにしていた。
すでにマカオに向けてはシミュレーターで練習を積んでおり「すでに何回か走りましたし、これからマカオ当日までにも練習をする予定です」とのこと。
「コースはひと通り覚えましたが、細かい路面の状況は実際に走ってみないと分からないと思っています。あとは山側ですね。シミュレーターで何回もやっていると攻めたくなるのですが、ちょっと(攻めて)行くと、すぐに壁に当たってしまいます。実際にはもっとグリップがないので、そこを集中して、練習からしっかり周回を重ねて、良い結果を持ち帰るように、まずはそこに集中したいなと思います」と初挑戦となるギアサーキットへの印象も披露した。
なお、今回チャンピオンになった鈴木もマカオグランプリのFIA FRワールドカップに参戦を予定している。こちらも目が離せない。
[オートスポーツweb 2025年11月05日]
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