長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価し、ベスト5のドライバーを選出した。今回はサウジアラビアGPの週末を振り返る。
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アロンソとの契約延長を望むアストンマーティンF1。代表は「速いマシンの提供とチームを信じてもらうことが重要」と語る
【2024年F1第2戦サウジアラビアGP ベスト5ドライバー】
■評価 10/10:急なデビューで見事な走り。先輩たちを驚かせたルーキー、ベアマン
オリバー・ベアマン(フェラーリ):予選11番手/決勝7位
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選1番手/決勝1位
F1でこれほど印象的なデビュー戦を見たのは久しぶりのことだ。オリバー・ベアマン(フェラーリ)は、急きょ出場したF1初レースで驚くべき才能と成熟度を示した。ジェッダは、ルーキーをいきなり乗せたくはないサーキットのひとつだが、ベアマンは、わずか22周のプラクティス走行だけで、予選Q3進出まであと一歩のところまでいき、決勝でもエキサイティングなレースを展開して、多くの先輩ドライバーたちを驚かせた。最後の10周、新しいタイヤで背後から近づいてきたランド・ノリスを、ベアマンは、古いタイヤにもかかわらず、寄せ付けなかった。今後注目すべきドライバーであると、思わせる走りだった。
レッドブルが他より圧倒的に速いマシンを用意した時のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、必ず最高レベルのパフォーマンスを発揮する。予選Q3では2周にわたり、ポールポジションに獲得に十分なタイムを記録。決勝では良いスタートを切り、序盤のセーフティカー出動によりアンダーカットされる危険もなくなった。その後は最後までタイヤを管理して走り、無理にファステストラップを狙いにいくようなこともなかった。
■評価 9/10:レースペースは振るわずも最大の結果を出したアロンソ
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選5番手/決勝4位
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選4番手/決勝5位
自信と正確さが良いパフォーマンスの鍵になるジェッダで、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は自分より経験豊富なチームメイト、ノリスを上回った。予選で5番手を獲得した後、決勝ではアロンソに勝って4位をつかんだ。途中、ステイアウトしたルイス・ハミルトンに抑えられ、トップスピードが足りないためにオーバーテイクできなかったが、ハミルトンがピットインするまで待つという成熟度も見せた。まだ24回目のグランプリだったが、この12カ月で彼がどれだけ進化したかが分かる。
一方、今年、史上初の400回出走を果たすベテランフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、チームからのすべての期待を担って走り、最大の結果を出した。予選で見事4番手に入ったものの、彼自身が懸念していたとおり、レースペースは良くなかった。それでも2台のメルセデス、1台のマクラーレンの前でフィニッシュすることはでき、チームが期待した以上の5位という結果を達成した。
■評価 8/10:レッドブルに挑んだルクレール
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選2番手/決勝3位
レッドブルに唯一挑戦したのは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)だった。最初のQ3アタックを、2周の準備ラップで行ったことで無駄にし、フェルスタッペンとの戦いに1周しか使えなかったにもかかわらず、レッドブル2台の間に割って入った。スタートは素晴らしくはなかったものの、ターン2でペレスのマシンのアウト側を通って2番手を維持。しかしRB20のレースペースには太刀打ちできず、ルクレールは3番手に落ち、レッドブル以外のトップの位置で我慢するしかなかった。
【ベスト6以下のドライバーとその戦い】
セルジオ・ペレス(レッドブル):予選3番手/決勝2位
=評価 7/10:チームから期待されたとおりの結果を出したが、昨年のこのコースでのパフォーマンスからは程遠かった。
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選7番手/決勝6位
=評価 7/10:週末を通してチームメイトより速さがあったものの、アロンソにチャレンジすることはできなかった。
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選15番手/決勝10位
=評価 7/10:珍しく予選でケビン・マグヌッセンに負けた。しかし決勝では非常に良い走りをし、ハースに2023年シンガポールGP以来のポイントをもたらした。
ランド・ノリス(マクラーレン):予選6番手/決勝8位
=評価 7/10:予選でピアストリに僅差で敗れた。チームはセーフティカー出動中のダブルスタックを避けてノリスをステイアウトさせ、その結果、ノリスは8位に落ちた。
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選12番手/決勝11位
=評価 7/10:マシンに満足できずにいる状態で、中団を走り、何度か見事なアクションを見せたものの、11位が精一杯だった。
エステバン・オコン(アルピーヌ):予選17番手/決勝13位
=評価 7/10:予選でチームメイトを上回り、トップスピードに欠けるマシンで良く戦った。
角田裕毅(RB):予選9番手/決勝15位
=評価 6/10:サウジアラビアから去る時、角田の心の中にはマグヌッセンへの恨みが残っていたのではなかろうか。予選では非常に印象的な走りをした。一方、決勝ではスタートでポジションを落とし、リスタート直後にはベアマンに抜かれた。
ローガン・サージェント(ウイリアムズ):予選19番手/決勝14位
=評価 6/10:予選ではアルボンに匹敵するペースはなかったが、レースの大部分で中団のバトルに加わっていた。
バルテリ・ボッタス(キック・ザウバー):予選16番手/決勝17位
=評価 5/10:わずか0.072秒差でQ1敗退。決勝最初のタイヤにソフトを選んだにもかかわらず、スタートでポジションをふたつ落とし、後方を走ることになった。
ルイス・ハミルトン(メルセデス):予選8番手/決勝9位
=評価 5/10:W15に機能しないセッティングを選び、ラッセルに敗れる。2022年序盤を思い起こさせる。
周冠宇(キック・ザウバー):予選20番手/決勝18位
=評価 5/10:決勝のピットストップ失敗は非常に気の毒だった。しかしFP3でのクラッシュにより予選で戦えなくなったことについては、自分を責めるしかないだろう。
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選5番手/決勝リタイア
=評価 5/10:予選でオコンに敗れた後、決勝ではギヤボックスの問題により、オープニングラップでリタイアした。
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選13番手/決勝12位
=評価 4/10:予選でヒュルケンベルグに勝った後、決勝では不必要な行為でペナルティをふたつ受けた。それによって、チームメイトのためのレースをせざるを得なかった。
ダニエル・リカルド(RB):予選14番手/決勝16位
=評価 4/10:週末を通してチームメイトにかなわなかった。決勝残り2周で愚かなスピンを喫し、良くない週末がさらに悪化した。
ランス・ストロール(アストンマーティン):予選10番手/決勝リタイア
=評価 3/10:週末の初めと終わりに同じウォールにぶつかった。コース上を走っている時にも、アロンソほどのペースを示せなかった。
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選─番手/決勝─位
=評価 ─:まさにヒーロー。耐えがたい痛みにもかかわらず、2回のプラクティスで走り、手術後24時間で退院し、決勝ではピットからフェラーリをサポートした。
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