スズキ久々の完全新設計モデルがミラノショーで世界初公開! 並列ツイン+スチールフレームのプラットフォームを共有しながら、ネイキッドのGSX-8S、アドベンチャーのVストローム800DEというジャンルが全く異なる2台を放つ! 本記事では特に、久しぶりとなるスズキの完全新型エンジンと、GSX-8Sの先進的な車体について紹介する。
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●文:ヤングマシン編集部(沼尾宏明) ●外部リンク:スズキ
スズキ GSX-8S
―― 【SUZUKI GSX-8S】主要諸元■全長2115 全幅775 全高1105 軸距1465 最低地上高145 シート高810(各mm) 車重202kg ■水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ 776cc 82.9ps/8500rpm 7.95kg-m/6800rpm 変速機6段 燃料タンク容量14L ■キャスター25°/トレール104mm ブレーキF=φ310mmダブルディスク+4ポットキャリパー R=φ240mmディスク+1ポットキャリパー タイヤサイズF=120/70-17 R=180/50-17 ※諸元は欧州仕様
世界初のバランサーが武器だ! スズキ GSX-8S〈エンジン/マフラー〉
完全新設計のエンジンは、スズキのビッグバイクでは非常に珍しい並列2気筒。’80年代にはGS400、現行モデルではGSX250RとVストローム250が採用するものの、401cc以上では’83年のGR650、直近では’04年のGS500F(海外モデル)などごく一部のみだ。
GSX‐8Sでは270度クランクを選択し、90度Vツインと同様の鼓動感とトラクションを狙った。この構成のライバルは多いが、8Sは独自の二軸バランサーが強みだ。
この「スズキクロスバランサー」は量産バイク初のメカ。不快な振動を打ち消し、スムーズな回転上昇を実現する。さらにクランク軸に対して90度に配置することで、エンジン前後長の短縮まで可能にした。
スロットルは電子制御のライドバイワイヤ。出力特性は3パターン、トラクションコントロールは3段階+オフから選べる。双方向クイックシフターは標準装備で、ミッションもあらかじめシフターを見越して最適化した設計だ。
最高出力は83ps。92psのホーネットに譲るものの、8Sは唯一の2軸バランサーで疲れにくく、快適な走りに軍配が上がりそうだ。
前述のとおり、近年スズキは大型向けの並列2気筒を市販化してこなかった。だが、’13年にリカージョン、’15年に2軸バランサー付きのXE7と試作の並列2気筒ターボを公開したように実験を重ねてきた。8Sの開発者によると「パラツインに求められる機能を追求した結果、これらの心臓部とよく似た設計になった」と話すが、長年の研究成果が本作に結実しているのは確かだろう。
◆スズキ GSX-8S エンジン
―― 【不快な振動を消しスムーズに回る】新作パラツインは小型軽量を主眼に開発された。ボア×ストは84×70mmで、ライバルよりロングストローク気味だ。独自の2軸バランサーはクランクシャフトの前と下に90度で配置。効率的に一次&二次振動を打ち消し、エンジン前後長のコンパクト化にも貢献する。下からトルクがあり、上までスムーズに回る特性に仕上げた。 [写真タップで拡大]
―― 冷却経路の入口にサーモバルブを設置し、水温調節するため、水温の安定が早い。オイルクーラーはVストローム800DEと異なる専用品。 [写真タップで拡大]
―― 270度位相クランクの並列2気筒は270~450度の不等間隔爆発。Vストローム250やGSX250Rの並列ツインは180度クランクだ。
―― 爆発間隔は90度Vツイン相当となるため、表に見るようにツブ立った鼓動感や路面を蹴るダイレクト感が得られるのが特徴だ。 [写真タップで拡大]
◆スズキ GSX-8S スズキクラッチアシストシステム
―― クラッチの操作力を軽くし、エンジンブレーキを逃がすスリッパー機能も備えるスズキクラッチアシストシステム(SCAS)。 [写真タップで拡大]
◆スズキ GSX-8S エアクリーナーボックス
―― 【トルクに寄与するボックス】容量6Lのエアクリーナーボックスと吸気管の設計はコンピュータのCAE解析で最適化。強大なトルク発生に貢献し、シート下に配置される。 [写真タップで拡大]
◆スズキ GSX-8S マフラー
―― 【ショートマフラーは専用品!】ステンレス製2in1エキゾーストはセンターパイプに二段階の触媒を内蔵。軽快なイメージのショートマフラーは専用設計だ。 [写真タップで拡大]
◆スズキ GSX-8S 電子制御
―― 【電子制御マシマシ】各部を統合制御するスズキインテリジェントライドシステムを搭載。セルをワンプッシュで始動できるシステムやローRPMアシストも健在。 [写真タップで拡大]
―― 【トラクションコントロールは3段階+オフ】トラクションコントロールは、スピンをある程度許容し、介入度の低いモード1から介入度の高い3まで選べる。オフにすることも可能。
―― 【パワーモードも当然装備】出力特性はA(アクティブ)/B(ベーシック)/C(コンフォート)の3種類から選択。最高出力は変わらない。
◆ターボなしのリカージョン!?
―― 過去のショーで展示された588ccのリカージョンと700ccのXE7は、ともにターボチャージャー付きの並列ツイン。市販されなかったが、後者は270度クランクで2軸バランサーを搭載し、レイアウトも似ている。新型はそのNA版? [写真タップで拡大]
軽量フレームに充実の脚を融合 スズキ GSX-8S〈シャーシ/足まわり編〉
軽量コンパクトな心臓部だけに、これを抱くフレームもシンプルだ。スチール製のメインフレームはエンジンを上部から懸架するダイヤモンド式。並列2気筒はVツインより横幅があるが、エンジン幅にフレームが収まっており、SV650並みのスリム化に成功しているようだ。
トレリス構造のシートレールはGSX‐8S専用のコンパクト設計。横幅を抑えつつ、デザインとしても機能する一石二鳥のパーツとなる。
足まわりは、KYB製の倒立フォークにニッシン製ラジアルマウントキャリパーで武装。国産600~700cc級ネイキッドでは、ホーネットと並んで豪華な装備だ。前後サスペンションはオン向けの安定した減衰特性とし、スポーツ走行からロングライド、タンデムにまで幅広く対応するという。
なお、メインフレームは兄弟車のVストローム800DEと全くの共通。ヘッドパイプも同じだが、キャスター角やホイールベースなどのディメンジョンは各車専用だ。
開発者は「オンロードで狙いどおりにコーナーをトレースするための剛性と、不整地で適度にしなって疲れにくい強度はさほどかけ離れていない」と話す。手の内で扱えるスポーツ性と乗り心地を両立した、懐の深い走りが楽しめそうだ。
気になる価格や国内導入に関しては未発表だが、こちらも大いに期待できそう。本誌予想ではVストローム800DEより早い’23年春頃に国内発売と予想したい!
◆スズキ GSX-8S シャーシ
―― 【軽量シンプル。スリムさも自慢】車体ももちろんオールニュー。エンジンが軽いとフレームも簡素かつ軽量な設計が可能になる。フレームはヘッドパイプを含めて兄弟車のVストローム800DEと共通だが、ピボット軸からエンジンごと起こすことで、キャスター角は3度起こした25度としている。
―― メインフレームは、エンジンの横幅内に収まるスリム設計。シートレールは足を下ろす位置は細いが、後部は幅広くライダーをしっかり支える。 [写真タップで拡大]
―― 【骨格はVストロームと共通】鋼管ダイヤモンドフレームはVストロームと共有。シートレールやねじれ剛性を高めたアルミ製スイングアームは専用設計だ。 [写真タップで拡大]
◆スズキ GSX-8S 足まわり
―― 【KYB倒立+ラジアルキャリパー】130mmストロークの倒立フォークにφ310mmフローティングディスクの組み合わせ。4ポットラジアルキャリパーも備える。 [写真タップで拡大]
―― 【リヤは調整可能なリンク】リヤショックはKYB製のリンク式。フックレンチで手動調整する7段階式イニシャルアジャスターを備える。フロントは調整機構なし。 [写真タップで拡大]
―― 【美麗ホイールも新作】ホイールは軽量で細身スポークの鋳造アルミ製。リヤブレーキはφ240mmディスクと1ポットのピンスライドキャリパーを採用。 [写真タップで拡大]
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