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WTCR:2019年シーズン初戦のレース1でホンダがポール・トゥ・ウィン。新興勢力も勝利奪う

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WTCR:2019年シーズン初戦のレース1でホンダがポール・トゥ・ウィン。新興勢力も勝利奪う

 創設2年目のシーズンを迎えたWTCR世界ツーリングカー・カップの2019年開幕戦が、4月6~7日にモロッコ・マラケシュの市街地サーキット、ムーレイ・エル・ハッサンで開催され、オープニングとなるレース1はエステバン・グエリエリ(ホンダ・シビック・タイプR)がポール・トゥ・ウイン。チームメイトのネストール・ジロラミも3位表彰台に上がり、アルゼンチン・ペアが幸先良いシーズンスタートを切った。

 世界中のあらゆるツーリングカー・シリーズで数多くのタイトルを勝ち獲ってきたスタードライバーたちの新規参戦に加え、元ボルボ・ワークスのシアン・レーシングが新たなブランド“Lynk&Co”とともにカムバックするなど、カスタマー主体ながらファクトリーバックアップの濃度が高まり、熾烈なコンペティションの場になることが予想される2019年WTCR。

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 その注目の開幕戦モロッコで躍進したのは、今季最初のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)で100%のエンジンパワーが解放されたホンダ・シビック勢だった。

 ホンダ陣営のエース格としてALL-INKL.COMミュニッヒ・モータースポーツで2年目を迎えるグエリエリが、今季初の予選でイバン・ミューラー、テッド・ビョークのLynk&Co 03 TCR勢をコンマ2秒も突き放す圧巻のポールタイムをマークしてみせる。

 以下、4番手にジロラミ、5番手にWTCC世界ツーリングカー選手権3連覇のアンディ・プリオール(Lynk&Co 03 TCR)と続き、ホンダ対Lynk&Coの構図が完成。ディフェンディングチャンピオンのBRCヒュンダイNスクアドラコルセ、ガブリエル・タルキーニ(ヒュンダイi30 N TCR)が6番手どまりとなり、昨シーズンから大きく勢力図が移り変わったかの印象を抱かせた。

 さらにレース1を前にフロントロウに並ぶはずだったミューラーのマシンは、予選アタック中に縁石をカットしたことによるダメージでオイルリークが発生。エンジン交換により最後尾グリッドへの降格が決まり、ホンダ勢には優位な状況が整った。

 そのスタートではグエリエリが1コーナーのインをキープしてビョークの機先を制するも、後方ではジロラミがターン3のブレーキング勝負でプリオールに先を越され、その間隙に乗じた2017年TCRインターナショナル王者のジャン-カール・ベルネイ(アウディRS3 LMS)にも先行され5番手にドロップ。

 しかし5周目にそのベルネイとプリオールが1コーナーで接触し、プッシングを受けたプリオールのLynk&Co 03 TCRはワイドラン。ポジションを上げたアウディRS3 LMSだったが、レーススチュワードはベルネイに対しすぐさま5秒加算のタイムペナルティを宣告する。
 そうした後方のバトルを尻目に、首位を行くグエリエリのシビックRはラップタイムペースに勝る優位性を活かし、市街地コースで過度な負担のかかるブレーキやタイヤを労わりつつ、ロングストレート手前のコーナーでは脱出速度重視のラインでストレートスピードを確保して、ビョークを抑え込む老獪なマネジメントを披露。

 18周のレースラップを走破したグエリエリは、2位ビョークとの距離を0.638秒のマージンでコントロールして見事に2019年最初のウイナーとなった。

「こんな特別な気持ちはマカオでの勝利以来だよ」と、喜びを語ったグエリエリ。

「僕の背後にはネストール(ジロラミ)がいて、スタートではともに上位からの戦いができた。この景色を長い間、それこそ何年も前から夢に描いてきたんだ」

「また、テッド(ビョーク)にもおめでとうを言いたい。僕はスタートで少しホイールスピンし、ショートシフトですぐに2速にアップしたんだけど、『テッドが来る』と感じたときには彼はもう僕の隣にいた。でもその瞬間に1コーナーのイン側に辿り着いて、彼はいつものとおりフェアな動きでブレーキングゾーンで勝負を仕掛けてきたけど、僕もディープブレーキングで対抗したんだ」

「もちろんこの結果を望んでいたし、オフの期間も努力を続けてきた。でもマラケシュに到着してからも何を期待していいかまだ掴めていなかったんだ。この素晴らしいチームで2年目を迎え、本当に特別な瞬間になったよ」

 続くレース2でもTCRマシンには厳しい消耗戦の様相となり、フロントロウに並んでのスタートとなったニッキー・キャッツバーグ、タルキーニのヒュンダイi30 N TCRの2台が隊列をリードしていくも、10周目を迎えたところでキャッツバーグのブレーキが突然悲鳴を上げ、ターン10の進入で速度を殺せずバリアにクラッシュ。

 これで4周のセーフティカー(SC)ランとなり、残る6周のリスタート後もマシンを労わってか大きな動きはなく、タルキーニが3秒3のリードを築いて勝利。前日ペナルティで7位までドロップしたベルネイが2位、スタートで前日勝者グエリエリをかわしていたヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR)が3位に入る表彰台となった。
 そして週末最後のヒートとなるレース3は、週末最終イベントの定石どおり荒れた展開となり、自身のWTCR初ポールから出たComtoyou Racingのフレデリック・バービッシュ(アウディRS3 LMS)がスタートで後続に飲み込まれ、その余波を受けた後方でもバトルが勃発。

 KCMGでフルシーズン復帰を果たしたティアゴ・モンテイロとグエリエリのシビック2台がターン5でサイド・バイ・サイドとなり、モンテイロがエスケープをカットしてトラックに復帰すると、そのままバックストレートで並んだホンダ勢のアウト側からエルラシェールが並びかけ3ワイド状態に。続くターン8のブレーキングに向けイン側のグエリエリにスペースを残して行き場を失ったモンテイロのシビックが、エルラシェールのリヤにヒットする格好となり、Lynk&Co 03 TCRはたまらずスピン。

 バリアに突っ込んだエルラシェールのリヤにモンテイロのシビックが突っ込む形となり、オープニングからSC導入の展開に。

 リスタート後もミューラーが隊列を率いるが、レース中盤に突如ステアリングアームのトラブルでスローダウンし、そのままピットへ。背後をフォローしていたLynk&Coのチームメイト、ビョークがトップランナーになると、同じ周回でBRCヒュンダイNルクオイルのアウグスト・ファルファス(ヒュンダイi30 N TCR)もギヤボックストラブルでエスケープゾーンにストップ。

 さらに残り周回が3ラップのところで5番手を走行中だったベルネイのアウディがリヤブレーキを失い、高速ターン7でコントロール不能のままリヤから大クラッシュ。これでSC先導のままレース終了となり、2017年WTCC王者のビョークが新ブランドLynk&Coにデビュー戦初勝利をプレゼントした。

 2位バービッシュに続き、この週末再三のオーバーテイクを披露しながら、つねに上位でレースを戦った2018年TCRヨーロッパ・チャンピオンのミケル・アズコナ(セアト・クプラTCR)が3位に入り、STCCスカンジナビアン・ツーリングカー・チャンピオンシップ昇格組の新興PWRレーシングにとってもうれしい世界戦初ポディウムとなっている。




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