デリカD:5が進化した。外観があまりにもドーンと変わりすぎているのもあり、乗り味にまで関心がいかないなんてケースも。
しかしそこは質実剛健な三菱だけあって、安全性能の向上とともに走破性についても大幅に向上しているという。
スクープ! 2020年の大物新車たち|ベストカー 2月10日号
ミニバンというには憚られるほど悪路走破性の高いデリカD:5。世界でも稀にみるその性能はどのように進化したのか迫ります。
文:国沢光宏/写真:池之平昌信
ベストカー2019年1月10日号
■12年間モデルチェンジなしでも売れ続ける理由
意外に思うかもしれないけれど、2018年三菱自動車で一番売れた登録車(白ナンバー)は12年間フルモデルチェンジしていないデリカD:5だった。なぜか?
優れた悪路走破性持つ3列シートミニバンを探すとD:5しか存在しないからである。加えて6年前にミニバン初のクリーンディーゼルもラインナップさせ、燃費のよさもD:5の価値を高めたと思う。
本来ならもっと早い時期にモデルチェンジするべきだったろうが、リーマンショック以後の三菱自動車は徹底的にお金を使わなくなった。
このあたり、コストカットと新型車の開発両方を同時に進めたゴーンさんの経営再建策とずいぶん違う。とはいえさすがにD:5も厳しい。
もはやこれまで、というタイミングで大きなテコ入れをしてきたワケです。
大きく変わったのは3点。まず写真を見てすぐわかる通り外観だ。「ダイナミックシールド」と呼ばれる新世代の三菱車に共通するフロントデザインだ。
新型D:5の意匠ときたら、批判的な意見もたくさん出るほど徹底的に頑張った! ネットの反応見ると「やりすぎ」と思っている人、少なくない。されど私は素直に「いいね!」と思った次第。
アジアで発売され大人気になっているエクスパンダーやトライトンを見慣れていたためか、新型D:5を見た瞬間「カッコいい」と感じたほど。
おそらく皆さんも慣れれば違和感なくなることだろう。むしろ目立って面白い。今回はフロントだけの変更だったが、同じ雰囲気でボディ全体を作ったら一段と魅力的になるかもしれません。
次回作を楽しみにしておく。
走り出してすぐわかるのがエンジンの改良。従来型D:5に搭載されていたディーゼルは、イマドキの乗用車と思えないほど賑やかだった。
普通に走っていてもディーゼル特有の音を伴い、アクセル開ければカリカリというノック音出す。アイドルストップなしのため、信号待ちもキンキンカリカリ状態でした。
新しいD:5で走り出すと、新開発のエンジンになったのかとカン違いするほどジェントルになった。
強いて言えばマツダのディーゼルと比べ高回転域の伸び(パワーと考えてもOK)が足りないものの、それ以外ほとんどモンクなし。
ATは6速から最新の8速になっている。もちろんアイドルストップ付いた。もう少しパワーが上がったら100点です。
■ライバルはずばりCX-8になるだろう!!
走りやいかに? 新しいデリカD:5に乗ってすぐ感じたのは「ボディのしっかり感が一段と上がりましたね!」。これまでもデリカD:5って悪くなかった。
なんせランエボXと同じボディ下半分の構造を使っていますから。ただダンパーの質感が低く、雑味や雑振動で損をしていたように思う。
今回フロントサスの取り付け部や、リアダンパーのサイズアップなど行った。
同じようなブラッシュアップを受けたアウトランダーPHEVの乗り心地が明らかによくなったのと同じく、デリカD:5も大きく改善された。
ステアリングギアボックスの改良も効いているらしく、ビシッとまっすぐ走る! エンジンフィール含めいいクルマ度が決定的に違う。
「100万円くらい高いクルマになった感じ」と表現したらわかりやすいかもしれません。
デリカD:5のストロングポイントである悪路も試してみた。パジェロのような本格的なクロカン4WDにこそ届かないが、乗用車ベースのSUVなら充分互角に勝負できるレベル。
アンダーガードの材質変更のため最低地上高185mmと従来型の210mmより少なくなってしまったけれど、実質的な悪路性能は低下していないそうな。トラコンの制御もバッチリです。
以上、大幅な進化を遂げたD:5のライバルを挙げるならCX-8になると思う。スライドドア&3列目シートの居住性を重視するというなら、新しいD:5の競争力は高いです。
ボディも一回りコンパクトで日本の道路事情だと扱いやすい。総合的に見ればCX-8の性能に若干届かないものの自動ブレーキだって付いたし、サードシートはD:5のほうが広い。
購入を考えるなら大いに迷ったほうがいいです。
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