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頑なに拒むフェラーリ「SUV」の呼び名 プロサングエに大谷達也が試乗 理由、明らかに

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頑なに拒むフェラーリ「SUV」の呼び名 プロサングエに大谷達也が試乗 理由、明らかに

プロポーションのために骨格を見直した

イタリア北部のスキーリゾートで、およそ半年ぶりにフェラーリ・プロサングエと再会した。

【画像】4ドア・4シーターのフェラーリ かっこいい? 詳細イメージ【現地から】 全68枚

太陽の下で初めて見たそのプロポーションは、実に美しい。見る角度にもよるが、1589mmの全高を意識させることなく、クルマ全体が低くうずくまっているように感じられる。

これは、スポーツ系ラグジュアリー・ブランドが手がけるSUV全般にも見られる傾向ではあるが、そうしたモデルにありがちな「ボディを低く見せるデザイン上のギミック」がプロサングエには見当たらない。デザインの自然な成り立ちのなかで、低いスタンスを無理なく作り上げているのだ。

事前のプレゼンテーションで、チーフデザイナーのフラヴィオ・マンゾーニは「美しいプロポーションとするために、アーキテクチャーを徹底的に見直した」という主旨の言葉を語っていた。

アーキテクチャーが決まれば、ホイールベース、ホイールのサイズ、全高、全幅などが決まり、全長や前後オーバーハングもおおよそ決まる。

おそらく彼らは、全長およそ5mのボディを用いて、1.6m近い全高をできるだけ意識させないプロポーションを作り上げようとしたのだろう。

そのために重要だったのが、最大で23インチのホイールであり、3m近いホイールベースだったのだ。

さらにいえば、前方に向けてすっきりと伸びたフロントノーズ、Aピラーを強く倒すことでロングノーズ感を強調したキャビン、同じく強く傾斜したCピラーが筋肉のように盛り上がったリアフェンダー部にジャストミートするスタイリングとすることで、1589mmの全高でフェラーリらしいプロポーションを実現したのである。

私の目には、精神的な意味での前作にあたるGTC4ルッソよりも、プロサングエのほうがはるかに美しく、そして力強いデザインのように思えた。

かつてなかったほど静かなV12自然吸気

一般道を走り始めると、プロサングエがこれまでのフェラーリにない特徴を備えていることがすぐに明らかになった。

まず、タイヤの発生するロードノイズが圧倒的に低い。率直にいって、プレミアムブランドが手がけるスポーツサルーンと大差のない音量で、キャビンは思いのほか静か。隣に腰掛けたパッセンジャーと会話を交わす際にも、大声を出す必要はまったくない。

おまけに、今回は真冬の試乗だったため、ミシュランのパイロット・アルペン5 SUVというウィンター・タイヤを履いていたのである。これが通常のサマータイヤであれば静粛性はさらに高まっていたはずだ。

プロサングエのフロントノーズにはマラネロ自慢の自然吸気V12エンジンが積まれているが、その音量もかつてなかったほど小さい。巡航時にエンジン・サウンドがぐっと低くなるフェラーリはこれまでにもいくつかあったが、プロサングエは、ドライビングモード切り替えのマネッティーノでスポーツないしESCオフを選び、さらにスロットルペダルを積極的に踏み込まない限り、V12サウンドが明確に聞こえてくることはない。

しかし、条件がすべて揃ったときには、澄み切ったメカニカルノイズのスムーズな音色を響かせて、ドライバーを陶酔の世界へと誘う。その際の音量もこれまでに比べれば明らかに抑制されているが、V12のエッセンスのみを抽出したサウンドには官能性がふんだんに盛り込まれているので、物足りなくは感じられないはず。

いや、4ドア・4シーターというプロサングエのキャラクターを考えれば、むしろこの設定のほうが好ましいというべきだ。

フラットライド しかし当たりは柔らか

シャシーのセッティングもまた、フェラーリの伝統的な味わいと4ドア・4シーターの世界観を絶妙にブレンドさせたものといえる。

微低速域ではタイヤのソフトな当たりに驚かされるが、車速を上げていけば、ロールやピッチが極端に小さなフラットライドを実現していることに気づくはず。

その乗り味からは、スプリングやダンパーがかなり締め上げられていることが想像されるが、前述のとおりタイヤの当たりは柔らかでゴツゴツしたところがない。

しかも、高速でギャップに乗り上げたときにボディが浮き上がろうとしても、タイヤの接地性が一切、揺らがないことに驚かされる。その足回りの動き方は、従来のコンベンショナルなサスペンションとはまったく異なるものだ。

その最大の理由が、プロサングエに搭載されたフェラーリ初のアクティブ・サスペンションにあることはいうまでもない。電気モーターとボルトシャフトを組み合わせることで、ホイールの位置を自在に調整できるこのサスペンションがあればこそ、極端にフラットな姿勢と快適な乗り心地を両立できたのである。

しかも、ロール量が極端に小さい(一般的なモデルの半分程度とフェラーリは説明する)ため、コーナーへの進入でもクルマの姿勢が落ち着くのを待つ必要がなく、素早くターンインできる点が、このアクティブサスペンションが持つもう1つの特徴。

その優れたステアリングレスポンスは既存のSUVとは別次元の鋭さで、フェラーリの名にまったく恥じないものといえる。

つまりプロサングエは、フェラーリが伝統的に備えてきたスポーツカーとしての素質を一切失うことなく、ユーティリティや快適性の面では4ドア・4シーターに相応しい洗練さを手に入れたモデルといえる。

そのために彼らはアーキテクチャーをいちから作り直したうえで、4WD、4WS、アクティブサスペンションなどの最新システムを総動員。

さらに、ここに自然吸気V12エンジンを組み合わせることで、フェラーリに期待される官能性とパフォーマンスを実現したのである。

ボディサイズや室内スペース、そして185mmの最低地上高などはたしかにSUVと捉えてもおかしくないが、フェラーリ自身がSUVという呼び名を頑なに拒んできた理由が、実際に試乗してようやく理解できた。

その意味でいえば、プロサングエはまさに唯一無二の存在というべきだろう。

フェラーリ・プロサングエのスペック

価格:-
全長:4973mm
全幅:2028mm
全高:1589mm
ホイールベース:3018mm
乾燥重量:2033kg
パワートレイン:V型12気筒6496cc
最高出力:735ps/7750rpm
最大トルク:73.0kg‐m/6250rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ

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みんなのコメント

5件
  • フェラーリもポルシェのカイエンを最初はバカにしてたのにランボのウラスの開発の話を聞いた途端に態度変えたくせに。
    いまさらSUV呼ばわりを拒否って草生えるわ。
  • たしかにこれはSUVとは呼べないな。せいぜいトールワゴンかクロスオーバーか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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