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愛車の履歴書──Vol49. 草刈民代さん(後編)

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愛車の履歴書──Vol49. 草刈民代さん(後編)

愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ第49回。後編は、俳優の草刈民代さんが、気になる最新のピュアEV(電気自動車)を体感した。

電気自動車が気になるワケ

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【前編はこちら】草刈民代さんが次の愛車候補としてきにかけているのは、電気自動車という。

「クルマは排気ガスを出すし、どうしても環境に影響を与えるものですよね。うちの夫もおなじ考え方なんですけど、なるべく環境に負荷がかからないもののほうがいいだろうということで、いまのベンツ(ML350 BLUETEC)もディーゼルを選んでいます。いつ電気自動車の時代になってもいいように、最新モデルについて情報収集しています」

こう語る草刈さんは、まずメルセデス・ベンツ「EQE350+」に乗り込んだ。

2022年に発表されたメルセデス・ベンツEQEは、BEV(バッテリー式EV)専用モデルとして開発されたミドルクラスのセダン。「EVA2」と呼ばれる基本骨格はBEV専用に開発されたもので、重くてかさばるエンジンの搭載を前提とせず、BEVとしてのパフォーマンスを最大限に発揮できるようにバッテリーやモーターを配置している。

運転席に座った草刈さんは、「未来のクルマですね」という第一印象を口にする。12.8インチのOLEDスクリーンを中心に据えたインテリアは見た目に新しいというだけでなく、インフォテインメントや車両セッティングなどのさまざまな情報を呼び出すことができるし、運転支援装置の操作も司る。モーターで駆動するというだけでなく、少し大げさに言うと、人とクルマのコミュニケーションの方法もかつてのクルマとは異なる。

けれども、簡単に操作説明を受けた草刈さんは、慣れた手つきで都心の路上でEQEを走らせた。

「始動ボタンの位置がうちのベンツと逆だったのでそこだけ戸惑いましたが、運転の操作方法についてはあまり変わりませんね。初めて乗ったクルマですが、違和感は感じません」

そう言いながら、草刈さんはEQEを滑るように走らせる。モーターは無音・無振動だし、可変ダンピングシステムとエアサスペンションを組み合わせた高度な足まわりが、タイヤと道路の間に隙間があるのではないかと感じさせるくらい、快適な乗り心地を提供する。

「エンジン車と電気自動車でどれくらい違うのかと思っていましたが、スムーズに走ることや重みのある乗り心地の安心感とか、メルセデスらしい雰囲気は共通しているんだなぁと感じました」

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「車種はわからないのですが、2番目の妹はボルボに乗り始めて以来、『すごく乗りやすい!』と、絶賛しています。それで、「私も!」と、母もボルボにすることになりました。一番下の妹はトヨタの大きめの黒いSUV……『ハリアー』に乗っていたんですが、メルセデスのセダンに換えて、その後ボルボの大きめのSUVに。今、母と妹ふたりは、みんなボルボに乗っています」

こんなエピソードを披露してから、草刈さんはボルボC40 Rechargeに乗り込んだ。

そして、「インテリアがシンプルですね」と、驚く。ドライバーの視界に入るスイッチやダイヤルなどの突起物が少ないのだ。

都心の道を走り出した草刈さんは、「なるほど!」と、うなずいた。

「母や妹が運転がしやすいと絶賛するのも納得ですね。確かに走りやすいと思います。インテリアのシンプルなデザインも、操作がわかりやすいことにつながっているようです」

ほんの短い時間ではあったけれど、2台の最新BEVに試乗した草刈さんは、なにを感じたのだろうか。

「ベンツの電気自動車は、本当に違和感がありませんでした。ベンツのエンジン車に乗っている人なら、スムーズに移行できると思います。いっぽう、ボルボはさらっとしていてやさしいクルマだと感じました。でも私の場合は、ビーエムのハンドルの重さとか、ベンツのどっしりした感じとか、ちょっと重みを感じさせるもののほうが運転をしているという実感を得られるようです。実際に運転をしてみると、自分の好みがわかって、とても楽しい取材でした」

そして草刈さんは、「私は免許を取ったのも遅いですし、運転する時はまず『安全に』という気持ちが強いようです。乗っているときの居心地のよさや安心感がなによりも大事なのだということを、改めて実感しました」と、言いながら、愛車のメルセデス・ベンツML350 BLUETECに視線を送った。

いずれは電気自動車に乗り換えるにしても、草刈さんとMクラスの蜜月はもう少し続きそうだ。

草刈民代(くさかりたみよ)東京都出身。7歳でバレエを始め、1981年より牧阿佐美バレヱ団に参加。96年の映画『Shall we ダンス?』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、新人俳優賞を受賞。99年、ローラン・プティ氏の「若者と死」の死神役に抜擢される。2009年、プロデュース公演「エスプリ~ローラン・プティの世界」でバレエダンサーを引退。引退後は俳優として映画、ドラマなどで活躍。

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文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) ヘア&メイク・齋藤美紀 スタイリング・宋明美 編集・稲垣邦康(GQ)

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