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一層美しく「野性的」 アストン マーティン・ヴァンテージへ試乗 665psを受け止める有能シャシー

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一層美しく「野性的」 アストン マーティン・ヴァンテージへ試乗 665psを受け止める有能シャシー

4.0L V8ツインターボは665psに 車重は1670kg

最新のアストン マーティン・ヴァンテージには、野性的な匂いが漂う。トラディショナルなブリティッシュ・スポーツカーらしさも香る。フェラーリ・ローマは登場から5年目を迎えたが、それ以上の輝きも感じる。

【画像】一層美しく「野性的」 アストン マーティン・ヴァンテージ 競合の高性能グランドツアラーたち 全151枚

アストン マーティンのCEO、ローレンス・ストロール氏は何かを欲した時、中途半端なものでは納得しない。ヴァンテージの場合、英国価格20万ポンド(約3800万円)以下のスポーツ・グランドツアラーで、最高水準のステータスを得る必要があった。

ライバルにはローマだけでなく、ベントレーやメルセデスAMG、ポルシェといったブランドのモデルが含まれる。彼が容赦なく完璧を求めたとしても、不思議ではない。

2024年の春に、AUTOCARではフェイスリフト後のヴァンテージへ試乗している。その時にもご紹介したが、4.0L V8ツインターボエンジンの最高出力は665psに達した。それ以前は510psだった。

ボディは僅かに大きくなったが、そこまで重くなったわけではない。ドライバーを強く惹き込む数字といえるが、恐怖を覚えさせる可能性もある。これは、アストン マーティンというイメージにも重なるように思う。

プラグイン・ハイブリッドのメルセデスAMG GTは、システム総合で800馬力以上を獲得したが、四輪駆動で車重は2tを超えた。シリアスな体験を創出するには、若干重すぎるだろう。

対して、ヴァンテージは1670kg。フロントにドライブシャフトが存在しない、後輪駆動でもある。純粋に運転を追求したいドライバーを、強く誘惑できるはず。

81.4kg-mの最大トルクを引き出しやすい

手つかずの自然へ伸びるような道で、現代的な技術を活用し、大パワーを展開する。ヴァンテージの体験は、実際に底しれず魅力的だ。遠くない日に、ライバルとの比較試乗を実施する計画だが、ひと足先にグレートブリテン島での印象をお伝えしたい。

ヴァンテージの全幅は1980mm。アストン マーティンDB11より広く、見た目には相当なインパクトがある。公道では、少し手に余りそうに思えることも事実だ。

しかし、そんな不安はすぐに消える。これまでのヴァンテージで感取された、ステアリングホイール切り始めの過敏さは抑えられた。狭い道幅でも、81.4kg-mの最大トルクを引き出しやすくなっている。

もちろん、敏捷性は依然として高い。同時に、これまでより直感的で、車線の中央を維持しやすい。

電子制御のリミテッドスリップ・デフは、効きが明らかに強く、豊かなトルクを確実に路面へ伝える。現在の市販車では、アクセルペダルの加減によるコーナリング・スタンス調整が、最も可能かもしれない。

ローマは、カーブ侵入時に優雅な身のこなしを披露するのに対し、ヴァンテージは脱出時で魅了する。この違いを確認するには、直接両車を乗り比べる必要がある。濡れた路面では手を焼くかもしれないが、ポルシェ911 ターボもここには加えたい。

快適な乗り心地 高負荷で実力が表れるシャシー

路面が乾いている限り、強化されたサブフレームとビルシュタイン社製の引き締まったDTXダンパーが相乗し、アスファルトをしっかり蹴り出す。リアタイヤの幅は、295から325へ広がった。

姿勢制御は引き締まり、トラクションにも不足なし。トラクション・コントロールも、無数といえる細かさで調整できるうえ、トラック(サーキット)・モード時の介入は巧妙。ヴァンテージの圧倒的な動力性能を、思う存分堪能できる。

8速オートマティックは、スポーツ・グランドツアラーとして充分に滑らか。稀に、シフトダウンにもたつく瞬間はあるが、最大トルクは2000rpmから生み出される。低いギアを選ぶ必要性は、必ずしも高くない。

走行時の車内は、上質といっていい。ロードノイズなどは小さくないが、この手のクルマの場合、うるさいと感じるかどうかは主観が大きい。短時間で降りたくなるような音量ではない。

乗り心地は、充分に民主化されている。ダンパーには複数のモードがあり、デフォルトの柔らかい状態なら、舗装のツギハギが多い市街地でも快適と呼べる。ハードに切り替えれば、平滑な路面が必要になるが。

引き上げられたパワーへ注目したくなるが、速度域と足並みを揃えるような積極性や落ち着きが、ヴァンテージの特長といえるだろう。高負荷で実力を発揮するシャシーが、V8エンジンの能力を受け止める。

一層美しく、野性的なアストン マーティン

あら捜しをするなら、60km/hで古いアスファルトを走るような状況は苦手かも。最高速度325km/hのヴァンテージは、こんな環境を好むわけではない。望ましくない揺れが伝わる場面は、ゼロではない。

それでも、間違いなく日常との親和性は向上している。余りの進化ぶりで、異様に感じるほど。

インテリアは一新され、荷室は広い。能力の幅は広く、価格は現実的な範囲。スタイリングは一層美しく、野性的でもある。より長い時間を割いて、真実を明らかにするべきアストン マーティンだと思う。

◯:驚異的なパワーとサウンド フロントエンジン・リアドライブのバランス 筋肉質で魅了されるスタイリング
△:低回転域での僅かなターボラグ

アストン マーティン・ヴァンテージ(英国仕様)のスペック

英国価格:16万5000ポンド(約3135万円)
全長:4495mm
全幅:1980mm
全高:1275mm
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:3.8秒
燃費:8.2km/L
CO2排出量:274g/km
車両重量:1670kg
パワートレイン:V型8気筒3982cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:665ps/6000rpm
最大トルク:81.4kg-m/2000-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(後輪駆動)

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