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WRC:2022年までのハイブリッド化目指すFIA、「選手権のレベルやコストに悪影響はない」

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WRC:2022年までのハイブリッド化目指すFIA、「選手権のレベルやコストに悪影響はない」

 WRC世界ラリー選手権が検討を進めているハイブリッド技術の導入に関して、FIA世界自動車連盟のラリー部門ディレクターを務めるイブ・マトンは、2022年にハイブリッド技術が本格導入されたとしても「コンペティションへの悪影響やコスト高騰の懸念はない」と語り、一刻も早い電動化技術の導入に意欲をみせた。

 これまでもWRCの将来的なクリーンモビリティ化についての議論は長らく続けられてきており、とくに電動化に関しては代替エネルギーの筆頭候補とされてきた。

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 2018年4月にスイス・ジュネーブで開かれた検討会でも、FIA会長のジャン・トッドは「我々は明らかに、ある種のハイブリッド技術を導入する必要に迫られている。世界は変化しており、自動車産業やレースの世界もその例外ではないのだ」と語り、WRCも変化することの重要性を説いていた。

 しかし、そのWRCやダカール・ラリーでコドライバーとしてモータースポーツキャリアを築いてきたトッド会長としても、サーキットとは異なりコースアウトした際に充分なエスケープゾーンがないラリーでのリチウムイオンバッテリーの使用は危険度が高いとの認識も示している。

 立ち木へのクラッシュや崖からの転落、マシンが複数回ロールオーバーするような激しいクラッシュも多発するラリー競技の現場では、過度な衝撃が加わると発火や爆発する恐れがあるリチウムイオンバッテリーの存在こそが、ハイブリッドやEV技術導入のひとつの障壁となってきた。

 こうした技術的課題のクリアには莫大な開発コストが掛かることが予想されるが、それ以外にも約1年前の時点で「現時点においては、ラリーステージをレーシングスピードで200km以上も走破し、かつ急速にエネルギー充填が可能なEVや内燃機関以外の車両を提供できるマニュファクチャラーが存在しないことは承知している」と語っていたトッド会長とは対照的に、現FIAラリー・ディレクターのマトンは「目標は、現在の内燃機関WRカーと同等の車両開発コストで電動化車両を成立させることだ」と、欧州メディアに対して持論を語っている。

「経済的な観点からも、電動化に対する技術分野をいくつかのパートに絞って検討することでそれは実現可能だと思う。ただし、その分野がどこなのかはまだ定まっていない。マニュファクチャラーにとって可能な限り費用対効果が高く、その技術投資に見合う還元率が得られる形でなくてはならない」
 KERSから電動化技術の導入を開始し、現在は熱回生などの一歩進んだエネルギーマネジメント規定を導入するF1でも、その当初からコストこそが最も重要な論点となってきたが、現実はその懸念どおり2014年のERS-K、ERS-H導入以降は経済的体力に勝るメルセデスがシリーズを席巻する結果となっている。

 これと同じように、WEC世界耐久選手権でもLMP1-Hに参戦しているのはハイブリッド技術でノウハウを持ち、同じくロードカー部門とのイメージ連携を狙い予算確保が実現できたトヨタのみとなっており、ヒュンダイ、シトロエン、フォード、そしてトヨタが覇権を争うWRCでも同様の状況が再現される可能性はある。

「我々としては現在のマシンコストと同等レベルの予算規模に留まりたい。だから、費用対効果の高いハイブリッド・ソリューションを必要としている。他のカテゴリーでも見てきたように、マニュファクチャラーの自由な開発競争によってその開発コストを引き上げるような真似はしたくないんだ」と続けたマトン。

「そしてそれは、コンペティションのレベルとパフォーマンスの分野に関しても同様のことが言える。その両面においても、ハイブリッド化された時代でも現在の内燃機関WRカーと同じレベルの性能と迫力を維持したいと考えている」

 ハイブリッド車両の技術詳細まで明かされるかは定かではないが、6月14日に開催される予定の世界モータースポーツ評議会(WMSC)では、2021年まで有効の現行WRカー規定に対しアドオンでの電動キットを採用するか、指定サプライヤーからの供給選択制にするかなどを含め、電動化に向けた議論が交わされる見込み。

「我々は現在の選手権のように各マニュファクチャラーの戦力が拮抗した状態を維持したい。そうすればトヨタが新規参入してきたときのように、すばやくチャンピオンシップ争いに適応できるようになる」

「そうした新規マニュファクチャラーの参戦を見てみたいし、願わくばその後の2年間でチャンピオン争いを繰り広げる状況になってほしい。それこそが我々の持つ選手権の意義であり、今後も続けていくべき仕事だと思っている」

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