避難する際の移動手段としては推奨されていないバイクですが、土砂や倒木で走行が困難になった悪路を走破し、いち早く情報収集や衣料品の搬送が可能なオフロードバイクは、災害時に活躍しています。
実際に、災害時には現場を偵察するために、自衛隊ではカワサキのオフロードバイク「KLX250」を採用。また、自衛隊だけでなく、警察や消防、一部の自治体や民間のボランティア団体でも採用されています。
陸上自衛隊に採用されている川崎重工製「KLX250」を紐解く!
例えば2020年7月の豪雨では、バイクでの情報収集や救援活動に尽力した民間のボランティアバイク隊が大活躍。大分県の由布市では、1時間に90mmを観測する記録的な豪雨となり、大分川やその支流が氾濫したことで、土石流や崖崩れで主要な道路が各所通行止めになり、広範囲で断水する事態となりました。
その時のことを、由布市災害ボランティアバイク隊の人に聞いてみたところ、由布市では、由布市山間部にある阿蘇野地区が孤立してしまったといいます。その事態を由布市社会協議会から聞いた由布市災害ボランティアバイク隊では、小野隊長以下3名が出動しました。
「普段の訓練中からリストアップしていた、由布市のなかでも孤立・道路寸断リスクの高い地域を中心に、被害と交通状況の確認を実施しました。また、簡易的ではありますが、土砂流入物や倒木の撤去作業、位置情報アプリによる走行軌跡と被害箇所の写真による情報収集をおこないました」
これらの情報は、復旧作業の優先順位の考察材料として活用してもらうべく、即座に由布市に提供したといいます。
また、「土砂で道路が埋まっていたり、倒木で道を塞がれたりしていても、オフロードバイクの機動力なら意外となんとかなりました。ですが、あまりにも泥と倒木が積もってバイクでもどうにもならないところもありました。その時は道路から外れて、山のなかの通れるところを探しながら、集落に向かいました」。
由布市災害ボランティアバイク隊のメンバーは、年に1,2回ほど、トライアルバイクの全日本チャンピオンから指導を受けたり、さまざまな防災訓練に参加するなど、日頃から悪路を走破する訓練をおこなっているそうで、現在では隊員の9割が防災士の資格を取得しています。
最後に、同隊員は当時の状況を振り返り、以下のように話します。
「当時、孤立してしまった阿蘇野地区に我々が到着した時、取り残された住民の方から『人がきてくれた』と安心の声を頂きました。いち早くこうした安否情報が確認できるのも、バイクの機動力によるものといえますね」
このようにバイクは、機動力や燃費、走破性を活かして、災害時にレスキュー隊の足として活躍している車両も多数存在します。
また、オフロードバイクだけではなく、荒れた路面には向かないとされるスクーターやビジネスバイクも、その取り回しの軽さや燃費の良さで活躍。日常的に使用する便利な移動手段という目的の他にも、災害時の救助という役割も持っているバイクは、私たちの想像以上の可能性を秘めているのかもしれません。
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みんなのコメント
情報を収集する事と支援をする事は違うから、自衛隊のバイクが
来てから連絡が対策本部に行って最短で2時間程度で必要な物が
届く。
救助を目的とした活動では無いから多くを求めない様にしようね。