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現実を突きつけるお値段 トールマン205 GTi ヒョンデi20 N 期待通りのホットハッチか?(2)

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現実を突きつけるお値段 トールマン205 GTi ヒョンデi20 N 期待通りのホットハッチか?(2)

キーを捻った瞬間から明らかに荒々しい

車内空間は、トールマン・エディション205 GTiの方が、ヒョンデi20 Nより狭く短い。ピラーが細く、ガラスエリアが広く、運転席は開放的。周囲の状況も確認しやすい。

【画像】新旧の甘辛ミックス トールマン205 GTiとタルボ・サンビーム i20 Nと最新308/208も 全143枚

ドライビングポジションで勝るのは、設計の新しいi20 N。サイドボルスターの高いシートやステアリングホイールは調整域が広く、ペダル配置も適正。長時間を快適に過ごせるだろう。

操縦系の感触には適度な軽さと丸さがあり、1.6L 4気筒ターボエンジンは低回転域からトルクが太い。気張らず活発に運転できる。

トールマン205 GTiが、トリッキーというわけではない。だが、キーを捻った瞬間から、明らかに荒々しい。XUユニットらしいアイドリングへ落ち着くものの、レーシングクラッチが組まれ、滑らかに発進するには繊細なペダルさばきが欠かせない。

低速域での印象は、確かに懐かしさを誘うものだが、新鮮な部分も入り交じる。モーテックECUはバイワイヤ制御で、スロットルケーブルは存在しないが、アクセルペダルに対する反応は従来どおり即時的。エグゾーストノートはドライで勇ましい。

回転数が上昇するほど、オリジナルの205 GTiでは叶えようがなかった、パワフルさが表出していく。7500rpmまで吸い込まれるようにタコメーターの針は回転し、サウンドは激しさが増し、鋭く速度が高まる。

爽快な反応と感触は当時のまま

トールマン205 GTiの車重は約200kg軽量ながら、最大トルクは5.9kg-mも低い。見通しの良いストレートでは、i20 Nの後ろに回らざるを得ない。自然吸気だから、秘めたパワーを引き出すには、しっかり引っ張る必要もある。

とはいえ、キビキビとしたシフトレバーの動きが気持ちいい。回転数に応じてサウンドも変化し、まったく苦ではない。

パワーステアリングが追加されているものの、操舵には力がいる。フィードバックは繊細で、アスファルトをフロントタイヤが掴む様子が、手のひらへ明瞭に伝わる。オリジナルの205 GTiのステアリングに備わった、気まぐれな癖は抑え込まれている。

タイトコーナーからの立ち上がりで200馬力を与えようとすると、リミテッドスリップ・デフを介したトルクステアが生じる。それを除けば、基本的に反応は正確。爽快なフィーリングは、当時のままだ。

コーナリングスピードやグリップ力でも、新しいi20 Nには及ばない。その一方で、オリジナルより間違いなく侵入速度は上昇しており、エイペックスへ意欲的にノーズが食い込んでいく。路面変化の影響も受けにくい。

急にアクセルペダルを傾けても、落ち着きは失わない。アップデートされたサスペンションとタイヤのおかげで、ドライバーがきっかけを与えない限り、テールは安定している。

ブレーキも見事。ABSは備わらないものの、i20 Nに劣らない感触がペダルにあり、不満ない制動力を引き出せる。

期待通りの205 GTi 痛快な運転体験

これらが融合し、トールマン205 GTiの敏捷性は抜群。元気な小動物のようにタイトに旋回しつつ、乗り心地はしなやか。不意の隆起部分にも動じず、895kgという車重を考えると、驚くほど洗練されている。

i20 Nの身のこなしにも、揺るぎない安定感と鋭さがあるものの、ハードなサスペンションは路面が荒れてくると完全には対処しきれない。柔らかいシャシーの妙といえる。

オリジナルのエネルギッシュさを引き上げ、最先端の動的特性と融合させることで、期待通りの205 GTiへ仕上がっている。モダンなホットハッチとして、i20 N以上の、痛快なドライビング体験を味わわせてくれる。

さらに、トールマン205 GTiが保つノスタルジックな容姿は、運転席へ座る前からドライバーを魅了する。走り終えて、ドアを閉めた後でも。

確かに、限界領域や旋回速度はi20 Nの方がウワテで、優れた動力性能を引き出しやすい。それでも、思わず声を上げて喜びたくなるような楽しさまでは提供してくれない。

反面、普段使いが前提のホットハッチとして評価すると、優劣が逆転してくる。トールマン205 GTiへ日常的に乗ることも不可能ではないが、i20 Nの洗練性や快適性、扱いやすさには届かない。遥かに生々しい。

金額を正当化する高水準な仕事だが・・・

そして、価格が現実を突きつける。レストモッド・モデルとしてはお手頃といえるが、トールマン205 GTiの価格は、英国で6万ポンド(約1086万円)から。ベース車両は、これと別に手配する必要がある。

今回試乗したクルマの場合、12万ポンド(約2172万円)の値札が付いていた。トールマン・エンジニアリングの高水準な仕事は、この金額を正当化するとはいえ、われわれへ身近な金額だとはいいにくいだろう。

2万6530ポンド(約480万円)からに設定された、i20 Nの価格価値の良さに唸らされてしまう。このクラスの理想的なFFホットハッチの1台として、高評価されてきた事実を改めて確認することにもなった。

トールマン205 GTiとヒョンデi20 N 2台のスペック

トールマン・エディション205 GTi(英国仕様)

英国価格:6万ポンド(約1086万円)から
全長:3705mm
全幅:1589mm
全高:1354mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:6.5秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:895kg
パワートレイン:直列4気筒1905cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:202ps/7000rpm
最大トルク:22.0kg-m/6000rpm
ギアボックス:5速マニュアル(前輪駆動)

ヒョンデi20 N (英国仕様)

英国価格:2万6530ポンド(約480万円)から
全長:4040mm(標準i20)
全幅:1750mm(標準i20)
全高:1450mm(標準i20)
最高速度:228km/h
0-100km/h加速:6.7秒
燃費:14.3km/L
CO2排出量:158g/km
車両重量:1190kg
パワートレイン:直列4気筒1598cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:203ps/5500-6000rpm
最大トルク:28.0kg-m/2000-4000rpm
ギアボックス:6速マニュアル(前輪駆動)

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みんなのコメント

6件
  • iss********
    ヒョンデって、、、
    誰が欲しいと思うわけ?
  • 葛葉恭次
    赤だから目を引くとかでなく、やっぱり形状からして惹かれるのは改めて実感するわ。

    そういう気持ちで視界の端に入った程度にしか見てなかったらほぼアクアかフィットかちょっと違和感あるか?ぐらいにしか見えないヒョンデ…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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