この記事をまとめると
■かつては年中無休の新車販売店もあったが、現在は週1~2日の定休日のところが多い
■昔は勤務するスタッフも多く、交代で休むことで定休日を少なくできていた
■週休3日制の導入を検討しているところもあるようだが、サービスへの影響が危惧される
新車販売店の人員不足で定休日は増加傾向
2022年のゴールデンウイークは、5月2日と6日を休めば最長10日という長期連休となった。新車販売の世界に目を向けると、新車ディーラーでは4月30日・5月1日と5月7日と5月8日の週末に店を開け、5月2日~5月6日の間で4もしくは5連休とするのが一般的であった。
メーカー系新車ディーラーでは、ゴールデンウイーク以外にもお盆、年末・年始に長期間の休業となるのが一般的。「小売業にしては休みすぎでは?」という声もあるかもしれないが、バブル経済といわれ、新車がまさに飛ぶように売れ、店を開けているだけでとにかく新車が売れたという時代であっても、この傾向は同じであった。
当時を知る事情通は、「『店を開けていても運輸支局が暦通り休むので連休中に注文をとっても登録申請作業が進まない』という理由も聞いていましたが、当時はとにかく新車が売れていたので、週1回休むことも満足にできず、1カ月休みなしということも珍しくありませんでした。『せめて、ゴールデンウイーク、お盆、年末・年始はしっかり休みたい』ということもあったと聞いております」。
バブル崩壊後、日本経済の衰退とともに新車販売市場も縮小の一途をたどっている。その間、「店を開けていても新車がなかなか売れない」とか、「働き方改革」などもあり、いまでは、セールススタッフでもしっかり週に2日は休めるようになっている。
ディーラー自体も、そもそも日曜日は休みであったものを、バブル経済のタイミングで日曜営業が浸透していき、年中無休があたり前となったのだが、いまでは定休日を設けるディーラーがほとんどとなっている。定休日を設け始めた当初は週1回の完全定休日を設け、残りの1日はスタッフ間において交代で休みを取るのが一般的であった。しかし、気がつくと、完全定休日を週に2日設けているディーラーが目立っていた。
ある地域の日本メーカー系正規ディーラーの1カ月間に週2日定休日を設ける週の数を調べてみると、スズキ系で月1回、以下ダイハツ系隔週、三菱系毎週、マツダ系隔週、スバル系最終週を除くすべて、ホンダ系毎週、日産系隔週となり、トヨタ系では4チャンネル(トヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツ)のなかで、月1回が2社、月2回が1社、定休日は週1日のみというのが1社という結果となった。
定休日を増やす傾向は、働き方改革というよりは、新車ディーラーの人材不足のほうが理由としては大きいようだ。バブルのころは年中無休が当たり前で、その後には大型連休や正月三が日以内にも店を開けることも珍しくなかったが、これはそれぞれの店舗にメカニックやセールススタッフなどがいまよりも多くいて、交代で休んでも店舗営業に支障をきたすことがなかったことが大きい。
しかし、日本中が働き手不足で困っているなか、新車ディーラーもその例外ではなく、店舗の多くは十分とはいえないスタッフ数で運営を行っている。そのため、週1日の定休日以外に交代で休んでいると、極端な話、セールススタッフがひとりしか出勤していない日も出てきて、結果として留守番に終始して何もできないという事態が発生してしまうという声も現場からは聞いている。
また、新車がなかなか売れない時代となり、いたずらに店舗を開けていても、光熱費などがかかるだけでコスパが悪いということも定休日設置や時短営業には影響しているようである。
限られた人員による効率的な店舗運営が必須となっている
いままで述べてきた影響も大きく、現在のように積極的に2日間の完全定休日を設定するようになってきたようである。新車販売が伸び悩む昨今では、とにかく限られた人員のなかで効率的な店舗運営が要求される。その意味では、いまのような傾向は消費者としては、ある程度は許容しなければならないだろう。
交代で休むことになると、店は開いているが担当セールススタッフは休みを取っているということもよく発生する。「今度はいつ休みなの?」と聞いておかないと、いるのかいないのかはっきりしないのは、ある意味顧客満足度への悪影響にもつながるという配慮もあるのかもしれない。
アメリカでは定休日を設けない新車ディーラーがほとんど。ただし、日曜日はメカニックが完全休業しているところが多く、月曜日にはほとんどセールスマンがいないというディーラーが筆者の経験(現地でディーラーまわりをすると)からいくと多かった。ただ、タイでは日曜日には新車ディーラーは軒並み定休日として店を閉めている。「平日に新車を買う人が多く、日曜日に店を開けていてもお客が来ない」というから、これは国民性に合わせて対応しているようだ。
日本に話を戻すと、現場からは、「会社としては週休3日制導入の検討に入ったようだ」という話も聞くようになった。どのように休むのかは不明だが、定休日を2日にして残りを交代で休むにしても、定休日を3日にしても、ここまでくると新車販売はともかく、定期点検など既納客へのアフターサービスの提供では問題が出てくるだろう。
定休日の少ないディーラーでも、日々の点検入庫数は少ないメカニックがフル稼働してやっとこなせる状況となっている。定休日を増やして、はたしてまわすことができるのかと不安になるが、交代で休む日を増やしても、作業効率を考えればたいして変わらないだろう。
ちなみに日本では、アフターメンテナンスについても10時開店に合わせてスタートとなるが、アメリカでは午前7時台ぐらいから工場を開けるのが一般的。クルマが日々の移動手段として手放せない国なので、出勤時に愛車を点検などで持ち込み、そこからは代車を借りたり、シャトルバス(ミニバン)でオフィスまで送迎してもったりして、夕方の帰宅時に点検済みの愛車を受け取るというサービス対応をしているからである。
もちろん、店舗へ車両を持ち込み、そのまま点検を待つお客向けの飲み物や軽食サービス(もちろん無料)付きのサロンも日本を軽く超えるレベルで充実している。
働き方改革や業務の効率化などで定休日を増やすこと自体に文句を言うつもりはないが、ユーザーや新車購入希望客へのしわ寄せが許容範囲を超えてしまう事態となれば、少々問題ありと言わざるをえないだろう。しかし、問題解決となる働き手不足対策はいまの日本ではまず期待できないし、労働集約型産業の新車ディーラーであっても、一度減らした人員を積極的に増員するのは厳しいものがあるだろう。
あるセールスタッフは、「すでにロボットが頼んだ食事を運んでくるファミリーレストランが出てきています。そのうち、セールススタッフ自体が大幅に減り、新車販売ではその存在がなくなり、オンライン販売がメインとなって、店頭にこられてもセールススタッフ型ロボットのようなものから新車が買えるような時代がくるかもしれないですね」と冗談半分に語ってくれた。
しかし、そこで問題がひとつ。日本は新車販売だけでなく、ありとあらゆるところでデジタル化が遅れており、新車を購入したあとはいまだに紙ベースで書類のやりとりをしなければならず、そのことがネックとなってくるだろう。
いまの新車販売現場は、1980年代ころから基本的な部分は大きく変わっていないともいわれている。基本フォーマットが昭和で事実上止まっているなか、マイナーチェンジで令和に合わせようとしても無理があるのは当たり前だ。ただし、こればかりは新車販売の世界だけではどうしようもできない問題ともいえるのだ。
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みんなのコメント
金額で雇ってたら誰もやらないわ(笑)
もしオートバックスやスタンドで検査員まで
持ってたら、とっくにピット長か店長で
手取りはディーラーの2倍は貰えてるわけで…
そんな有様なのにディーラーのお偉いさんは
モータースポーツに精を出してんだろ?
原因が自分自身だって気づけよ。
車が売れても儲かるのはメーカーばかりで販売店などは儲けが少なく点検などをセットに売らないとやっていけないみたいですね。