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【F1第16戦無線レビュー(2)】「もしこのペースでいけたら何位だ?」首位の座を守り切ろうとしたルクレール

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【F1第16戦無線レビュー(2)】「もしこのペースでいけたら何位だ?」首位の座を守り切ろうとしたルクレール

 2021年F1第16戦トルコGPの決勝レース。中盤には各車タイヤ交換を行ったが、シャルル・ルクレールやルイス・ハミルトンはステイアウトを選択した。他車のピットインにより首位に立ったルクレールは、なんとかその座を守り切ろうとするが、背後にはバルテリ・ボッタスらが迫っていた。トルコGP後半を無線とともに振り返る。

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【F1第16戦無線レビュー(1)】「ミディアムで行こう!」タイヤ交換時にギャンブルに出たベッテル

マックス・フェルスタッペン:最終区間でかなり手こずってる!

 タイヤのタレに苦しんだ2番手フェルスタッペンは、首位バルテリ・ボッタス(メルセデス)との差が5秒8まで広がり、36周目にピットイン。次周にはボッタスも入って、ステイアウトを決めたシャルル・ルクレール(フェラーリ)が首位に立った。

ルクレール:レースの最後まで、このセットで行けるかな
マルコス・パドロス:行けるぞ

 しかし43周目以降ペースが落ち、2番手ボッタス、3番手フェルスタッペンに一気に差をつめられていく。

 一方、ルクレール同様ステイアウトを決断し、4番手まで順位を上げたルイス・ハミルトン(メルセデス)も、フェルスタッペンとの差をジリジリと詰めていた。ところが42周目、ピーター・ボニントンからピットインの指示が飛んだ。

ボニントン:ボックスだ
ハミルトン:なぜだ?
ボニントン:新品のインターの方がいいからだ
ハミルトン:そうは思わない

 真っ向から反論するハミルトン。

ハミルトン:ステイアウトするよ
ボニントン:もう1周だけだ

 公開された無線のやりとりを聞く限りでは、ボニントンはピットインの根拠をはっきりと説明していない。フェルスタッペンと遜色ないペースで走り続けるハミルトンにしてみれば、納得のいかない指示だったことだろう。

 首位ルクレールとボッタスのギャップは38周目の6秒8から、44周目には1秒2まで縮まっていた。

ルクレール:まだピットインしてないのは誰?
パドロス:ハミルトンとオコンだ

 パドロスは背後のボッタスやフェルスタッペンの新品インターミディエイトタイヤでのラップタイムを頻繁にルクレールに伝え続け、同時にピットインのタイミングを探っていた。

パドロス:路面コンディションのアップデートを頼む
ルクレール:ところどころでドライになっている感じだ

ルクレール:もしこのまま、このペースで行けたら何位だ?
パドロス:ボッタスが後ろなら、1位だ

ルクレール:う~ん、もうタイヤがクソだ

 45周目にはふたりの差は0秒6に。ペースに勝るボッタスに抜かれるのは、時間の問題だった。

パドロス:ここでピットインしたら、ハミルトンの5秒後ろだ。コース上で彼を抜ければ、3位だ
ルクレール:もしこのまま36秒5のペースで走り続けたら?
パドロス:P4だ。でもリスクは大きい。ここでピットインして、あと12周プッシュすべきだ
ルクレール:わかった。でも35秒5をキープできたら、それでもピットインすべきかな
パドロス:もしボッタスを防げるのなら、このまま行こう。無理ならすぐにピットインだ
ルクレール:すぐにピットインする

 首位の座をなんとしても守り切りたいというルクレールの心情が、このやりとりから伝わってくる。前戦ロシアGPで必死に首位を守ろうとしたランド・ノリス(マクラーレン)とまさに酷似した状況だったが、ルクレールは致命傷を負う前にピットインを決断。4番手でコースに復帰した。
 これでハミルトンは3番手に浮上した。

ボニントン:タイヤ状態をアップデートしてくれ
ハミルトン:リヤが滑ってる。でも大丈夫だ!

 吐き捨てるような口調のハミルトン。限界に来たタイヤをなんとか持たせようと、悪戦苦闘している感じだ。49周目、ボニントンからピットインの指示が出た。

ボニントン:OKルイス、今ピットインだ。ガスリーとギャップを築く最後のチャンスだ
ハミルトン:確かなのか? わかった

 50周目にピットインしたハミルトンは、ルクレールの4秒後ろ、ガスリーの3秒前の5番手でコース復帰した。その順位とギャップを聞いたハミルトンは、すぐに不平を漏らした。

ボニントン:ガスリーは3秒後方だ
ハミルトン:くそ! 何であのペースを捨てたんだ?
ボニントン:いずれにしても、順位を落としてた

 タイヤ交換後3周ほど走ったハミルトンは、グレイニングが出てペースが伸びない。

ハミルトン:今、何位なんだ?
ボニントン:P5だ
ハミルトン:ひどいグレイニングだ。言っただろう!
ボニントン:わかったよ、ルイス。(ピットイン前)ペレスとの差は、詰められてたんだけどね。でもそれについては、あとで話そう

 レース終盤にはガスリーに1秒前後まで迫られ、5番手キープも危うい状況だった。

ボニントン:ガスリーが1秒後ろだ
ハミルトン:ほっといてくれ!

 思わずキレるハミルトン。それでもなんとか5位で滑り込んだ。今季ここまで一度も勝てずに来たボッタスが、終始危なげないレース運びで待望の1勝を挙げた。

リカルド・ムスコーニ:圧倒的なパフォーマンスだったぞ
ボッタス:ははは! やったぞ!

 レッドブルはフェルスタッペン2位、ペレス3位のダブル表彰台。ペレスにとっては6月のフランスGP以来、実に10戦ぶりの表彰台となった。

ヒュー・バード:チェコ、表彰台に復帰したぞ。表彰台だ
ペレス:長かったよ
クリスチャン・ホーナー:表彰台に行けると、言った通りだっただろ

 ボニントンは5位入賞のハミルトンの労をねぎらいつつ、「無線で話したことを、もう一度話そう」と、あらためて伝えていた。今回はいつも以上に緊迫したやり取りだったが、こんなふうにレース後にじっくり話し合うことで、ふたりの強い信頼関係は保たれているのだろう。

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