「250ccに続いて、400ccでも4気筒が復活するとは!!」と、多くのライダーから注目を集めていたニンジャZX-4Rが2023年7月、ついに発売された。
そのメディア向け試乗会が千葉県・袖ケ浦フォレストレースウェイで開催され、二輪ジャーナリストの鈴木大五郎氏が参加。開発陣のコメントも聞きつつ、ニンジャZX-4Rシリーズの魅力を探った。
スーパーチャージャー付きマシンや250cc 4気筒復活など「攻めるカワサキ」
【画像14点】復活の400マルチ! カワサキ ニンジャZX-4RRの足着き性、装備、機能を写真で解説!
スーパーチャージャーを搭載するニンジャH2の独創性。絶滅したと思われたクォーターマルチマシンの復活=ニンジャZX-25Rの登場など、最近のカワサキはニーズの対応だけでなく「夢」を感じさせるパッケージングのマシンをリリースしている。
今回のニンジャZX-4Rシリーズも久々に並列4気筒を搭載した400ccクラスのマシンであり、ちょっとワクワクさせるニュースとなっていた。
3年前……2020年にデビューしたニンジャZX-25Rの企画段階から、400ccクラスのエンジンを共通の車体に載せるという計画は存在していたそうで、それに必要な剛性の確保も考えながら車体は設計したとのこと。
そしてそのプロジェクトは一時休止となっていたのだが、ニンジャZX-25Rの成功があったことも後押しして、今回、2023年のデビューにつながったそうだ。
フレームは2023年型のニンジャZX-25Rと完全に共通だが、実は2023年型は従来型と比較して剛性バランスが改良されており、400ccクラスのエンジンを搭載する際の余裕がさらに拡大されているという。
レーシーなスタイリングに対し、意外とフレンドリーというライディングポジションはニンジャZX-25R譲り。車格も250クラスだからコンパクトであり、プレッシャーは少ない。
高回転のパワーと伸び感はさすが! そのうえで低中回転域にも十分使えるトルクがある
テスト車は上級リヤサスペンションを装備したニンジャZX-4RR。
またがって体重を乗せ、上下に揺すってサスペンションの動きを確かめる。大排気量スポーツや重量車と比較してよく動く、つまり高荷重設定とされていないのが分かる。しかし、ミドルクラスのマシンに多いバネバネしさではなく、しっとりとした感触が伝わってくる。車重はニンジャZX-25R SEに比べて5kgほどしか重くなっていない。
高回転型エンジンにしては低回転域のトルクもしっかり備えている。高回転が強力ゆえにこの特性は影が薄くなってしまうものの、市街地でモタモタするようなことはないだろう。
ニンジャZX-25Rも実トルクは侮れないものであったが、ニンジャZX-4RRは排気量という絶対的アドバンテージによって格段にトルクフルになっている。
とはいえ、このエンジンの美点はやはり高回転域であろう。1万6000回転までスムーズに回転上昇。伸び切り感と4気筒ならではのサウンドが抜群に気持ちいい。袖ケ浦フォレストレースウェイのストレートは長くはないが、4速でメーター読み180km/hを超えた。ストレートの長いオートポリス(カワサキがテストコースとして使うことがある)ではメーター読みで230km/hを超えるというのだから、遊べるフィールドはかなりワイドレンジだ。
ハイパワーのマシンに乗るケースが少なくない昨今、驚くようなパワー感ではないものの、しっかり77馬力を感じさせるとともに、それを使い切っている感触がライディングの充実感を高めてくれる。ニンジャZX-25Rのギャンギャンに回していく感触も捨てがたいものではあるが、反面、排気音とスピードの乗りがやや釣り合っていないかのような印象もあった。
もちろんそれはそれで精神的に余裕ができて嫌いではないのだが、実走と感覚のズレがほとんどないニンジャZX-4RRは、ライディングの真髄をより味わえるように感じられた。また、600だとちょっと心の余裕がなくなるところでの400という現実的な選択が避けられがちなのは、単に免許制度による呪縛によるものでは?とも改めて感じた。
ニンジャZX-25Rほどではないものの、サーキット走行では高回転を維持する必要性があるが、標準装備のクイックシフターによってその作業はずいぶんと楽になっている。ミッションは、ベースはニンジャZX-25Rと同じものだそうだが、続けざまにシフトダウンするような場面でも抵抗なく決まるのが気持ちいい。最も速度の落ちるヘアピンコーナーで試しに1速まで落としたときにも、バックトルクはうまく制御され、マシンの挙動に大きな影響はなかった。これも安心材料である。
上質な乗り心地、キツすぎないライディングポジション「公道での使い勝手も良さそう」
乗り心地の面もミドルクラスの枠を超えたもの。ニンジャZX-4RRにはグレードの高いフルアジャスタブルのリヤショックが与えられていることも大きい。コーナーを攻め立てた際、ニンジャZX-25Rではリヤショックが追従しきれず跳ねたりするような挙動も感じられたが、その領域での動きもスムーズになっており、結果的にタイヤのグリップ力も高まっている印象だ(標準装着銘柄はニンジャZX-25Rと同じでダンロップ・スポーツマックスGPR-300だが、高められたパワーや制動力に対応してサイズが変更されている)。
とはいえ、サーキット走行前提のカリカリに仕上げられた設定ではなく、緊張感を強いられないのがうれしい。前下がり過ぎない前後のバランスによるものか、フロント周りの軽快感や自由度も高い。サーキットだけであればもう少し前下がりにしつつ、フロントを硬めて……といったセットアップを進めたくなるが、それはそれでややマニアックなマシンとなっていきかねないし、常用域での自由度は確実にスポイルされるだろう。
それを考えると、幅広いシチュエーションを考慮してよくバランスが取られているし、さらなるニーズにも対応できる懐の深さを持っていると言えるだろう。
ライディングモードは「スポーツ」「ロード」「レイン」と、任意で出力特性とトラクションコントロールの設定を変更できる「ライダー」モードを備える。今回はほとんどをスポーツモードで走行。トラクションコントロールの介入具合も適正であり、6軸IMUを搭載するニンジャZX-10Rのような高度な制御ではないにもかかわらず、不満のないセットアップとなっていた。
往年の400レプリカ「ZXR400」より全域でパワーは上回っている!?
気になる過去の4気筒マシン、たとえば同社のZXR400との比較では、実は全域でパワーが上回っているとのこと。燃料供給がキャブレターからFIになったことに加え、ライドバイワイヤとされたことでエンジン設計に自由度が生まれ、低中回転域と高回転域の出力を両立できたという。また、車体の印象もカッチリとした剛性感というより非常に間口が広い印象で、レーサーレプリカ的なハードルの高さを感じさせないのも好印象だった。
今回はサーキット走行のみのテストだったが、公道における走りもしっかり考慮したという設計が功を奏しているのだろう。その安心感や乗り心地の良さは、サスペンションや車体の設定だけでなく、エンジンのスムーズさなど、トータルでのパッケージングが優れているからにほかならい。
このマシンはグローバルモデルとしてリリースされているものの、やはり日本市場を強く意識しているとのことである。目と舌の肥えたユーザーに向けて、このクラスのマシンであっても妥協のない仕上がりとされていて、それが乗っていてしっかり伝わってきたことがうれしかった。
ニンジャZX-25Rのデビュー時に、これをほかのメーカーが追従してくれれば……と願い記した。3年経過して、その願いはいまだ叶っていない。そうこうしているうちに、またカワサキがやってくれた。心意気。志。ブランドのイメージもファンもこうやって作られていく。
ニンジャZX-4RR「ここが気に入った&ここが気になる」
■ここが気に入った!
スポーツライディングの楽しさを現実的な領域でしっかり具体化。一方で、公道における自由度や快適性が損なわれていない。エンジンがスムーズに高回転まで回っていく気持ちよさ、サウンド。シンプルながら使えるトラクションコントロールやクイックシフター。
ニンジャZX-25Rと共通車体とはいえ、この時代にこのマシンを出してくれた心意気にブラボー!
■欲を言えば……
サーキット走行専用にリヤブレーキのABS解除設定があれば。また、フロントフォークの減衰力調整機構があれば完璧。
計画はありそうだが、ネイキッド版の登場に期待。ツアラーバージョンもニーズがありそう。
ライバルモデルの出現はカワサキではなく、ライバルメーカーにリクエスト。ミドルクラスでも夢のあるモデルの登場を期待したい。
カワサキ ニンジャZX-4RRの足着き&ライディングポジション
シート高は800mmだが、400ccとしては軽量コンパクトで足着きも良好。小柄な人でもプレッシャーは少ないはず。
ライディングポジションは見た目のイメージよりもフレンドリー。サーキットではもう少しステップが高く、ハンドルは低いほうが……と最初だけ感じたが、逆に市街地やツーリングでは大きなメリットになるだろう。
*ライダーの身長は165cm
カワサキ ニンジャZX-4RR主要諸元
【エンジン・性能】
種類:水冷4サイクル並列4気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:57.0mm×39.1mm 総排気量:399cc 最高出力:57kW<77ps>/1万4500rpm ラムエア加圧時は59kW<80ps>/1万4500rpm 最大トルク:39Nm<4.0kgm>/1万3000rpm 変速機:6段リターン
【寸法・重量】
全長:1990 全幅:765 全高:1110 ホイールベース:1380 シート高:800(各mm) タイヤサイズ:F120/70ZR17 R160/60ZR17 車両重量:189kg 燃料タンク容量:15L
【価格】
115万5000円
ニンジャ ZX-4RRの装備&機能
フロントブレーキは290mmダブルディスク+異径ピストンの対向4ピストンラジアルマウントモノブロックキャリパーの組み合わせ。ニンジャZX-25Rが310mmシングルディスクなのに対し、400ccのパワーに対応したアップグレードが行われている。リヤブレーキはニンジャZX-25Rと同様に、220mmディスクにデュアルピストンキャリパーの組み合わせ。
また、前後タイヤのサイズもニンジャZX-25Rよりワイドなものへ変更されているほか、速度記号ZR仕様(最高速240km/h超対応)となっている。
ニンジャZX-4RR:フロント120/70ZR17 リヤ160/60ZR17
ニンジャZX-25R:フロント110/70R17 リヤ150/60R17
灯火類はオールLED。フロントウインカーはカウルと一体化したビルトインタイプ。テールランプは1000ccスーパースポーツ・ニンジャZX-10Rの特徴的なデザインコンセプトを継承している。
メーターは4.3インチのフルカラー液晶で、自動調光機能を備える。背景色も白と黒から選択できる。写真は表示パターンを「サーキットモード」にした状態で、ラップタイムと回転計の1万回転以上が大きく表示される。
また、カワサキの専用アプリ「RIDEOLOGY THE APP」でスマートフォンと連携させると、電話やメールの着信をメーターに表示させることができるほか、スマートフォンで車両情報やGPS情報に基づいた走行ルートなどを確認することも可能。
日本では「ZX-4RR」と「ZX-4R SE」の2タイプがラインアップ
今回テストを行ったニンジャZX-4RRは価格的には上級グレードとなり(115万5000円)、リヤサスペンションにSHOWA製「BFRC-lite」を採用する。車体色はライムグリーン×エボニーの「KRTエディション」1色の設定(写真左)。
一方のZX-4R SEは112万2000円。エンジン性能に違いはなく、リヤショックはカワサキの大排気量スポーツモデルでおなじみの「ホリゾンタルバックリンクリヤサスペンション」となる。また、スモークタイプのスクリーン、USB給電ソケット、フレームスライダーを標準装備。
車体色はキャンディプラズマブルー×メタリックフラットスパークブラック、メタリックフラットスパークブラック×メタリックマットグラフェンスチールグレーの2色が設定される。
まとめ●上野茂岐 写真●岡 拓
試乗レポート●鈴木大五郎 写真●岡 拓 編集●上野茂岐
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みんなのコメント
最近のカワサキは攻めてて凄いなと思う、スズキとかが追随してくれれば良いのにね。
ホンダとかは完全にファッショナブル路線に行ってしまったし。
ジジイは腰痛と50肩になってしまう