公道走行可能なレーシングカー
チェコの自動車メーカーであるプラーガは、新型ハイパーカー「ボヒーマ(Bohema)」を初めて公開した。現在開発の最終段階にあり、来年の発売予定とされている。
【画像】R35 GT-Rのエンジンを積んだハイパーカー【プラーガ・ボヒーマを写真で見る】 全13枚
ミドエンジン、カーボンチューブ、カーボンボディのボヒーマは、115年の歴史を持つプラーガにとって1947年以来の本格的なロードカー(公道走行可能なモデル)となる。その設計は、ワンメイクレースなどを展開するサーキット専用車「R1」から大きな影響を受けている。
ボヒーマとR1には、ほとんど何の共通点もなく、ゼロから作り上げた新型車である。公道を適切に走行するため、全体のサイズ感はフェラーリ296 GTBなどのスーパーカーに近い。コクピットはタイトな構造でありながら、ドライバーとパッセンジャーをそれなりに快適に乗せることができる。側面には100Lのラゲッジスペースが用意されている。
F1チームの風洞装置を利用して空力特性を磨くなど、2年をかけてサーキットでの性能を確立。現在、快適性を確保するための最終段階に入っているという。
また、パワートレインを直接固定するのではなく、クロモリ製(クロームモリブデン鋼)のサブフレームを介して中央構造体に固定することも、公道走行を視野に入れた重要なファクターである。
自動クラッチ式シーケンシャル・トランスミッションの開発も進められており、最後に手動調整式オーリンズ製ダンパーを採用したプッシュロッドサスペンションの特性を決定し、仕上げとなる予定だ。
R35 GT-Rの3.8L V6エンジンを大幅強化
しかしながら、使い勝手や快適性については大きく譲歩しており、ボヒーマが最も深く追求しているのは速さである。
車両重量は982kgを目標とし、さらに240km/hで最大900kgのダウンフォースを発生させるなど、サーキット走行重視の設計となっている。
パワートレインは、日産GT-Rと同じ3.8L V6ツインターボを搭載するが、最高出力は700psに高められている。また、オイル循環にドライサンプ方式を採用し、サーキット走行で発生する高い横荷重に対応するとともに、エンジンの高さを大幅に下げることに成功したという。また、ボヒーマはミドシップの後輪駆動である。
なお、GT-Rのチューニングカーでも知られる英国のチューニング会社リッチフィールドの協力の下、プラーガに対する日産のエンジンサポート体制を確立した。チーフエンジニアのヤン・マルティネクによると、エンジン候補として日産の3.8L V6とアウディの5.2L V10が選択肢に上がったものの、後者はメーカーによる継続したサポートを期待できなかったため、最終的に日産が選ばれたという。
ボヒーマの生産は、R1と同じチェコの工場で、元フォードWRCドライバーのロマン・クレスタの指揮のもと行われる。
価格は、英国では132万ポンド(約2億2000万円)からとなる予定。
早速プロトタイプに乗り込んでみると……
ヤン・マルティネク率いる開発陣は、レーシングカーのような運転体験と公道での使い勝手を両立させるという目標の達成にどれだけ近づいているのだろうか?
来春、完成したボヒーマを公道やサーキットで走らせてみればわかることだが、英ダンズフォールドで試乗したプロトタイプは、すでにその答えを持ち合わせているように思えた。開発陣の努力は実を結ぼうとしている。
しかし、ナンバー付きといえども乗り込むのは大変だ。カーボンファイバーのサイドシルをまたぎ、足をキャビンに突っ込み、身をかがめてシートに滑り込む。ただ、オフセットされたシート(車内が狭いため)に同乗者を座らせれば、その後の操作は実に直感的だ。
ルーフに取り付けられたボタンから、3.8L V6に点火する。目標の700psにはまだ遠く及ばないものの、現時点でも500ps程度を発揮するという。レーシングカーのようにがっしりしたブレーキペダルに足を乗せ、右側のパドルを引いて1速に入れ、パワーを供給すれば(クリープ機能はない)、走り出すことができる。
日産のVR38DETTエンジンは、R35 GT-Rに搭載されているものとほとんど変わらないので、アイドリング状態から扱いやすく、回転もスムーズ。注意してほしいのは、2速、3速の扱いで、変速時はスロットルを一瞬緩めるだけでは不十分だ。このあたりがもう少しマイルドになれば、大いに助かる。
その他、前方および側方の視界が非常に良好であることも特筆すべき点である。戦闘機のコックピットに座っているような感覚になるし、人間工学的にも優れている。
カーボン製シートはシャシーと一体化しているが、背もたれの角度調整とペダルボックスの調整が可能なため、快適なドライビングポジションを見つけるのは難しくない。軽いパワステも、低速域の操縦を予想以上に容易にしてくれる。
動力性能については、ピレリPゼロ・トロフェオRタイヤを装着したプロトタイプで攻めることはできなかったが、フルパワーの半分程度でも、ガッチリとした骨太のマシンであることがわかった。それでいて、恐怖心をあまり煽らないのが印象的だった。
限界域でのパフォーマンスは今後明らかになるだろうが、プラーガは幅広いスキルレベルに適応できるマシンを目指しているというから、あまりトゲのあるものは期待しないほうがいいかもしれない。
走行距離無制限の保証も検討中
プラーガ・カーズ英国部門の責任者、マーク・ハリソンにインタビューを行った。
――ボヒーマのランニングコストはどれくらいになりそうですか?
「車両構造を考えれば、ランニングコストは妥当なところでしょうし、パワートレインについてはよく知られています。リッチフィールド社とは、アフターセールス・プログラムについて緊密に協力しており、その一環として、2年間の保証と走行距離無制限について協議しているところです。現在発売されている多くのハイパーカーとは異なり、走行やメンテナンスが比較的容易であると考えていただきたいですね」
――ボヒーマは、赤字覚悟のプロジェクトなのでしょうか?
「収益性の高い事業として開発されています。ハイパーカーを市場に投入することで、レーシングカー市場への関心が高まることは間違いありません」
――このクルマの性能を最大限に引き出すにはドライバーの技量が問われますが、トレーニングは提供されるのでしょうか?
「はい。このクルマを使ったサーキット・プログラムを実施する予定ですし、(ブランドアンバサダーの)ロマン・グロージャンにどのように関わってもらえるか、話し合っているところです。チーフテストドライバーのジョセフ・クラルも参加したいと言っています」
「車重1000kg、最高出力700psということで、(会社側にも)一定の責任がありますが、社内にはモーターレースが好きな人がたくさんいるので、このクルマがサーキットを走るのを見たい、お客様がクルマを最大限に活用するのを助けたいという情熱があるんです」
「スパでの走行は検討中です。このクルマには世界最高のサーキットがふさわしいと思いますが、当社の開発施設からわずか2kmのスロバキア・リンクでいくつかプログラムを立ち上げるのもいいでしょうね」
――ボヒーマは、いつ頃まで生産されるのですか?
「4~5年でしょう。急ぐつもりはありませんし、2023年は最大で10台を生産する予定です。これは、品質を極めるため、またクライアントと密に協力したいためです。以後は年間20台程度になるでしょう」
――パーソナライズの範囲は?
「販売面では、誰もがオーダーメイドのクルマを持つようになることがわたしの理想です。しかし、生産面では、ヤン(・マルティネク)はすべてのクルマが同じで、1000kg以下で工場から出荷されることを望んでいると思います」
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みんなのコメント
今回はスバルR1が表示されてる…これなら買える!w