実績は十分! ホンダF1ラストイヤーで走る姿を見たい
日本人レーシングドライバー、角田裕毅(つのだ・ゆうき)をご存じだろうか? 現在20歳の角田は、レッドブル・ジュニアチームおよびホンダ・フォーミュラ・ドリームプロジェクトに所属する若手ドライバーだ。2020年はFIA-F2で2勝をマークして、ランキング3位(第10戦のロシア終了時点)につけるなど、F1直下の下部カテゴリーで猛威を発揮。現在、“F1にもっとも近い日本人ドライバー”と目される逸材だ。
事実、11月4日にはイタリア・イモラサーキットでスクーデリア・アルファタウリ・ホンダのF1マシンでテストを実施。日本人のF1走行は、2019年のF1日本グランプリのフリー走行で、山本尚貴がスクーデリア・トロロッソ・ホンダをドライブして以来のこと。まさに2014年に小林可夢偉がケータハムで参戦以降、久しぶりの日本人F1ドライバーの誕生が期待されている。
これだけの逸材にも関わらず、角田は日本での知名度は高くないが、それは彼のキャリアに起因する。幼少のころからレーシングカートで活躍してきた角田は、2016年にスーパーFJで四輪レースにデビューすると、同年のスーパーFJ日本一決定戦やF1日本グランプリの前座レースとして開催されたスーパーFJドリームカップレースで優勝。さらに2017年にはJAF-F4東日本シリーズでチャンピオンに輝くほか、JAF-F4日本一決定戦で優勝するなど抜群のパフォーマンスを披露した。
その勢いは2018年も健在でFIA-F4日本選手権でチャンピオンを獲得。その実績が高く評価されたことから、2019年よりFIA-F3選手権に参戦するほか、前述のとおり、2020年はFIA-F2で活躍している。
つまり、角田は日本でスーパーフォーミュラなどの上級フォーミュラや人気シリーズのスーパーGTを経ることなく、ヨーロッパに渡ったことから、あまり日本ではメジャーな存在とはいえない。しかしその評価は高く、初のF1テストでも角田は素晴らしい走りを披露した。
マシンは2018年型モデルで、テストの目的もスーパーライセンス取得に必要な300kmの走行距離を稼ぐための実績作りだったが、角田はハーフウエットのなか安定した走りを披露。さらにドライになってからも順調にラップを消化しており、合計72ラップ、距離にして350kmを走破している。
このテストについて角田選手は「ブレーキのパフォーマンスやアクセルの加速はこれまでドライブしたマシンとは別次元でした。少し疲れましたが、とても楽しかった」とコメント。さらにスクーデリア・アルファタウリ・ホンダのチーム代表、フランツ・トスト氏は「ユキ(角田)はすぐにクルマに慣れていたし、ラップタイムも良くなっていた。午後のセッションはセッティングを変更したけれど、彼のフィードバックは期待どおりで、最後に行ったレースシミュレーションも安定していた」と角田に対する評価が高い。
2021年はホンダにとって最後のF1イヤーとなるだけに、日本人ドライバーの角田にとってはF1昇格への大きなチャンス。「FIA-F2はまだ2ラウンド・4レースが残っているので目の前にある課題に集中したい。最終的に結果に繋げられればと思っています」と角田は語る。FIA-F2の結果次第ではF1へのキップを手にするところにいるだけに、今後も角田の動向に注目したい。
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みんなのコメント
角田を起用すれば「本気でメルセデスに勝つ気はあるのか?」、角田を起用しなければ「日本人F1ドライバー復活の夢、遠退く」。
いずれにせよホンダは十字架を背負わないといけない。