「SDGs」という言葉が世の中に浸透し始めて、サステイナブルな商品が 続々と登場。その波は、自動車業界にも押し寄せてきている。 それを象徴する最新の電気自動車をチェックした。
世界中で地球温暖化対策が急務だと叫ばれている今、ガソリン車が排出するCO2の量がやり玉に挙げられている。そこで急浮上しているのが電気自動車(EV)だ。
走行中に排出ガスを出さないことから、ノルウェーでは2025年までにすべての新車をEVなどCO2を排出しないゼロエミッション車にする方針を発表している。
現在、世界中の自動車メーカーがこのEVに目を向けて、次々と新型車を開発し、発売している。日本では日産が『リーフ』でEVを先行発表し市場を引っ張ってきたが、ここにきてようやくほかのメーカーもEVに注力し始めた。
中でも注目されているのがホンダだ。久々に同社らしい、他社とは異なる個性的なクルマを市場に送り込んできた。今回は、その『Honda e』を試乗した。『Honda e』はタウンユースを意識して造られたEVだ。全長は3.9mを切るが全高が1.5mを超えているため、室内は天井が高くて広々しており乗降性も良い。街中で頻繁に乗り降りする使い方を前提としている。
また、ホンダ車としてリアにモーターを配して後輪を駆動するRR方式を初めて採用した。これによりフロントに大きな機材がなくなり前輪の自由度が高くなって、小回り性能がアップした。
実際に街中で走っても、片側1車線の道なら1回の切り返しでUターンできるほど小回りが利く。ボディーもEV専用設計の5ドアハッチバックを採用。数々の先進技術と先進装備を搭載している。
サイズだけを見ると、コンパクトカーのカテゴリーに属するが、そもそも開発された目的がメーカーによって異なるということを知ってから選ぶと、より満足度の高いEVライフを送ることができるはずだ。
人の心とつながるシティーコミューター
ホンダ『Honda e』
Specification
■全長×全幅×全高:3895×1750×1510mm
■ホイールベース:2530mm
■車両重量:1540kg
■電池容量:リチウムイオン電池35.5kWh
■モーター形式:交流同期
■最高出力:154PS/3497~1万rpm
■最大トルク:315Nm/0~2000rpm
■変速機:電気式無段
■一充電走行距離:274km(JC08モード)
■車両本体価格:495万円
※アドバンス
同社の軽自動車『N-ONE』のイメージに近いフロントマスク。丸型のヘッドライトは外周にデイランニングライトとウインカーが組み込まれている。ドアミラーはカメラ式。
ホイールベースは同社の『フィット』と同じだが、全長は100mm短く、全幅は55mm広く、全高は5mm低い。フロントドアのウインドウの下にある小さな黒い部分がサイドミラー用カメラ。
丸型のテールランプには、フロントと対称のようなデザインという遊びゴゴロが感じられる。派手なボディーラインはないが、街中を走っている時に周囲の目を引く、個性的なデザイン。
ユーザーの使い方をしっかり考えて造られた実用的な電気自動車
エンジンルーム
e-HEV駆動モーターとパワーコントロールユニットは一体化しており、リアに搭載されている。フロント部には補機類が搭載されている。
運転席と各種装備
時代を先取りした未来志向のインテリアデザイン。5分割されたスクリーンがインパネ全面に展開されているのは圧巻。
シートスペース
前席はクッションが厚く、ソフトな仕上がりで体を包み込む。後席は背もたれ一体型で前倒する。ちなみに後席の定員は2名。
ラゲージスペース
開床下にモーターやPCUが収納されているので床面は高くなっている。床板の下には充電用ケーブルが収納されており使いやすい。
【 ココがポイント!】家庭用200Vなら5.2時間で100%充電が完了
給電口はフロントボンネットの手前に設けられている。CHAdeMOを使えば80%充電を約30分でこなす。家庭用200Vなら5.2時間で100%に。試乗車は100%充電で航続距離が195kmだった。
【 ココがポイント!】最小回転半径はわずか4.3m!小回りが利くから狭い道もラク
フロントボンネットの下にある補機やサスペンション、ボディー骨格などの工夫で(特許出願中)、前輪の切れ角は大きく、6m道路でも1回でUターンができる。最小回転半径はわずか4.3m。
開発コンセプトも用途も全く異なるがどちらも運転が楽しい
[運転性能]街中での使い勝手を追求しているだけあって扱いやすさはトップクラス。ノーマルモードでも十分運転しやすい。18点
[居住性]前席はクッションも厚く、快適。後席は床もほぼフラット。頭上は身長170cmまでなら十分。定員は4名。18点
[装備の充実度]駐車支援システムが使いやすい。開発コンセプトに建物や家屋への給電・充電が含まれているのは日本ならでは。18点
[デザイン]EV専用のボディーが街中でも多くの人を振り向かせる個性となって注目されている。ホンダらしさが復活した。19点
[爽快感]ノーマルモードでの走りは至って普通だが、スポーツモードに切り替えると特に「アドバンス」は楽しめる。19点
[評価点数]92点
取材・文/石川真禧照
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みんなのコメント
充電時間の課題が、日本ではインフラ整備が先進国としては恥ずかしならがら遅れているため解決しないから、狭い島国で使うとしても、500㎞程度の航続距離は求めれている。
しかも、軽自動車~コンパクトカーの価格帯の購買層が多い所得格差の現状からしても、軽自動車並みの価格にするか、その購買層をより上位価格帯ユーザーを選択するなら、長距離対応で出すべきだ。
500万もかけて、シティコミュニケーターって誰が買うんだ。
三菱 i-MiEVで分かりそうな物だろうが。
既存のEV先進メーカーと異なる仕様を狙うのがホンダらしいとするならそれも有りだが、四輪事業は赤字でお荷物になっているから、そんな戦略で良いのだろうか。売れる車を作る必要が有るはずだが、お遊びしている状況じゃないと思うよ。