第104回インディ500のスターティングポジションを3番手、フロントロウという絶好のポジションを手に入れたレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨。
インディ500出場11回目で自己ベストはもちろん、日本人としては初めてフロントロウからスタートする。前列に誰もいないフロントロウというのはさぞかし景色が良いことだろう。
第104回インディ500カーブデイ:最終プラクティスはオワードがトップ。琢磨は4番手と好調
エキサイティングな上位9名によるファストナインの予選の後に、すぐさま6回目のプラクティス走行が行われ、決勝仕様にマシンを変えて望んだ。そこでは集団の中でのマシンフィーリングを確認する作業に徹し、26番手だった。
4日間のインターバルの後、金曜日のカーブディに最後プラクティスが行われる。例年であれば、カーブディはグループごとに別れるなどして30分だけであったが、今年はスケジュールの変更と、プラクティス日数の凝縮もあって、2時間30分のセッションだった。
またプラクティス開始前には、全33名のドライバーがソーシャルディスタンスを取って、ボルグワーナートロフィーを中心にグリッド順に記念撮影を行った。
その後には33名中8名の歴代インディ500優勝経験者が、トロフィーと共に記念撮影に収まった。すでに3度も優勝しているエリオ・カストロネベス(2001、02、09)を筆頭に、スコット・ディクソン(2008)、トニー・カナーン(2013)、アレクサンダー・ロッシ(2016)、ウイル・パワー(2018)、サイモン・パジェノー(2019)、ライアン・ハンター-レイ(2014)、そして佐藤琢磨(2017)。この錚々たるメンバーが、今年の優勝を狙っているのは間違いない。
最後のプラクティスは決勝に向けての確認作業などはもちろん、メカニックもタイヤ交換練習などを行い、レース前最後の大詰めになる。また今年装着されたウインドスクリーンには、レース中に汚れた際に剥がすシーリングがしてあり、ピットインした時にメカニックが剥がすようになっており、各車8枚から10枚以上装着していた。
11時に始められたセッションは、チームメイトで同時にコースインしたり、パックの走行を想定して始まる。一度コースインすると5周以上10周前後のラップをこなしながらタイヤの摩耗などを確認しつつ、ピットインとアウトを繰り返していく。
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは琢磨、グラハム・レイホール、スペンサー・ピゴットの3台が同時にコースインしてしばらく走行した後、各々のセッティング作業に入っていた。
琢磨はセッションの中程39周目に224.580mphをマークしてリーダーボードの上位に躍り出た。パック走行中のタイムは前のマシンのトゥに入った時に記録されることが多く、トップスピードそのものはあまり参考にならないものの、上位タイムであることには変わりはない。
走行を終えた琢磨は「やっぱりインディ500は難しいね(苦笑)。データを見て、あ、これいいな、やってみたいなというセッティングあって、最初それで行ってみたんだけど、うまく働かなかったですね」
「なので、それを戻して再確認みたいな作業を1~2回しました。行っては戻っての繰り返しでしたけど、やりたかったメニューはこなせました。今朝は少し気温が低かった。今年はレーススタートが少し遅くて、今日よりは暑くなるでしょうし、それを想定してどうする対応するかですね」と琢磨。
マシンを最後の最後まで突き詰めていくのが琢磨流なのだろう。まだまだやりたい作業はあるようだが、プラクティスはここでタイムアップ。あとは日曜日のレースを迎えるだけだ。
コロナ禍の中、無観客レースとなったインディ500も、スケジュールを大幅に変更しながら、残すは決勝レースのみ。日本からのファンも今年は現地に足を運ぶことは出来ず、おそらくはTVの前でインディ500を見守ることになるだろう。
「今年はスタートが遅い関係で、日本は夜中というか明け方になってしまうみたいですね。なんかカップヌードル食べながら応援してくれるって、SNSで見ましたけど(笑)。本当にありがたいですね。しっかり頑張りたいと思います」
果たして琢磨は2度目のミルクを飲むことができるだろうか?
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