官能的な内燃機や伝統のスポーツカーを持つプレミアムスポーツカーブランド。2020年にフルバッテリーEV「タイカン」を市販化するなど積極的に電動化戦略を進めてきた。(Motor Magazine2023年9月号より)
BEV化への道筋で課題となる、内燃機関へ未練を抱くユーザーマインド
25年までに販売する車両の50%で電動化を完了し、30年までに80%をBEV化する。これはポルシェが公に示しているカーボンニュートラル化への短中期的ビジョンだ。ただし、これらは公約ではなく、あくまで目標でもある。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
このロードマップに従ってポルシェが粛々と進めているのが、ご存知のとおりBEVの展開だ。アウディe-トロンGTも用いるJ1プラットフォームを採用したタイカンシリーズは、従来からの彼らのモデルチェンジの流儀に従うなら、先だって発表されたGTSをマイルストーンとしてマイナーチェンジが施されることになる。
これと並行して、アウディとの共同開発となるPPEプラットフォームを採用した初のポルシェとして近々の登場が予定されているのが次期マカンだ。ポルシェのラインナップにおいては台数的にカイエンとのツートップを構成する銘柄だけに、そのBEV化はビジネス面においても影響が大きい。
次期マカンはすでにニュルブルクリンクをはじめとしたさまざまなシチュエーションでテストを繰り返しているが、内燃機モデルの併売という道筋を描くのは難しそうだ。大看板が退路を断って完全BEV化へと移行するのかどうか、注目が集まるだろう。
同じく大胆なBEVシフトがスタンバイしていると思われるのがボクスター&ケイマンだ。すでにケイマン718GT4をベースとするレース用車両の実走モデルもお披露目されるなど、技術的なハードルは克服しているようにも窺える。そして内燃機とのコンパチビリティという点においてもPPEプラットフォームよりは柔軟性が高い。
最大の課題はパフォーマンスよりむしろ、内燃機の官能性に対する未練を抱くユーザーマインドの掌握ではないだろうか。これは近々EV化が見込まれる911においても同様の課題となる。
ミッションXの発表でポルシェの電動化が見える
というわけでこの1~2年は、ポルシェにおいて電動化への道筋が具体的に見えてくる大きなターニングポイントとなるわけで、今年のル・マンの直前に突如発表されたミッションXは、それらのローンチにまつわるブースターの役割を果たす意味合いもあるはず。
一方で、ポルシェは代々コンセプトカーの表現を何らかの形で市販へ実装するメーカーでもある。フォーミュラEの参戦を含め、何らかの形でBEVのスーパースポーツを世に送り出したいという気持ちを抱いているだろう。
その傍らで、ポルシェが主導するのがeフューエルの可能性追求だ。カーボンニュートラルのフォーマットに沿って従来の内燃機を延命させるソリューションとして、欧州委員会のお墨付きも得ることができた。
ポルシェのエンジニアたちは莫大な自社カスタマーへのロイヤリティをいの一に唱えるが、一方で最後の最後まで内燃機への情念は絶やさない覚悟だろう。
いまもって、GT3のような内燃機を磨き続けているところをみれば、それは自明でもある。(文:渡辺敏史/写真:ポルシェAG)
ポルシェ 718スパイダーRS主要諸元
●全長×全幅×全高:4430×1825×1230mm
●ホイールベース:2485mm
●車両重量:1410kg
●エンジン:対6DOHC
●総排気量:3996cc
●最高出力:368kW(500ps)/8400rpm
●最大トルク:450Nm/6750rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:MR
ポルシェ 911ダカール主要諸元
●全長×全幅×全高:4530×1864×1338mm
●ホイールベース:2450mm
●車両重量:1605kg
●エンジン:対6DOHCツインターボ
●総排気量:3996cc
●最高出力:353kW(480ps)/6500rpm
●最大トルク:570Nm/2300ー5000rpm
●トランスミッション:8速DCT
●駆動方式:4WD
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みんなのコメント
理解はできますけど
ホンダみたいに
内燃機関を取引業者ごとアッサリ捨て去る愚行を重ねる会社もいます。
チャイナで商売してもメンテしないし、
山の中や森の中に不法投棄するだけですから
ポルシェも商売する相手をもう一度吟味し直すべきで?
全車EVにするんじゃ無いの?
言い出しっぺがいい加減な事を言ってはいけません。