11月1日、バーレーンのバーレーン・インターナショナル・サーキットで、WEC世界耐久選手権第8戦『バーレーン8時間レース』の公式予選が行われ、トヨタGAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)がポールポジションを獲得した。
LMGT3クラスでは、ユナイテッド・オートスポーツの95号車マクラーレン720S GT3 Evo(ジョシュ・ケイギル/ニコ・ピノ/佐藤万璃音)が最速タイムを記録している。
全8戦で争われる2024年のWECは、いよいよ最終戦。9月に日本の富士スピードウェイで行われた第7戦から7週間、最終決戦の舞台は中東のバーレーンへと移った。ハイパーカークラスでは、ポルシェがリードするタイトル争いにおいて、トヨタ、フェラーリが逆転できるかどうかが、本戦最大の注目ポイントとなる。
2024年のWECでは『予選』での各トップ10車両が『ハイパーポール』と呼ばれる最終予選に進出して上位グリッドを争うという、2段階式の公式予選フォーマットが採用されている。セッションはクラス別に行われ、第2戦からはLMGT3の予選/ハイパーポールを先に行い、その後にハイパーカーの2セッションを続けて行うという進行だ。
■シボレー・小泉洋史が予選6番手でハイパーポール進出
まずは現地時刻16時、気温28度/路面温度34度というコンディションで、12分間のLMGT3の予選セッションが開始。ホームストレートには、向かい風が吹いている。
9車種/18台が争うこのクラスでは、ブロンズドライバーがアタックを担当する決まりだ。したがって82号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)で小泉洋史、87号車レクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)で木村武史という、ふたりの日本人ドライバーが出走している。
半数程度のマシンが2分程度コースインを遅らせるなか、まずは91号車ポルシェ(マンタイEMA)のヤセル・シャヒンが計測1周目でいきなり2分04秒台をマーク。さらに次の周には2分03秒975とし、これがターゲットとなっていく。
ここで好タイムをマークしたのは佐藤万璃音組95号車マクラーレン720S GT3 Evo(ユナイテッド・オートスポーツ)のジョシュ・ケイギルで、残り5分というタイミングで2分02秒311を叩き出し、暫定首位へ。これに、小泉の82号車シボレー、イアン・ジェームスの27号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3(ハート・オブ・レーシングチーム)が続く展開で、セッションは終盤を迎えた。
55号車フェラーリ296 GT3(AFコルセ)のフランソワ・エリオーがケイギルに迫るタイムで2番手へ浮上。これに僚友54号車のトーマス・フローも続き、フェラーリ勢が一時ツー・スリーを形成するが、85号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo2(アイアン・デイムス)のサラ・ボビーが3番手に割って入る。
その後ろでは、59号車マクラーレンのジェームス・コッティンガムも2分02秒台に入れて小泉を上回り、暫定5番手へ。マクラーレン勢の調子が良さそうだ。
チェッカーが提示されるなか、87号車レクサスの木村はラストアタックを敢行するが、進出ラインには届かず、17番手で予選を終えることとなった。
予選セッショントップは95号車マクラーレンが手にし、以下55号車フェラーリ、85号車ランボルギーニ、54号車フェラーリ、59号車マクラーレン、82号車シボレー、27号車アストンマーティン、92号車ポルシェ(マンタイ・ピュアレクシング)、81号車シボレー、78号車レクサスまでが二次予選『ハイパーポール』進出を決めた。
クレメント・マテウがアタックしたDステーション・レーシングの777号車アストンマーティンは、惜しくも11番手とハイパーポール進出を逃している。
続いて16時20分に開始されたLMGT3のハイパーポールは、10分間の勝負。セッション開始と同時にコースインした各車は、入念にタイヤに熱を入れていく。
まずは59号車マクラーレンのコッティンガムが2分02秒203をマークして暫定首位に。これに55号車フェラーリのエリオーが続くが、この時点ではコンマ7秒と大きな差。3番手には85号車ランボルギーニのボビーが続く。
残り3分を前にコッティンガムのタイムを上回ったのは、またしても95号車マクラーレンのケイギルだった。ケイギルはわずか1000分の2秒、チームメイトの前に出た。その背後では、エリオーも自己ベストを縮めて2台のマクラーレンに肉薄する。
最終盤には目立ったタイムアップを果たす車両はなく、佐藤組の95号車、59号車というオーダーで、マクラーレンがフロントロウをロックアウトする結果となった。3番手は55号車フェラーリ、4番手には85号車ランボルギーニ、6番手には92号車ポルシェが続き、小泉は9番手でハイパーポールを終えた。小泉はセッション後半のアタックで、セクター1でタイムを縮めたものの、セクター2でロスがあったようだ。
■トヨタのハートレーがチームメイトをコンマ3秒上回る
陽が傾くなか、16時40分にハイパーカーの予選セッションが開始される。気温は28度、路面温度は32度というコンディションだ。
セッション開始からおよそ2分で、18台のハイパーカー全車がコースインを完了。多くの車両がミディアムコンパウンドのタイヤを選択した模様だ。
トヨタGAZOO Racingは7号車GR010ハイブリッドでニック・デ・フリース、8号車でブレンドン・ハートレーがアタックを担当。ランキング首位の6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)は、いつもどおりケビン・エストーレがステアリングを握っている。
12分のセッションが後半を迎える頃から本格的なタイムが出始め、まずは7号車トヨタのデ・フリースが1分47秒498、続いて8号車トヨタのハートレーが1分47秒698で2番手に続いた。
このトヨタ2台に最初に迫ったのは12号車ポルシェ(ハーツ・チーム・JOTA)のノルマン・ナト、そして99号車ポルシェ(プロトン・コンペティション)のニール・ジャニというプライベーター勢。しかし、6号車ポルシェのエストーレも1分48秒042をマークしてワークスの意地を見せ、2台のプライベーターに割り込む4番手へとポジションを上げてくる。
ハードコンパウンドで予選をスタートしたフェラーリ499P勢とBMW Mハイブリッド V8勢は一度ピットに戻り、ミディアムへと履き替えた模様。
するとその後、51号車フェラーリ(フェラーリAFコルセ)のアントニオ・ジョビナッツィがトヨタ2台に割り込む2番手へ。さらに20号車BMW(BMW Mチーム WRT)のロビン・フラインスも3番手に続き、50号車フェラーリのアントニオ・フォコも6番手にタイムを上げる。最終アタックでは、15号車BMWのドリス・ファントールも5番手にまで順位を押し上げた。
この結果、予選トップは7号車トヨタ。以下、51号車フェラーリ、20号車BMW、8号車トヨタ、15号車BMW、12号車ポルシェ、マット・キャンベルがアタックした5号車ポルシェ、50号車フェラーリ、ランキングリーダーの6号車ポルシェ、99号車ポルシェまでがハイパーポール進出を決めた。
36号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)はミック・シューマッハーが最終コーナーでワイドになり、最下位に。2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)のアレックス・リンは、チェッカーが振られるなかでようやくまともなアタックを完遂したが、13番手に終わっている。
日没から4分後の17時、上位10グリッドを決するハイパーカーのハイパーポールのセッションがスタート。
ほぼ“一発勝負”となるなか、8号車トヨタのハートレーは1分46秒714と1分46秒台に入れる驚速ラップを刻み、タイミングモニターの最上段へ。これに1分47秒037で僚友デ・フリース、さらに1分47秒080で51号車フェラーリのジョビナッツィが続いた。
ハートレーはアタック翌周にピットへマシンを戻し、一方のデ・フリースはアタックを続けるも、タイム更新ならず。他の車両も目立ったタイムアップは果たせず、8号車トヨタは0.323秒というマージンでポールポジションを手にした。逆転でのドライバータイトル獲得を狙う7号車も、2番手とフロントロウを死守している。
3番手に51号車フェラーリ、以下99号車ポルシェ、50号車フェラーリと続き、ランキングリーダーの6号車ポルシェは6番手でハイパーポールを終えることとなった。7番手以下は5号車ポルシェ、12号車ポルシェ、15号車BMW、20号車BMWとなっている。
トヨタは、このレースに勝利すればマニュファクチャラータイトルが決まる。一方、ドライバーズタイトルでは、現在ランキング3位の7号車が勝利し、ランキングリーダーの6号車ポルシェがノーポイントとなった場合にのみ、小林可夢偉とデ・フリースが大逆転でタイトルを手にすることになる。
8時間の決勝レースは、11月2日の現地時刻14時(日本時間20時)にスタートが切られる予定だ。
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