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【アピール力を増した新型フィット】ホンダ・フィット・クロスターへ英国試乗

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【アピール力を増した新型フィット】ホンダ・フィット・クロスターへ英国試乗

世界的なクロスオーバー人気にあやかる

text:Mark Tisshaw(マーク・ティショー)

【画像】新型クロスターの欧州製ライバル 全87枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


世界的なクロスオーバーやSUVの人気の影響が、ホンダ・ジャズ(フィット)にまで及んだ。新しく生まれ変わった4代目フィットは、ホンダの売れ筋コンパクトカーとして、正常進化を果たしていることは確認済み。

そこへクロスオーバー版を追加し、さらなるユーザーの獲得につなげたい考えなのだろう。フォード・フィエスタ・アクティブや、アウディA1シティカーバーなどと同じ手法といえる。

例に漏れず、フィット・クロスターにもソフトなオフローダーらしいスタイリングが与えられた。車高はわずかに高くなり、黒い樹脂製ホイールアーチカバーやサイドシルカバーをまとう。ルーフレールが機能的。

フロントグリルは専用デザインとなり、16インチのアルミホイールもフィット・クロスター用のオリジナル。インテリアには、撥水性のある素材が用いられた。

英国でのトリムグレードは、EXのみでの展開。英国価格は2万2635ポンド(298万円)となり、同等グレードの標準のフィットと比べると、1250ポンド(16万5000円)ほど高い設定になっている。

最もコンサバティブだといえる、コンパクト・ハッチバックというカテゴリー。新しいクロスオーバー、フィット・クロスターが主力になることはないかもしれない。

それでも、フィットの魅力を引き上げていることに間違いはない。きっと今後、ほかのホンダ製モデルにもクロスターという名前が追加されるのでは、と予測する。

走りはエコなコンパクトカーの期待以上

スタイリングの変更点は最小限。使い勝手や走行性能は、ベースとする4代目フィットと変わらない。

ドライブトレインも同じもの。英国の場合、1.5Lガソリンエンジンとツインモーターの組み合わせによる、e:HEVと呼ばれるハイブリッドのみ。トランスミッションはCVTで、前輪を駆動する。日本ではガソリンモデルや四輪駆動も選べる。

回転域を問わず、ドライブトレインの反応は印象的なほどに良い。システム総合での最大トルクが、25.8kg-mにも達するおかげだ。CVTのぼやけた反応で、楽しさがあるわけではないが、アクセルを軽く踏むだけで不足ない走りをしてくれる。

燃費性能も良い。市街地や高速道路など、さまざまな条件が混ざった試乗で17.7km/Lほどの結果だった。走行性能は、競争心をあおらないエコなコンパクトカーの期待以上といえる。

フィット・クロスターは、標準のフィットより若干ボディが大きい。全高は30mm増え1556mm、全幅は31mm増しの1725mm。全長は46mm伸びて、4090mmとなっている。サスペンションのストロークが長くなり、車高は37mm高くなっている。

このサスペンションの変更が、標準のフィットが抱える低速域での乗り心地を改善しているかといえば、かなり限定的。違いはわかりにくく、直接乗り換えて比較しなければ、気づかないレベルだ。

クロスターでも、低速で荒れた路面を通過すると、明確に振動が伝わってくる。高速域では、優れた姿勢制御を披露するのとは対照的でもある。ステアリングは重み付けがよく、安全志向で扱いやすい。

普通のフィットの良いところはそのまま

インテリアも、標準のフィットと基本的には変わらない。サウンドシステムが良いものになり、シート表皮が撥水性で掃除しやすくなる程度の違い。

デザインの見た目は好印象で、操作系の配置も良い。インフォテインメント・システム用タッチモニターの表示も滑らか。アンドロイド・オートとアップル・カープレイをサポートする点も評価できる。

実際の感触も含めて知覚品質は、従来のフィットより向上している。プラスティックそのままの部品は、探すまでもなく用いられている。広いフロントガラスは視認性に優れるものの、ダッシュボード上部を覆う、黒いプラスティックパネルの映り込みが強いのが残念だ。

ホンダ・フィットの魅力をうまく引き出し、広げたのがフィット・クロスターだといえる。標準のフィットの良い部分をそのまま残しながら、クロスオーバー風のアピール力を効果的に獲得している。

新しいフィット・クロスターの誕生に、喜ぶユーザーも多いだろう。筆者としては、ホンダらしい走りの魅力を引き出したクルマも、欲しいところではある。

ホンダ・ジャズ(フィット)・クロスターEX(英国仕様)のスペック

価格:2万2635ポンド(298万円)
全長:4060mm
全幅:1725mm
全高:1556mm
最高速度:172km/h
0-100km/h加速:9.9秒
燃費:20.9km/L
CO2排出量:110g/km
乾燥重量:1253kg
パワートレイン:直列4気筒1498cc+ツイン電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:108ps(システム総合)
最大トルク:25.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:CVT

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