アルファロメオのバルテリ・ボッタスは、F1カタールGPの決勝レースを9番グリッドからスタート。決勝ではひとつポジションを上げ、8位でフィニッシュした。
ボッタスの好結果は、レース直後に出されたセーフティカー中に1回目のピットストップを行なったことが大きい。しかしボッタスは当時、早々にピットストップすることを疑問に思っていたという。
■バルテリ・ボッタスが自転車に熱中する理由「F1に集中する間に、気分を切り替えることができる最高の手段だ」
今年のF1カタールGPは、各タイヤセットに使用可能周回数の上限が設定されるという、前代未聞のレースとなった。そんな中ボッタスは、その制限を最もうまく活用したドライバーだったと言えるだろう。
スタート直後の1コーナーでは、メルセデス勢が同士討ち。これでルイス・ハミルトンがコース脇のグラベル・トラップにハマってしまったことで、いきなりセーフティカーが出動することになった。
前述の通り今回はタイヤに使用周回制限がかけられており、18周を超えてタイヤを使ってはいけないということが規定されていた。事実上、3ストップが義務付けられるような格好になったわけだ。そのためセーフティカーが出動した際すぐにピットに飛び込み、ロスタイムを最小限にしてピットストップ義務を消化したいところだが、1周目にピットストップしてしまうと、その後を18周、18周、18周と繋いでも、チェッカーフラッグまで届かない計算となる(今回のレース周回数は57周)。
しかし3周目に入れば、その後を18周のスティントを3回繰り返せば、丁度57周に届く。3周目もまだセーフティカー先導中だったため、ボッタス、ケビン・マグヌセン(ハース)、ランス・ストロール(アストンマーチン)、リアム・ローソン(アルファタウリ)の4人がピットに飛び込んだ。中でもボッタスは、この時点で9番手と入賞圏内につけていたため、驚きの判断だったと言える。
ただこれが功を奏し、他車も義務ピットストップを終えるとポジションを回復し、結局8位でフィニッシュすることに成功した。とはいえボッタスも、当初はこの判断を疑問に思っていたという。
「クリーンなレースだったし、良い戦略だった。もちろん、良いポジションにつけていたから、3周目にピットインするのは違和感があったよ」
そうボッタスは語る。
「その判断は結局、残り全てのスティントで同じ周回数(18周)を走らなければいけないことを意味していた。でも、それがチェッカーまで最速で走り切る方法だと考えたんだ。それについては、本当に満足している」
「もちろん、ルイス(ハミルトン)がリタイアし、サインツ(カルロス・サインツJr./フェラーリ)が出走しなかったことは、ある意味幸運だった。もしそうじゃなかったら、大変なレースになっていただろう」
「でも、時にはちょっとした幸運も必要だ。そして今日は全てがうまくいった。周(冠宇)も後方からスタートして、10位(他車のペナルティで9位に繰り上がり)に終わったんだからね。彼も素晴らしいレースをしたと思う」
周はボッタスとはまるで逆の戦略を取り、18周-17周-17周と最初の3スティントでほぼ制限最大の周回数を走り、残りわずかな距離、しかも最も燃料が軽くなった段階でソフトタイヤを履くをいう戦略で、大きくポジションを上げたのだった。
今回アルファロメオは6ポイントを獲得。コンストラクターズランキングではハースを抜き、8番手に浮上した。7番手ウイリアムズとの差は7ポイントだ。
「少しずつ差を縮めていくよ。今は確実に進歩しているし、ようやくアップグレードを100%理解できたように感じている」
そう打倒ウイリアムズについて語る。
「もちろん次のレースは全く異なるコースになる。でも今週は間違いなく競争力があったようだ」
タイヤの使用可能周回数に制限があるのは、ボッタスから見ても奇妙なことだったようだ。
「かなり奇妙だった。その一方で、いつストップしなければいけないかが大体分かっているから、誰にとっても予測しやすいレースだったと思う」
「そして、安全のためには良かったと思う。少なくとも、レース中には何の事件もなかったからね。安全性は最優先されるべきなんだ」
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