過激さで魅了した2ストマシン
●文:沼尾宏明、中村友彦 ※本記事で取り上げる「初」は、公道走行可能な量産二輪市販車としての”初”を意味します。なお、その定義には諸説ある場合があります。
初代ガンマが登場! アオシマ1/12完成品バイクシリーズ最新作、RG250Γが11月発売に
〈特集〉時代を切り拓いた革新のエポックマシン
’88 RGV250Γ:全てを一新、過激さで魅了したVガンマ
並列ツインのRG250Γから決別し、’88年3月、パワフルなV型を積んだ後継機・RGV250Γがデビューした。車体は日の字断面のDC-ALBOXフレーム、φ41mmフォークにラジアルタイヤで武装。ジャジャ馬ぶりが評判だった。
―― 【’88 SUZUKI RGV250Γ】■車重128kg(乾) 水冷2ストV型2気筒ケースリードバルブ 249cc 45ps 3.8kg-m ■当時価格:56万9000円
’90 RGV250Γ〈国産初・湾曲スイングアーム〉GPマシン直系の後脚
’88年のデビュー以来、過激な走りで人気を高めていたVガンマが、早くも2年後にビッグチェンジを敢行した。2スト90度V型ユニットは、より高度に電子制御を行うSAPCやスリングショットキャブレターを採用し、排気バルブのAETCがIIに進化。最大トルクは0.1kg-m増の3.8kg-mとなった。さらに国産車初となる湾曲スイングアームによってチャンバーの容積を稼ぐことができ、右2本出しサイレンサーが実現。これらはWGP500マシン=RGV-Γ直系のメカで、後にも先にも右2本出しは国産レプリカ唯一となる。車体面でも2スト勢初の倒立フォークや、ピボット部の肉厚を増したフレームで強化。優れたバランスとルックスで玄人から人気を集めた。
―― 【’90 SUZUKI RGV250Γ】■車重139kg(乾) 水冷2ストV型2気筒ケースリードバルブ 249cc 45ps 3.9kg-m ■当時価格:60万9000円
―― 【最高峰レーサーとソックリに進化】GPの参戦を休止していたスズキが’88年から5年ぶりにフル参戦を再開。V4のRGV-Γがイメージリーダーとなり、Vガンマ(VJ22A)にも同様の機構が多く与えられた。湾曲アームによってチャンバーは真円に近い断面形状となり、ストレートに配置できるため、出力向上も望める。
―― 当時スズキの絶対的エース、#34ケビン・シュワンツ。当初RGV-Γはパワーで劣ったが、豪快なブレーキングと旋回速度で、ガードナー、レイニー、ローソンらと渡り合った。’93年、ついに年間王者に輝く。
―― ’90シーズンからスズキワークスのメインスポンサーがペプシからラッキーストライクに。’91年にレプリカが登場し、大人気になった。
―― ’93年型でスイングアームをトラス式に変更。単体重量は不変ながら、剛性を10%高め、リンクも改良された。
’96 RGV-Γ250SP:2ストレプリカのラストを飾ったのもガンマ
最後にして究極の2ストレーサーレプリカと呼ばれているRGV-Γ250SPは(車名のΓの位置がレーサーと同じになり、SP仕様のみを販売)、すでにレプリカブームが終焉を迎えた’96年にデビュー。開発ベースは’95年の全日本選手権GP250クラスを制したXR95で、70度Vツインやアルミツインスパーフレームを筆頭とする、ほとんどのパーツが新規開発だった。吸気系はラム圧過給を考慮した設計。
―― 【’96 SUZUKI RGV-Γ250SP】■車重134kg(乾) 水冷2ストV型2気筒ケースリードバルブ249cc 40ps 3.5kg-m ■当時価格:77万7000円
―― ’80年代以降の2ストスポーツバイクはキック始動が当たり前だったのだが、RGV-Γ250SPの始動方式はなんとセルのみ! もちろんセルモーターは専用設計の超小型&軽量品である。クラッチは乾式が標準。
―― STDから約2ヶ月遅れの’96年4月に登場したラッキーストライクカラー車は、当時の世界GPや全日本選手権で数々の栄冠を獲得した、ワークスレーサーの雰囲気を再現。
関連するアーカイブ
◆ 〈特集〉時代を切り拓いた革新のエポックマシン
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
みんなのコメント
この時代は、コーラ飲まずにペプシにこだわってた。
250γで切り開いたレーサー・レプリカの道への自らのファイルアンサーだったのだろう。
その後、歴史の悪戯に依り2stエンジン自体が衰退して行くと言う運命。
あの栄光は戻らない。