欧州でも提供される純EV7シーター
今回試乗した、どこか見慣れたクルマはフォルクスワーゲンID. 6。中国専用モデルだと考えられてきたが、フォルクスワーゲンの純EVサブブランド内での位置付けが見直されているようだ。最近の情報では、欧州でも提供されるという。
<span>【画像】フォルクスワーゲンID. 6とID. 4 7シーター以上の純EVは他にも 全105枚</span>
このID. 6は、基本的にはID. 4のホイールベースを伸ばしたクロスオーバー。フォルクスワーゲンの純EVとしては最大のモデルで、7シーター・レイアウトが可能になっている。
ID. 4と比較すると、全長は約300mm伸び、全高は約70mm大きい。見た目では、サイドウインドウのリア側が伸ばされていることがわかりやすい違い。トランクリッドの中央には、ID. 6とエンブレムが貼られる。
AUTOCARが中国で試乗したのは、ID. 6 Xと呼ばれるモデル。同じ内容ながら、少し見た目に変化が与えられたID. 6 クロスという別バージョンも存在する。
どちらも中国仕様の場合、製造するのはフォルクスワーゲンと中国メーカーとの合弁企業。SAICフォルクスワーゲンは上海でID. 6 Xを、一汽フォルクスワーゲンは仏山でID. 6 クロスを担当するという。
パワートレインの構成には4種類がある。 58kWhか77kWhの容量の駆動用バッテリーを搭載し、最高出力179psか203psを選べる後輪駆動が3種類。さらに、77kWhのバッテリーと前後2基の駆動用モーターで総合306psを発揮する、四輪駆動が頂点を飾る。
試乗車は四輪駆動の306ps版。欧州仕様の航続距離は発表されていないものの、ID. 4 GTXの479kmより僅かに短くなるだろう。
トゥアレグ級に広い車内
ID. 6 Xで感じるID. 4での既視感は、シンプルなデザインのインテリアでも共通。5.3インチのモニター式メーターパネルと、12.0インチのインフォテインメント用タッチモニターも、ID. 4と同じものだ。
エアコンなど車内の機能は、主にタッチモニターとタッチセンサーで操作する。ID. 4でも同様ながら、ドライブモードの選択時などは少々反応が過敏な印象。インターフェイス・デザインも、まだ改善の余地はあると思う。
試乗車がプライムというトップ・トリムグレードだったこともあり、内装の素材は上質。シートにはキルト風のステッチが施され、パネル類の触れられる部分は、多くがソフト加工されていた。
ただし、ダッシュボード中央にあしらわれたテクスチャー付きのプラステイック製トリムは、少し安っぽい印象も受ける。目線を下ろせば、硬質なプラスティック・パーツもふんだんに使われている。
ID. 4から全長が伸ばされただけあって、車内空間はID. 6 Xのストロングポイント。トゥアレグ級といえる広さがあり、2列目シートは余裕たっぷり。
3列目シートでも殆どの大人が問題なく過ごせるはずだが、身長が高い人は長距離を避けたいかもしれない。足もとの空間は広いものの、傾斜したルーフラインで高さ方向に少しの制限があるためだ。
そうはいっても、7シーターとしてのパッケージングは見事。内燃エンジンを搭載する従来モデルと比較しても、妥協のようなものは感じられない。
実用性や価格などは他を寄せ付けない
荷室空間にも不足はなく、3列目シートを使った状態で202Lが残る。2列目と3列目のシートを折りたためば、1800L以上の大空間を作れる。また7シーターだけでなく、左右で独立した2列目シートを備える、6シーター仕様も選べる。
ID. 6 Xを運転してみると、ステアリングの重み付けはちょうど良く、フィードバックも充分にある。フォルクスワーゲンらしく、自然なフィーリングで運転できる。
試乗車には21インチという大きなアルミホイールが履かされていたが、乗り心地はソフト。欧州市場で提供されるID. 6 Xの場合は、専用のサスペンション・チューニングを得ると考えられる。
中国仕様を試乗した限り、ダイナミックという表現はあまり適さないだろう。最高出力は300馬力を超えるが、パフォーマンス自慢と呼べるほどではない。とはいえ、7シーターの純EVとして何か大きく変更が必要だとも感じられなかった。
欧州仕様の正式発表はまだながら、ID. 6 Xのソリッドな質感や、広大な車内空間といった内容は印象深いものだった。ID. 4に3列目シートを加えたモデル、という考え方に期待する通りの内容を備えている。
今のところ、6名以上が乗れる純EVは選択肢が限られる。テスラ・モデルXは、英国価格が10万ポンド(約1520万円)を超えてしまう。実用性や価格など、総合力でフォルクスワーゲンID. 6 Xを上回る7シーター純EVはないといって良いだろう。
フォルクスワーゲンID. 6 X プライム(中国仕様)のスペック
中国価格:33万5888元(約601万円)
全長:4876mm
全幅:1848mm
全高:1680mm
最高速度:161km/h
0-100km/h加速:6.6秒
航続距離:510km(NEDC値)
電費:5.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2395kg
パワートレイン:AC非同期モーター(フロント)+AC同期モーター(リア)
バッテリー:77.0kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:306ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:−
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みんなのコメント
タイヤや足回り等、経年劣化が凄いことになりそう。