北欧スウェーデンを代表するツーリングカー選手権、STCCスカンジナビア・ツーリングカー選手権ことTCRスカンジナビアの第6戦が、シリーズ唯一の国外戦となるデンマーク・ユランリングで開催され、PWRレーシングのエースを務めるロバート・ダールグレン(セアト・クプラTCR)が今季4度目のポールポジションから、地元勢を打ち破って完勝を果たした。
かつてはスウェディッシュ・ツーリングカー選手権としても知られたSTCCは、2017年からTCR規定を採用し、今季が3年目のシーズン。その初年度となる2017年にTCR規定STCC初代王者の座に輝いたダールグレンは、デンマーク中部で9月7日に開催された予選でも好調を維持。ここユランリングをホームコースとする地元勢、キャスパー・エルガードのFK8ホンダ・シビック・タイプRをコンマ5秒ほど突き放し、今季4度目のポールを確保した。
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この最速タイムで2点を加算したダールグレンは、2度目の戴冠に向け選手権ライバルのトビアス・ブリンクと17点差の状態で日曜レース1に臨むと、スタートでも危なげなくホールショットを決め、首位をキープ。
2番手にワイルドカード参戦の地元勢、マッシブ・モータースポーツのFK8シビックに乗るエルガードが続き、その背後にはブリンク・モータースポーツのアウディRS3 LMS、トビアス・ブリンクとアンドレアス・ウェルナーソンのタイトルコンテンダー2台が続いていく。
すると3周目にはエルガードがジャンプスタートのペナルティを取られて後退し、ダールグレンの僚友であるSTCC優勝経験を持つ女性ドライバー、ミカエラ-アーリン・コチュリンスキー(セアト・クプラTCR)の目の前、6番手でコースへと復帰する。
さらに7周目終わりにはハンス・モーリン(アウディRS3 LMS)にもペナルティが下り、ポジションをふたつ失うと、コチュリンスキーの背後で猛烈なプレッシャーを掛けていく。
しかし18周のレースを通じてこのヤングドライバーを抑え込んだコチュリンスキーは、6番手のポジションを維持したままフィニッシュラインへ。後方へのケアで前方エルガードを楽にする展開にはなったものの、午後のレース2に向けモーリン、コチュリンスキーのふたりがリバースグリッドのフロントロウを確保することになった。
一方、先頭ではダールグレンが一人旅を決め込み、8秒のマージンを持ってポール・トゥ・ウイン。ランキング2位のブリンクに対し24点差とリードを拡げた。
続くレース2は波乱続出の展開となり、コースに潜んでいた罠が番狂わせを演出。スタートではセカンドロウ4番手のアンドレアス・アールベルグ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が正真正銘のロケットスタートを決め1コーナーで首位浮上を果たすと、その背後にはモーリン、ブリンク、ウェルナーソンのブリンク・アウディ艦隊が追随。
さらにその後方では、こちらも地元勢のマッドブル・レーシングのキム・ルンド(セアト・クプラTCR DSG)がコチュリンスキーを仕留めるべくインサイドにダイブすると、その縁石内側に溜まった水溜りに足をすくわれ、彼女のドライブするセアトの鼻先をかすめて、アウトサイドにいたインサイト・レーシング、マーティン・ジェンセンのアルファロメオ・ジュリエッタTCRに激しく衝突。2台は大破し自走不能となり、これでいきなりのセーフティカー(SC)導入となる。
リスタート後は5番手ウェルナーソンのアウディが右フロントタイヤの異変で後退し始め、代わって中団ではダールグレンが10周目にエルガードをかわして4番手に上がってくる。
この2台はその後もコース全域でテール・トゥ・ノーズのバトルを展開すると、3番手モーリンのアウディを含めた三つ巴の争いに発展。すると、ファイナルラップを目前にしてまたも悲劇が起こる。
ダールグレンのミスに乗じて4番手を取り戻したエルガードは、その勢いのままに1コーナーに向け3番手浮上を狙いモーリンのインサイドにダイブするも、そこにはオープニングラップでルンドらを葬ったウォーターハザードが依然として口を開けて待っており、コントロールを失ったシビックはモーリンのアウディを道連れにコースオフ。
奇しくも、地元デンマーク勢としてコース特性をもっとも良く把握しているはずのふたりには、このアクションによりレース後リザルト除外処分が言い渡され、VWのアールベルグが後方の混乱に乗じてコンマ8秒差でシーズン2度目のトップチェッカー。ブリンク、ダールグレンの王座争い当事者たちが表彰台を分ける結果となった。
これでポディウムを拾ったダールグレンは221点で首位を独走し、21点差でブリンク、その10点後方にアールベルグ。そしてランキング4位のウェルナーソンにまでタイトルの可能性が残されたまま、10月4~5日のスウェーデン・マントープパークでタイトル決定の最終戦を迎える。
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