マツダが勝負に出ている。直列、縦置きエンジンを搭載する後輪駆動のラージ商品群をグローバルに順次導入し、独自の魅力に磨きをかけるべく動いているのだ。
直列エンジン、特に縦置き6気筒は衝突安全性が低いとされて世界の自動車メーカーが一時期「見放した」エンジンだった。しかし、電動化に必要な補機類を効率よく装着できる点や、衝突安全性の面でも新たなボディ設計技術が生まれ、エンジンそのものが衝撃を吸収できる利点が再評価。
激動マツダの行末やいかに!! マツダ6&CX-80 RE復活はあるか? 社運賭けた新戦略の希望と大胆予想
それでも現状ではメルセデスベンツくらいしか積極的には活用していないが、マツダはそこに賭けると決めたのだ。文字通り「社運」をかけた2030年までの新戦略を読み解く!
※本稿は2022年3月のものです
文・予想CG/ベストカー編集部、写真/MAZDA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2022年4月10日号
■CX-60に続くラージ商品群 マツダ6&CX-80は驚異的クォリティで登場!!!
縦置きエンジンを採用するラージ商品群の第1弾として登場するCX-60。その期待は膨らむばかりだが、その後に続くニューモデルにも注目だ。
国内外でマツダの顔となっているマツダ6、国内では最も大きなサイズとなるCX-80というフラッグシップ2台の登場が控えているのだ。
今年秋頃にマツダ6、続いて来年秋にCX-80という順番になりそうだが、ともに縦置きの直6エンジン+FR(&4WD)を採用するのはいうまでもない。
新型マツダ6の予想CG。FR化することで現行型とはプロポーションが大きく変わるマツダ6。より上級モデルへと移行し、ベンツCクラスがターゲットとなる。2022年秋登場予定
上質なセダンなら、FFよりFRのほうがデザインでも走りでも有利。スタート価格は400万円前後か?(画像はベストカー編集部による予想CG)
マツダ6はボディサイズこそ現行モデルとほぼ同じだが、回転バランスに優れた直6エンジンと、操舵輪と駆動輪が分かれていて自然な操舵感を味わえる後輪駆動を採用することでドライブフィールは大幅に上昇。
あるマツダ関係者は「ベンツCクラスをターゲットにしている」というから、目指している方向性がわかる。
搭載されるパワーユニットは直6、3Lガソリン&クリーンディーゼル+48Vマイルドハイブリッドと、CX-60に初搭載される直4、2.5L PHEVになりそう。ガソリンエンジンは圧縮着火方式のSKYACTIV-Xもラインナップされるだろう。
FR、FRベースの4WD、縦置きエンジン+マイルドハイブリッド&PHEVで構成されるラージ商品群。電動化に伴う補機類の追加は直列エンジンが効率的
CX-80は3列シートの大型SUVで、パワーユニットはマツダ6と同じ。CX-60が登場してもCX-5は継続販売されるのに対し、CX-80の登場でCX-8は終了することになりそうだ。
ここに掲載している両車のCGはまだ予想の段階だが、CX-60が公開されたことで魂動デザインの進化の方向性が見えたことも確か。
CX-60では繊細さのなかにもタフなイメージを加えたデザインとなっており、従来よりも骨太な感覚を加えた外観となりそう。もちろん、内装の上質感はさらに磨き上げられる。
日本のマツダ車で最も大きなモデルとなるCX-80は、意外と少ない高級SUVとして存在感を発揮する。2023年秋登場予定(画像はベストカー編集部による予想CG)
CX-80は3列シートのSUVとなる。CX-8で定評のあった3列目の居住性はさらに磨きをかけられて登場することになる
●直6、FR以上に魅力的な技術も続々
シャシー関係では、ロードスター990Sに初採用されたKPC(キネマティックポスチャーコントロール)が使われるのも注目ポイント。
KPCはコーナリング時のロールを抑えて姿勢を安定させるもので、電子制御ではなく後輪にごくわずかな制動力を与えることで制御しているが、予想以上に効果的なことがロードスターで実証されている。
単にコーナリングスピードが上がるだけでなく、安定感が増すメリットもあり、ラージ商品群にもふさわしいアイテム。KPCはCX-60、CX-80、マツダ6のすべてに採用され、上質な走りを手に入れることになる。
また、独自の先進安全装備「マツダ・コ・パイロットコンセプト」もこれらラージ商品群から実装が始まる。
ドライバーが急病などで操作ができなくなった時に自動で安全にクルマを停止させるシステムで、これは社会的にも価値のある技術。さらにコネクテッド系のシステムも進化型が採用されるなど、ラージ商品群は直6、FRというわかりやすい記号を超えた商品力を持つことになる。
マツダのブランド力をさらに向上させるラージ商品群は、今年夏登場のCX-60を皮切りに魅力的なクルマが続々とデビューする!
マツダの新世代クロスオーバーSUVの主要マーケットはこの表のとおり。残念ながら、CX-50は米国専用となり日本で販売される予定はない
CX-60登場後も人気のCX-5は継続販売される。年次改良を加えながら中心車種であり続ける
■スモール&BEV and more! マツダ2030年までのモデル戦略
マツダのスモール商品戦略は電動化が中心。2030年までの計画は左に示したとおりで、これはマツダが中期経営計画として発表しているもの。まもなくロータリーエンジンを発電専用に使うシリーズハイブリッドとPHEVが正式デビューを果たす。
●2025年までに
・ハイブリッド5車種
・プラグインハイブリッド5車種
・電気自動車3車種を世界市場に導入
●2025年から2030年までに
・複数の電気自動車を世界市場に導入
搭載車種はMX-30となり、今年秋から来年春にはマツダ2がフルモデルチェンジして同様の電動ロータリーユニットが積まれるという情報もある。2030年にはマツダのクルマは100%電動車となり、そのうちの25%が電気自動車(BEV)という計画だ。
ロータリーエンジンを発電専用に使う画期的な電動車はまもなく登場。MX-30のほか次期マツダ2への投入も
Cセグメントまでをカバーするスモール商品群は直3および直4の横置きガソリンエンジン(SKYACTIV-G&X)に24Vのマイルドハイブリッドを組み合わせたものが主力となり、これにロータリー電動車とBEVが加わる。
BEVに関しては、さまざまな車格とボディタイプに対応できるSKYACTIV-EV専用スケーラブルアーキテクチャーを2025年以降に投入し、効率よくBEVラインナップを増やす。
また、実質的CO2ゼロとされるバイオ燃料、合成燃料、水素燃料も視野に入れながら2050年のカーボンニュートラルを目指す。もちろん、マツダ・コ・パイロットやコネクテッドシステムも進化させる。
■トヨタと共同開発の可能性も浮上!? ロータリースポーツ復活のシナリオ
ハイブリッド用の発電専用エンジンとしてロータリーエンジン(RE)が使われるのは周知の事実だが、駆動用エンジンとしてREが復活するという噂も今なお根強く残っている。
RX-8が消滅してから絶えて久しいマツダロータリースポーツのことだ。
このロータリースポーツを、仮にRX-9という車名で話を進めると、これまで入っていた情報では、水素を燃料とするREが有力だった。しかし、ここにきて新たな展開を見せている。トヨタとの共同開発でRX-9が計画されているのではないかというのだ。
今年の東京オートサロンで公開されたトヨタのGR GT3コンセプトがその根拠。それが2015年の東京モーターショーでマツダが出したRXビジョンそのもののデザインだったからだ。
上が「グランツーリスモSPORT」に収録されている「RXビジョンGT3コンセプト」、下が「GR GT3コンセプト」。同じクルマだとしか言いようがない
前後の意匠とルーフラインは変えられているものの、全体のプロポーションは「同じ」としか言いようがないもの。
GR GT3はレーシングカーだから一見わかりにくかったが、ゲームの「グランツーリスモSPORT」に収録されていたRXビジョンGT3コンセプトと対比させると明らか。
フロントフェンダーにあるエアダクトの位置も統一されており、両車は同じクルマなのだ。
飾られていたGR GT3はモックアップモデルで中身に関するアナウンスはまったくなかったが、逆にそれゆえREを搭載する可能性を示しているとも言える。
コンセプトカーとはいえ、マツダが作ったロータリースポーツを、トヨタが別のクルマとして公開しているという事実は注目に値する。RX-9に関して両社の間でなんらかのプロジェクトが進行していることは間違いないのだ。
マツダは「e-SKYACTIV R-Energy」を商標登録している。新しい燃料を使ったREを指していると思われ、やはり水素REの実用化を計画していることがわかる。
そもそもマツダのラージ商品群で使われるFRシャシーはトヨタとの共同開発であるとの噂も根強く、両社の結びつきは思いのほか強いものがあるのだ。
マツダ単独では難しいRX-9の開発も、トヨタと組むなら実現可能性は高まる。ロータリーファンにとってはいい動きだと思うのだが、どうだろう。
2015年の東京モーターショーに出展したRXビジョン。この衝撃的なデザインがGRブランドで復活したことは何を暗示しているのか?
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みんなのコメント
以前から中国新聞はラージクラスはSUVから出すと、相当前から書いていたのに、今年に入ってもベストカーは
ラージクラスはマツダ6が先に出ると書いていた。
そこは自動車メディア業界の東スポw
BMW、ジャガー・ランドローバーもいるだろうに。