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【国内試乗】ハイテクとハイクオリティを凝縮! キャデラックのSUV「XTシリーズ」の “いま”を知る!

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【国内試乗】ハイテクとハイクオリティを凝縮! キャデラックのSUV「XTシリーズ」の “いま”を知る!

100年以上に渡って愛され続ける高級車ブランドのキャデラック。ところが、多くの方はかつてのおおらかなイメージを抱いたままで情報がアップデートされていない。しかし、実は20年以上前からクルマ作りが劇的に変化しているのをご存知だろうか? ここでは、SUVのXTシリーズを俎上に載せ“キャデラックのいま”をお届けする。

明らかに変わったキャデラックのクルマ作り

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ドイツのニュルブルクという町にあるニュルブルクリンクは、過去にはF1も開催されたGPコースと全長約21kmに及ぶ北コースを有するサーキットである。自動車媒体でよく目にする「ニュル」や「ニュルブルクリンク」は主に後者の北コース(ノルドシュライフェ)を指している。
北コースには年に数週間、「IP」と呼ばれる期間が設けられている。「IP」とは「インダストリアル・プール」の略で、自動車メーカーや部品メーカー、タイヤメーカーなどが共同でコースを占有、新型車や新商品の開発を行っている。例えば、自動車メーカーが擬装を施した開発中の秘匿車両をテストする際には、情報漏えいなど細心の注意を払わなければならない案件がたくさんあって、ピリピリしたムードに包まれているのだろうと想像してしまうけれど、各社のテストチームはだいたいいつも同じメンバーなので「調子はどうよ」「開発は順調?」など現場は意外と和気藹々だという。

CADILLAC XT4 Platinum
そんなIPに、それまではほとんど見かけることがなかった〝新参者〞が参加し、周囲をざわつかせたことがあった。それがキャデラックの開発チームだった。キャデラックは主力の前輪駆動のプラットフォームとは別に、あらたに後輪駆動のプラットフォーム(シグマ・アーキテクチュア)の開発に乗り出しており、その第一弾となるCTSのテストに赴いたのである。まさか〝アメ車〞の、それもキャデラックがIPにやってくるなんて、ドイツ勢のIP常連組にとっては青天の霹靂のような出来事だったという。

キャデラック初のコンパクトSUV




このストーリーは比較的有名だけれど、今回初めて知って当時の彼らと同様に驚いた人も少なくないかもしれない。特に日本人のアメリカ車やキャデラックに対するイメージはずいぶん昔のそれがいまだアップデートされないまま残っているようである。すなわち「大きい」「大味」「(値段が)高い」「カーブよりは直線が得意」「ふわふわした乗り心地」などである。実際、アメ車にはそれに近いモデルもあったけれど、少なくともキャデラックは旧態依然とした性能には終止符を打つ決断をした。CTSの開発は2000年初頭。もう20年以上も前の話である。

CADILLAC XT5 Platinum Sport


ニュルでのテストは、何もスポーツカーのためだけではない。北コースの一部では、クルマへの入力が通常の数倍もあるし、路面状況も実にさまざまなので、あそこでちゃんと走れたら、地球上のたいていの道では難なく走行できる。だからセダンやSUVでもテストをする意味は十分あるのだ。

高級感と快適性を兼ね備えた5人乗りSUV




CTSでニュルでのテストを本格的に開始して以来、キャデラックのクルマ作りは明らかに変わった。エスカレードというSUVの王様みたいなモデルはあったものの、いまでは(エスカレードよりは)コンパクトなSUVをキャデラックが提供するに至った。これだって、昔を知る人からすればキャデラックがニュルでテストをすることと同じくらい驚愕的事実だと思う。そんなキャデラックのSUVは〝XT〞と呼ばれ、日本にはXT4/XT5/XT6が導入されている。そのいずれもが、呆れるくらいボディが頑強に作られていて、過去のニュルでのテストの経験や知見が明らかに活かされている。サスペンションにきちんと仕事をさせるためにも、振動を抑え込んで乗り心地と静粛性を向上させるためにも、ボディの強化は万能の薬であり、現行のキャデラックはちゃんとそれが分かっているのだ。

XTシリーズは本物のラグジュアリーSUV

発表年次では2017年のXT5、2018年のXT4、そして2019年のXT6と続く。こうして毎年新しいSUVを次々と発表するという体力と積極性はさすがGMである。ボディサイズは数字が大きいほど大きく、全長はXT6=5060mm、XT5=4825mm、XT4=4605mm。室内の広さはもちろんボディサイズに準じているが、イメージとしてはXT4がちょっと広めのワンルーム、XT5がふたりでは十分な1LDK、そして3列目シートを装備するXT6は子供がいてもゆったりできる2LDK、といった感じだろうか。
この3台、兄弟と言ってもいいくらい乗り味はそっくりだ。静粛性の高さは高級車ブランドのキャデラックの名に恥じないレベルで、どれも遮音/吸音の処理がしっかり施されている。3台をせっせと乗り換えても、どれかだけウルサイなんてことはなく、目を閉じて耳を澄ませたらおそらく違いが分からない。エンジン音は聞こえるものの、遠くの方で静かに歌っているくらいの音量である。

CADILLAC XT6 Platinum


エンジンは、XT4が2Lの直列4気筒、他の2台は同じ3.6LのV6を搭載する。XT6のほうが重いのでXT5は瞬発力に優れるものの、XT6でも十分にパワフルだ。パワースペックはいずれも同一の314ps/368Nmで、決して目を惹くような数値ではないけれど、実際の動力性能は数値以上と感じるほど。その理由は、組み合わされる9速ATの最適なギア比の設定とシフトタイミング、そしてキレのいいシフトチェンジにある。いたずらにエンジンパワーを上げなくても、トランスミッションのセッティング次第で動力性能のポテンシャルを引き出すことができるんだとあらためて実感する。そしてこの印象は、4気筒のXT4でもまったく変わらない。参考までに、V6にも直4にも気筒休止が備わっているので、それこそ「アメ車=燃費が悪い」なんてことは微塵もない。

6人乗り3列シートのラグジュアリーSUV




きわめて正確かつステアリング操作に対してリニアに動く操縦性や、4輪の路面の追従性がよくサスペンションがしっかり動いて必要以上にばね上が動かないしっとりとした乗り心地などもまた、3車に共通する乗り味である。しいて言えば、もっともコンパクトなボディのXT4はダイレクト感があってキビキビと走るいっぽうで、XT6は全般的にゆったりと、でも決してダルくない走りに終始する。そしてXT5は、両車を足して2で割ったあたりにすっぽりと収まっている。

キャデラックは昔から「○○風」とか「○○調」のトリムは使わず、レザーやウッドやカーボンパネルなどはすべて本物を採用し、素材の持つ本来の質感や見栄えを大切にしてきた。そういった「上質」に対するこだわりは3台のSUVにも受け継がれている。古くからのキャデラックらしさが残っているとすればむしろそれくらいで、その他の部分、特にボディ設計技術や操縦性や動力性能にもはや過去の面影は見られない。XT3兄弟は、現代の競合車と同じ土俵に堂々立てる性能を備えた、本物のラグジャリーSUVである。これを知っているといないとで、クルマ選びの楽しさは違ってくると思う。

【Specification】キャデラック XT4プラチナム
■車両本体価格(税込)=6,840,000円
■全長×全幅×全高=4605×1875×1625mm
■ホイールベース=2775mm
■車両重量=1780kg
■乗車定員=5名
■エンジン種類=直4DOHC16V+ターボ
■駆動方式=AWD
■排気量=1997cc
■最高出力=230ps(169kW)/5000rpm
■最大トルク=350Nm(35.6kg-m)/1500-4000rpm
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=(前)ストラット/コイル、(後)マルチリンク/コイル
■ブレーキ=(前後)Vディスク
■タイヤ=(前)245/45R20、(後)245/45R20

【Specification】キャデラック XT5プラチナムスポーツ
■車両本体価格(税込)=7,990,000円
■全長×全幅×全高=4825×1915×1700mm
■ホイールベース=2860mm
■車両重量=1990kg
■乗車定員=5名
■エンジン種類=V6DOHC24V
■駆動方式=AWD
■排気量=3649cc
■最高出力=314ps(231kW)/6700rpm
■最大トルク=368Nm(37.5kg-m)/5000rpm
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=(前)ストラット/コイル、(後)マルチリンク/コイル
■ブレーキ=(前後)Vディスク
■タイヤ=(前)235/55R20、(後)235/55R20

 

【Specification】キャデラック XT6プラチナム
■車両本体価格(税込)=8,990,000円
■全長×全幅×全高=5060×1960×1775mm
■ホイールベース=2860mm
■車両重量=2110kg
■乗車定員=6名
■エンジン種類=V6DOHC24V
■駆動方式=AWD
■排気量=3649cc
■最高出力=314ps(231kW)/6700rpm
■最大トルク=368Nm(37.5kg-m)/5000rpm
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=(前)ストラット/コイル、(後)マルチリンク/コイル
■ブレーキ=(前後)Vディスク
■タイヤ=(前)235/55R20、(後)235/55R20
公式サイト https://www.cadillacjapan.com/suvs

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みんなのコメント

3件

  • 左ハンドルしか用意されていない時点で、大多数の日本人ユーザーにとっては論外・選択外
       
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