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ポルシェ好きなら「じゃないほう」のミュージアムも訪問必須! 本物のファン感涙のレア展示がヤバい

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ポルシェ好きなら「じゃないほう」のミュージアムも訪問必須! 本物のファン感涙のレア展示がヤバい

 この記事をまとめると

■ポルシェには本社隣接とは別に創業の地オーストリア・グミュントにもミュージアムがある

低価格なMRポルシェの914に911用エンジンを載っけたら911より高くなっちゃった! 幻に終わった「ポルシェ916」という残念なモデル

■グミュントのミュージアムはもともと私設であったが現在はポルシェAGが運営をしている

■ポルシェ創業地らしく初期作品も多い歴史を感じさせるミュージアムとなっている

 もうひとつのポルシェ博物館

 現在はシュツットガルトに拠を構えるポルシェAGだが、75年前の1948年、同社はオーストリア・グミュントで起業、生産を開始している。設立者は、乗り物の設計に関して鬼才と言われたフェルディナント・ポルシェの息子フェリー・ポルシェだ。ポルシェは、戦前の1930年代初頭から設計事務所を構え、ツェンダップやヴァンダラー、アウトウニオンなどの依頼を受けて車両、あるいはエンジンの開発・設計を行っていた。言ってみれば、ドイツ・モータリゼーション史の中核的な存在だったことになる。

 そのポルシェが、1948年、オーストリア・グミュントに「ポルシェ製造会社」を設立。戦後、第二次世界大戦の敗戦国(と言うより、歴史観は戦犯国)であるドイツの企業を接収しようという動きがあり、ポルシェはこれを避けるため隣国オーストリアで起業する運びとなったものだ。

 こうしたポルシェ発祥の地であるグミュントに、じつはもうひとつのポルシェミュージアムが存在する。シュツットガルトのミュージアムは、ポルシェAGが直接、管理・運営するミュージアムだが、このグミュントのミュージアムは、「ポルシェ自動車ミュージアム ヘルムート ファイフホーファー」という施設名が示すように、個人が私設ミュージアムとして設立したものだ。

 設立は1982年。風光明媚なオーストリアの高原地、グミュントに設立されたこのミュージアムは、もちろんポルシェ車全般についての展示を行っているが、その主力はポルシェの創始者、フェルディナント・ポルシェ博士が携わった車両を核としている。グミュントは、フェルディナント・ポルシェとポルシェ社の創生期、シュツットガルトはポルシェ社全般の車両と同社の足取り、将来像を示す形で運営、展示されている。

 建屋は2階建て。展示車両は1階に10台弱、2階に20数台が並べられている。1階のエントランスから入ってすぐの小部屋に、VWビートルに始まるフェルディナント・ポルシェ博士の設計による一連の空冷水平対向エンジンが展示されている。

 発端はVWビートル用の1.1リッター369型空冷水平対向4気筒として始まっているが、戦後ポルシェブランドとして356の生産が始まると、主力は616/692型の1582cc1.6リッターエンジンに発展。最終的にはカレラ2で使われた1966ccDOHCの587型まで作られている。

 なお、この587型エンジンは、最終型で3型に進化しポルシェ904の4気筒仕様車に搭載されている。

 ときにレアな展示も行われるグミュントのポルシェ博物館

 興味深いのは、第二次世界大戦中、当時のナチス政権によって開発を命じられた軍用車両のいくつかが展示されていることだ。タイプ82キューベルワーゲン、ポルシェ597ヤークトワーゲン、VWタイプ87コマンデュールスワーゲン(VWビートルの4WD仕様)が、きれいな状態に仕上げられ展示されていた。

 VWは、フォルクスワーゲン(国民車)構想で立ち上がったプロジェクトだが、実際に市販されたのは戦後のことで、戦中はそのシャシーをベースに、すべて軍用車として作られていた経緯がある。

 このミュージアムには3回ほど足を運んだが、ポルシェAGとの協力関係によって、ときとして珍しい車両を目にすることができる。これまで目にできたのは、1970年代に917とともにポルシェのスポーツカーレースを支えた908スパイダーのルーツとなる910ベルクスパイダーと、グループCカーとして圧倒的な強さを示した962の1号車だった。

 ヒルクライム用として開発されたベルクスパイダーは、1967年の910ベルクスパイダーを皮切りに、その発展型として1968年に909ベルクスパイダーに進化し、1970年に908スパイダー3型(正式表記は908/3)として快足ぶりを発揮した車両である。

 ポルシェ962は、もともと安全規定が厳しかったアメリカでのIMSAシリーズに対応したモデルで、グループCカーより先に作られたが、ターボチャージャーはシングル仕様というIMSAの規定に合わせ、リヤカウルのエアインテーク形状などがグループCカー仕様とは異なるデザインを持っていた。今回、これら2車を見ることはできなかったが、どちらもシュツットガルトのミュージアムでは目にすることがなかった興味深い車両である。

 ポルシェファンでありスポーツカーファンであれば、シュツットガルトのミュージアムは必見だが、1度訪れてみるとポルシェ博士の存在が気になり始め、わざわざオーストリアのグミュントまで足を運ぶ顛末となっていることに気付かされる。

 戦後に成功したスポーツカーメーカーとして、このポルシェとフェラーリを挙げるのは常識化しているが、企業の歴史はほぼ同じながら、創設者のタイプがまったく異なる点は非常に興味深い。片や数々の作品を生み出した天才エンジニア、もう一方はレーシングドライバー、チームオーナーを経てスポーツカーメーカーを起業した立志伝中の人物である。

 突出した性格の車両、スポーツカーやレーシングカーを製造するメーカーのミュージアムを巡っていると、創設者や企業のポリシー、方向性などがダイレクトに伝わってくるからおもしろい。歴史に裏打ちされたブランドの真価を肌身で知ることができるからだ。

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みんなのコメント

1件
  • はち
    フロントエンジン、トランスアクスルのミュージアムかと思いました。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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