12月12日に行われた2023年ホンダモータースポーツ活動計画発表会において、2022年フォーミュラ・リージョナル・アメリカズ(FRA)王者のラウル・ハイマンがB-MAX Racing Teamに加入し、2023年の全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦することが明らかにされた。
南アフリカ生まれのハイマンは15歳からイギリスに移住し、レース活動と並行してロースクールで法律を学んだ。そんなハイマンは、2019年の終わりに鈴鹿サーキットで開催された全日本F3選手権のテストにB-MAX Racing Teamから参加し、2020年シーズンからは日本での活動を渇望していた。
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しかし、コロナ禍に伴う入国の水際対策で来日が果たせず、2020年と2021年シーズンはレース活動を休止。2022年はSFのスカラシップを手にするべく渡米。FRAで王者となり、念願だった日本のトップフォーミュラのレギュラーシートを勝ち取った。
「先日、日本に再訪を果たした際に空港に『ようこそ日本へ』と書いてあって、それを見た瞬間は本当に感動したね。ようやく戻ってくることができたんだと、本当に長いこと待ち望んでいたんだ。そして、僕はついにSFドライバーになった。僕の願いを叶えてくれたホンダには感謝している。そして、僕を支えてくれているすべての人にも感謝したい。みんなの想いに応えるためにも、ベストを尽くしたいね」とハイマン。
12月7~8日に鈴鹿サーキットで行われたSF合同/ルーキーテストは、ハイマンにとって2度目の鈴鹿。さらには、車両もシェイクダウンという状況だったこともあり、4セッションとも20番手に沈んだ。
「シェイクダウンだったから、いくつか改善しなければいけないこともあった。だから、まだこれからだね。テストではできるだけ多くの周回数を重ねることにフォーカスしていたから、まだ他の車両とタイムを比較するようなセットアップは試していないんだ」とハイマンは鈴鹿テストを振り返る。
「そして、SFは初めての経験だったから、まずはスピードに慣れることや、タイヤのウォームアップ、ピットストップやスタートの練習など、すべては“慣れる”ための2日間だったと考えている。だから、まだライバルとのタイム比較まではできていない。そして、今は自分自身の改善点を分析中なんだ。ラップタイム以外の部分で自分をどのように成長させることができるか。そこにフォーカスしている段階だ」
「組田龍司オーナーも本山哲監督も経験豊富で、2日間のテストだけでも多くのアドバイスやサポートをしてくれた。彼らやB-MAX Racing Teamの経験は必ず僕の役に立つと思う。2023年シーズンは彼らと仕事ができることが光栄だし、彼らから得られるものはすべて物にしたいと考えているよ」
今後、2023年シーズン開幕までの間には、テストの機会は1度だけとなることが濃厚となっている。そんな状況下も、ハイマンは前向きだ。
「まだはっきりとはしていないけど、いろいろなプランはあるんだ。チームと一緒にシミュレーターに取り組むこともひとつだね。日本のサーキットを覚え、SFのエアロダイナミクスを理解し、他のドライバーとのタイム比較もしてみたい」
「ただ、もしSF以外の他の車両でトレーニングを積むことができるなら、全力で取り組みたいね。僕は日本ではまだ鈴鹿しか走ったことがないし、鈴鹿ですら習熟はまだ足りないと感じているから」
そして、ハイマン自身は生活の拠点を日本におきたいと考えているという。
「チームと一緒にまだ考えている最中だけど、僕自身は日本に住みたいと考えている。やはり、より一歩進んで頑張っているんだという姿を見てほしいし、その方が結果もついてくると思う。ベストを尽くすためにはハードワークが必要だ。自分にはそれができるんだと証明したいし、その姿を見せたい。だからできるかぎり日本で生活をしておきたいね」
また、念願のSF参戦が叶ったハイマンは、日本の他のレースカテゴリーにも強い関心を抱いている様子だ。
「2020年と2021年の2年間はレースができなかった。だから今は乗れるものは全部乗りたい! 心からそう思うね(笑)。レースに飽きることはないから、どんどんチャンスがほしい。できるだけ日本でのマイレージ(走行距離)を稼ぎたいし、その経験はSFでも大いに役に立つと思う。それに、別カテゴリーでの走りも見せることで、さらにチャンスの幅も広がるかもしれないからね」
イギリスのロースクールを卒業し、法律の学位(LLB)を持つハイマンの言葉のひとつひとつからはインテリジェンスな一面を感じることができた。自身のパフォーマンスを冷静に分析し、積極的に学びの機会を求めるハイマン。そのハードワークがどのように実を結ぶのか、2023年シーズンの楽しみなポイントになりそうだ。
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