L・ハミルトン選手の壮大な思い×鬼才・空山基の情熱がスパークしたヘルメット
2023年のF1GPはレッドブルが年間コンストラクターズタイトルを第17戦日本GPで獲得し、同チームのエース、マックス・フェルスタッペン選手が第19戦アメリカGPで3年連続となるドライバーズチャンピオンを獲得。残り4レースを残しながらも、盤石の”レッドブル帝国”を強く印象づけた1年だった。これはF1ファンに共通のイメージだろう。
そんな中で、先日9月に鈴鹿サーキットで開催された第17戦F1日本GPをルイス・ハミルトン選手(メルセデスAMG)を中心に見ると、そこは唯一無二の1戦だったことがわかる。
というのも、実はこの日本GPだけヘルメットのベースカラーが異なっていたのである。ハミルトン選手のファンなら、イエローをベースにしたヘルメットが定番だと思っているはずだ。カーナンバーもイエローでコーディネートしている。ところが、日本GPだけはまったく異なるクロームカラーのヘルメットで出場していたのだ。
実はこのヘルメットを作成したのは、世界に誇る日本人イラストレーター・空山基(そらやまはじめ)さんである。世界各地で個展を開催し、熱烈な支持を得ている日本を代表する鬼才のひとりだ。アートの世界に精通しているかどうかは別として、カー・アンド・ドライバーの読者には、AAF(オートモビル・アート連盟)のメンバーとして、誌面にも登場しているのでおなじみの一人でもあるだろう。
それにしても、どういう経緯で今回、空山さんがハミルトン選手のヘルメットを手掛けることになったのか。空山さんに直接お話をうかがってみた。
Q:ハミルトン選手と空山さんの接点。どんな経緯で依頼があったのですか。
空山さん:なんでも、ルイスが私のファンだというので、1年くらい前になにか一緒にできないかという相談があったんです。それで、ルイスと、確かイギリスグランプリの翌日に、ZOOMでミーティングをしました。
Q:ハミルトン選手からは、どのようなオーダーがあったのでしょうか。具体的な色やデザイン、モチーフなどのオーダーがあったのでしょうか。
空山さん:彼はインテリのエリートだから、物理とか未来とか、そういう話にも造形が深くて、宇宙を連想させるデザインにして欲しいの一点張りでした。私は、昔ながらのアナログなパワーとスピードというテーマで、ピンナップの女性像とか恐竜のラピトルとかでもいいと思って提案したんですが、却下されました~(笑)。
Q:制作期間はどれくらいかかりましたか。
空山さん:半年くらいじゃないかな。
Q:実作業で苦労した面はありますか。
空山さん:F1で使うヘルメットというのは、改良があったりするから毎回レースごとに新品を作るらしいんだけど、私のは全部鏡面にしてイチから作っているので、スポンサーのロゴとかの確認が相当大変だったらしい。安全基準で形が決まっているから、野暮ったくならないように、できるだけ小さく見えるように、デザインをしました。
Q:完成品に対するハミルトン選手の反応はいかがでしたか。
空山さん:鈴鹿の前にルイスが私のスタジオに来て、そのときに初めて会って見せました。彼はつはナイスガイだね、純粋に子供のようにスーパークールだと喜んでいましたよ。そのときは「反射するから他のチームからNGが出てレース本番では被れないかもしれない」といっていたんだけど、ルイスが全部のチームを回って承諾を得たらしいよ。結果は表彰台に行けずに残念だったけど、よく頑張りましたって褒めてあげましたよ~。
Q:鈴鹿で使ったヘルメットは、空山さんのお手元にあるのですか。
空山さん:あれはルイスが持っていると思いますよ。私のぶんも、いま作っている最中なので、そのうちお披露目できると思います。
空山さんがハミルトン・モデルを手にした姿をぜひ見たいものですね。
空山基 プロフィール
そらやまはじめ/1947年、愛媛県今治市出身。1971年からフリーランスのイラストレーターとして国内外を問わず幅広く活動。個展開催、画集出版、受賞作品など多数。詳細はNANZUKAホームページ参照。AAF(オートモビル・ アート連盟)会員
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みんなのコメント
レプリカ出てないのかなぁ?