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メルセデス・ベンツの新機軸「EQE SUV」初試乗で別世界へ。出来るBEV×新ジャンルプレミアムツアラーは毎日がきっと楽しい

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メルセデス・ベンツの新機軸「EQE SUV」初試乗で別世界へ。出来るBEV×新ジャンルプレミアムツアラーは毎日がきっと楽しい

カテゴライズとしては、GLE/GLEクーペの系譜に連なる新型BEV「EQE SUV」がデビュー。Eクラス系列としての本流感とともに、次世代ツアラーとしての革新性の絶妙なバランス感覚に、メルセデス・ベンツが至る新たな境地が見えた。

新たなトレンドセッターなのかもしれない
メルセデス・ベンツのラインナップにあって「Eクラス」は常に、ミディアムクラスとして本流ど真ん中を行きながらも、時にファーストペンギン的なチャレンジスピリットも見せながら進化してきたように思える。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

フラッグシップであるSクラスは、有無を言わせない威風堂々ぶりが宿命的に求められる。必然的に、パーソナル感よりもステイタス性の比重が高め。一方、Cクラス以下ではサイズや価格的な制約がやや強めに課せられ、さらには使い勝手や広さなどに「クラスを超えた」という枕詞がつくような付加的価値が重視される。

そういう意味でEクラスは、なかなかに自由だ。サイズ的にもパフォーマンス的にもプレミアム性に至るまである意味、「折々のメルセデスらしさ」を象徴するかのような斬新な目線と広い視野が与えられていた。

そんなEクラスの系譜に連なる新作として新しく加わったのが、2023年8月25日に日本でも正式に発売が開始された「EQE SUV」だ。「E」にカテゴライズされる車種としては「EQE(セダン)」に次ぐフルバッテリーEV専用モデルであり、「GLE/GLEクーペ」とともに人気が集中しているSUVジャンルの一翼を担う。

本家Eクラスには、本道をいくICE版サルーンとワゴンがあり、派生としてクロスオーバータイプの「オールテレイン」も設定されている。さらにスタイリッシュなクーペとカブリオレまで含めれば、カテゴリーとしての多才ぶりは明らか。そのため当初は、EQE SUVというニューフェイスが、このカテゴリーでこれ以上どんな差別化を図るのか、ちょっと想像がつかなかった。

だがしかし、実際にEQE SUVのハンドルを握ってみればそこには、見事に新しい「Eクラス」の世界が広がっていた。あえて率直に第一印象を語るなら、類まれな「家族団らんの時間」を贅沢に楽しむことのできる超絶ハイスペックな家族のためのグランドツアラーといったところ・・・実はこれ、ありそうでなかった「新機軸」と言えるのではないだろうか。

耳障りなノイズなど、不快感を生む要素を絶妙に抑制
日本向けには10月下旬以降に、上級仕様の「メルセデスAMG 53 4マティック+ SUV ローンチエディション」(1707万円)がリリースされる予定だが今回、試乗したのは8月25日に先行して納車が始まった「EQE 350 4マティック SUV ローンチエディション」(1369万7000円)。スタンダードな位置づけとなるものの前後に電気モーターを搭載する4輪駆動モデルで、システム最高出力は215kW(292ps)、最大トルクは765Nmを発生する。WLTCモードの航続距離は528kmだ。

走り始めるとすぐに、その超絶ハイスペックなコンフォートサルーンぶりを実感した。驚くほどに隙の無い快適性が実現されている。メルセデスとしては、電気自動車専用プラットフォームを採用するモデルの第4弾ということになるが、NVH(騒音、振動、ハーシュネス)の調え方がハンパではない。

公式リリースを読み解くと、セダン版のEQEよりもさらに静粛性については厳しい設計要件が課せられていることがわかる。防音材の配置や密封性を高めた構造など、ボディまわりの対策はセダン譲り。EQE SUVの場合はさらに、電動パワートレイン(eATS)自体のNVHが最適化されている上に、ボディへの振動の干渉を防ぎ、振動特性そのものから最適化することで「不快さ」をカットしている。

その恩恵と言えるのが、ほぼ皆無と言っていい電気モーターの駆動音だ。極低速走行時の不快な振動から見事に抑制されており、アクセルを踏み込んで回転が上がっていっても、耳障りな電子的ノイズを聞き取ることは、私にはできなかった。ロードノイズや風切音といった付加的な音源を含めた遮音性の徹底ぶりも、お見事!としか言いようがない。

おかげで乗り心地のなめらかさが、さらに際立って感じられる。加減速時の姿勢やコーナーでの挙動はしっかりフラットさを保っているのに、硬さや粗さはほとんど感じさせない。

それなのにしっかり接地感も感じられるという、ちょっと魔法のような味付けの秘訣は、減衰力を連続可変させるダンパーとエアサスペンションを統合制御するAIRMATICサスペンションにあるのだろう。高速走行時には車高を下げて重心を最適化、段差乗り越え時には車高を上げることも可能にしている。

長旅での充電時間が苦にならない「速さ」。電費効率を磨きぬく
ここまでまとまりが良いと、ともすれば万人受けを狙った退屈なドライビング、を想像させてしまうかもしれない。けれど、EQE SUVの場合は心地よさが先にたつ。そこには、尖がった走りが欲しくなるような余地はない。グランドツーリングに出かけるなら、これほどストレスフリーなBEVも珍しいのではないだろうか。

味わい深いと思わせてくれるのが、さまざまなシチュエーションに対応した効率の高さを体感できるところだろう。Cd値0.25というSUVとは思えないエアロダイナミクスは、ボディ下面の細部に至るまで空力的な調律が徹底されている。自然でよどみのない加速感は、ここから生まれる。

日常から運転のしやすさに結び付く高効率と言えば、ボディサイズにも注目したい。Eクラス系列の中ではもっとも全長が短い4880mmは、コクピットに座っていても無駄な大きさを感じさせない。

ホイールベースは3030mmが確保されるが、後輪操舵の採用によって最小回転半径はBセグメントなみの4.8mに収まっているのも嬉しいポイントだ。これなら、奥さんにも比較的気軽に普段使いを楽しんでもらえるのではないだろうか。

500kmを超える航続距離は、やはり心強いポイント。搭載されるのは、89kWhの大容量リチウムイオンバッテリーだが、急速充電は最大で150kWタイプに対応する。最近は日本の高速道路でも設置が進んでいる90kWタイプなら、電池残量10%から50%の充電が約30分で済む。

電費効率を改善するための新しい制御技術は、ドライバビリティの面でもメリットが感じられた。たとえば、メルセデス初のDCU(ディスコネクトユニット)の採用。走行状況に合わせてフロントモーターとドライブシャフトの連結を解除してくれる。パワーフローをちら見しながらセーリングをしていると、効率の良いドライビングを自然にマスターすることができそうだ。

さらにわかりやすく高い効率を実感できるのは、インテリジェントな回生ブレーキだろう。シフトパドルによって回生の減速度を設定できるのだが、とくに注目は「D Autoモード」。先行車との車間距離を自動的に調整しながら減速の強弱を効率よく制御してくれる。

こちらは時にワンペダル的な強めのアシストが入ることもあって、慣れないとちょっとびっくりするかもしれない。それでもほどなくなじんでくれば、積極的に使いこなしたくなる機能と言える。

キラキラコーデすらも心地よいインテリア。充足感に満ちた時間が流れる
実は試乗日はあいにくの雨模様。それどころか台風の接近で、そうとう強烈な雨模様の中でハンドルを握ることになった。それでも、EQE SUVの室内は本当に居心地がいい。優れた快適性はもちろんなのだけれど、インテリアデザインの未来感が、やっぱり「ちょうどいい」塩梅に感じられたからだ。

左右に広がるトリム部には小さなスリーポインテッドスターがちりばめられ、まるで宇宙空間のような雰囲気を醸し出す。

試乗車はネバグレー/ビスケーブルーの本革内装にアンビエントライトを配したインテリアで、全体的にきらびやか。乗り手によっては時にオーバーデコレーションな印象を受けるかもしれない。けれど、丸型クラシックタイプのデジタルメーター表示など、実際には適度なアナログ感を感じることもできて、派手さの割には落ち着くことのできる空間だった。

センターディスプレイは、タブレットPC感覚でインフォテインメントやコンフォート関連などの設定を操作できるのだが、ここでひとつ、オーナーになったら楽しんでほしいのが「サウンドエクスペリエンス」機能だろう。

冒頭に述べたとおり恐ろしく静粛性が高いのは良いのだけれど、運転する側としては時にはちゃんと「運転している」感を実感したくなる時もある。EQE SUVはそんなときに、3種類のサウンドで「内燃機関感」を操っている気分を、演出してくれるのだ。

個人的に気に入ったのは「Silver Waves」で、いかにも効率の良いエンジンを回して走っているような気分になれる。ユニークなのは「Roaring Pulse」だろう。ちょっとV8のドロドロ感がほほえましい。興味深いのはそれぞれがいかにも、車外からかすかに伝わってくるように響いてくるところ。音があっても、BEVらしい上級感を損なうことはまったくない。

このほかにもEQE SUVには、さまざまな発見がありそうだが、それはもうオーナーになってからのお楽しみということで。家族みんなでその多機能ぶりを、ぜひ試してみて欲しい。いろんな意味で興味の尽きない「秘めたる才能」が、隠されていそうだ。(写真:伊藤嘉啓)

EQE 350 4マティック SUVローンチエディション主要諸元
●全長×全幅×全高:4880×2030×1670mm
●ホイールベース:3030mm
●車両重量:2630kg
●モーター:交流同期電動機
●システム最高出力:215 kW(292ps)
●システム最大トルク:765Nm
●前モーター最高出力:71kW/2682-16031rpm
●前モーター最大トルク:251Nm/0-2682rpm
●後モーター最高出力:144kW/2662-15913rpm
●後モーター最大トルク:514Nm/0-2662rpm
●バッテリー総電圧:330V
●バッテリー総電力量:89kWh
●WLTCモード航続距離:528km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:255/45R20
●車両価格(税込):1369万7000円

[ アルバム : メルセデス・ベンツ EQE SUV 試乗 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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