現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「2000GT」や「LFA」だけではない! ヤマハの技術が注がれた「名車」と呼ばれるスポーツモデルとは

ここから本文です

「2000GT」や「LFA」だけではない! ヤマハの技術が注がれた「名車」と呼ばれるスポーツモデルとは

掲載 53
「2000GT」や「LFA」だけではない! ヤマハの技術が注がれた「名車」と呼ばれるスポーツモデルとは

トヨタのスポーツモデルの進化はヤマハとともにあり

 古くからあるヤマハとトヨタの関係。「トヨタのスポーツエンジンはヤマハ製」という話はクルマ好きの間ではよく挙がる話です。これまでもヤマハが開発に携わったエンジンを搭載したモデルは数多くありました。そんなトヨタとヤマハのタッグによって誕生した、名車たちをピックアップして振り返ってみます。

当時の最高級クラウンの2倍以上の価格! レース現場で鍛えられた「トヨタ2000GT」は日本車史上類をみない傑作だった

和製スーパーカーの元祖と言える「2000GT」

 トヨタとヤマハの関係を語る上で欠かせないのが2000GTです。両社の関係はこのクルマから始まったと言えます。1965年の東京モーターショーで発表され、1967年に発売された2000GTはヤマハが関わった4輪車のなかで、初めて世に出たモデルでもありました。

 元々、自社でスポーツカー製造を試み、さまざまな研究開発をしていたヤマハ。とくに当時としては珍しかった、DOHCエンジンに関する研究開発を精力的に取り組んでいました。「世界に通用するトップレベルのスポーツカーをつくる」を目標に掲げ、そのためには当時最先端技術とも言えたDOHCエンジンの搭載は必要不可欠でもありました。

 そこでトヨタはヤマハへと仕事を依頼。内容としてはトヨタが全体レイアウトや計画、デザイン、基本設計などを行い、ヤマハが既存エンジンのDOHC化による高性能化と、車体及びシャシーの細部設計などを行うというものでした。自社で研究開発をしながらも、あと一歩のところで敵わなかったヤマハのスポーツカープロジェクトでしたが、トヨタからの依頼と2000GTというプロジェクトでそれまでのノウハウが花咲くことになったのです。

DOHCの普及に貢献した「セリカ(初代)」

 ヤマハの手が入った、数々のスポーツエンジンが搭載されたトヨタ車が世に送り出されることとなりますが、その始まりとも言える存在が初代セリカでしょう。日本初のスペシャリティカーと呼ばれるセリカは、フルチョイスシステムと呼ばれるオーダーシステムを採用し、ユーザーの好みにクルマを仕立てることが出来ました。

 それだけに搭載エンジンも多く用意されたのですが、上位グレードに搭載された2T-Gエンジンは、ヤマハと共同開発したものでした。ヤマハ得意のDOHCヘッドを持つこのエンジンは、2000GTのときとは異なりコストを重視して造られ、他メーカーのDOHCエンジン搭載車よりも25~30万円ほど安い87万5000円からという価格設定で販売されました(東京地区での販売価格)。まさにトヨタとヤマハのタッグが、DOHCの民主化に成功したのです。

エンジンだけじゃなく足まわりにもこだわった「スープラ(80型)」

 初代(国内モデルとして)である70型からスープラに搭載されたエンジンにはヤマハが携わっていましたが、80型に採用されたヤマハの技術というのはエンジンだけではありませんでした。1997年のマイナーチェンジでエンジンに可変バルブタイミング機構であるVVT-iが搭載されたことが話題となりますが、ヤマハの技術としては上級グレードに採用されたサスペンションメカニズムであるREASが挙げられます。

 相互連携アブソーバシステムとも言われたこのシステムは、左右のショックアブソーバーオイルを連結させ、減衰力を制御するというもの。乗り心地と操縦安定性向上を実現していました。ヤマハがトヨタのトップスポーツモデルの性能を、さらに引き上げたという訳です。

バイクの技術を応用した「カローラレビン/スプリンタートレノ(101/111系)」

 DOHCの民主化に成功した2T-Gを中心に採用してきたカローラレビン・スプリンタートレノ。のちに4A-Gへと搭載エンジンは移行されますが、4A-Gの最終進化系となる5バルブエンジンは、ヤマハの技術があったからこそと言えます。通常吸気2バルブ、排気2バルブとなっていますが、5バルブエンジンでは吸気が3バルブとなり、より多くの空気を吸い込むことが可能です。

 この5バルブ技術は元々ヤマハがバイクのエンジンで開発したもので、1984年に発表したFZ750というバイクに搭載され、世界初のDOHC・5バルブ機構としてアナウンスされました。その後101/111系のカローラレビン・トレノは、5バルブ化した4A-Gエンジンを搭載。1.6Lの自然吸気エンジンながらリッター100psを超える最高出力を記録し、101系で160ps、111系で165psを発生していました。

世界が認める上質なエンジンサウンドを実現した「レクサスLFA」

 トヨタの歴史のなかでも特別な存在とされるLFA。車両価格3750万円、世界500台限定というこのスーパースポーツも、ヤマハとのタッグで実現したものです。このクルマの目玉とも言える4.8L V10エンジンに、ヤマハは開発初期から関わっていました。とくにヤマハが深く関わったのが、「天使の咆哮」とも称賛されるエンジンサウンドです。数値にすることが出来ない官能性能を高めるため、ヤマハの楽器メーカーとしての技術が投入されました。

 天使の咆哮を実現するため、サージタンクからエキゾーストマニホールド、サイレンサーなど吸排気系のパーツのほとんどが、綿密に音をチューニングし設計されているのです。高性能なスーパースポーツを作るという面でももちろんですが、他車ではあまり考えられない「音」という目標を実現するため、ヤマハの技術が採用されたと言えます。

もっといいクルマを目指すタッグに期待

 長年に亘って協力関係にあるトヨタとヤマハですが、より高性能を求めたからこその協力関係と言えるでしょう。トヨタとヤマハの関係になると「トヨタは自社で開発しないのか」と言われがちですが、もっといいクルマを目指した結果、ヤマハが持つ得意分野を活かすという選択を取ったと考えればプラスと言えるでしょう。

 ヤマハが開発に参入することでよりいいクルマ、楽しいクルマが生まれるのであれば、クルマ好きとして嬉しいことと言えます。現在でもV8水素エンジンを協力体制で開発を進めているなど、クルマ好きとしてはこの2社のタッグは将来も楽しみな体制と言えます。

こんな記事も読まれています

伝統と革新が融合したスポーツモデル!ダイナミックな外観や新世代ISGを引っ提げ、「メルセデスAMG CLE 53クーペ」発売!
伝統と革新が融合したスポーツモデル!ダイナミックな外観や新世代ISGを引っ提げ、「メルセデスAMG CLE 53クーペ」発売!
LE VOLANT CARSMEET WEB
今季10戦目にしてなんと5回目の11位……ヒュルケンベルグ抜群の安定感も”入賞圏外”に落胆「新しいポイントシステムが必要だ」
今季10戦目にしてなんと5回目の11位……ヒュルケンベルグ抜群の安定感も”入賞圏外”に落胆「新しいポイントシステムが必要だ」
motorsport.com 日本版
オートバックスセブン、林野庁と協定締結 店舗での国産木材使用を拡大
オートバックスセブン、林野庁と協定締結 店舗での国産木材使用を拡大
日刊自動車新聞
日産が新型「軽“ワゴン”」発表! ホンダ「N-BOX」対抗の「超背高モデル」! 超スゴイ“ピンク”も追加の「新ルークス」に販売店でも反響あり
日産が新型「軽“ワゴン”」発表! ホンダ「N-BOX」対抗の「超背高モデル」! 超スゴイ“ピンク”も追加の「新ルークス」に販売店でも反響あり
くるまのニュース
そういえば滑りづらくなった!? 首都高の二輪車安全対策「フィンガージョイントすべり止め」「カーブ部のカラー舗装延伸」とは?
そういえば滑りづらくなった!? 首都高の二輪車安全対策「フィンガージョイントすべり止め」「カーブ部のカラー舗装延伸」とは?
バイクのニュース
「ChatGPT」車載化、VWがゴルフやティグアンにオプション設定…欧州仕様
「ChatGPT」車載化、VWがゴルフやティグアンにオプション設定…欧州仕様
レスポンス
アクセルを戻せば減速する……のはわかる! でも説明しろと言われると悩むエンジンブレーキの「仕組み」とは
アクセルを戻せば減速する……のはわかる! でも説明しろと言われると悩むエンジンブレーキの「仕組み」とは
WEB CARTOP
フレッシュアップされたBMW 3シリーズの全情報 価格から走行性能&比較テストまで 新型BMW 3シリーズのすべて
フレッシュアップされたBMW 3シリーズの全情報 価格から走行性能&比較テストまで 新型BMW 3シリーズのすべて
AutoBild Japan
ついに始まった首都高「新ルート事業」の凄さとは 「箱崎の渋滞」も変わる!? 都心に地下トンネル「新京橋連絡路」爆誕へ
ついに始まった首都高「新ルート事業」の凄さとは 「箱崎の渋滞」も変わる!? 都心に地下トンネル「新京橋連絡路」爆誕へ
くるまのニュース
新型コンパクトSUV『EMZOOM』、世界市場で成功…中国広州汽車
新型コンパクトSUV『EMZOOM』、世界市場で成功…中国広州汽車
レスポンス
日本でまさかの拳銃を使ったタクシー強盗発生! キャッシュレス化で現金をもたない仕組み作りが一番の解決策
日本でまさかの拳銃を使ったタクシー強盗発生! キャッシュレス化で現金をもたない仕組み作りが一番の解決策
WEB CARTOP
本田宗一郎とイーロン・マスクに共通点があった? 稀代の経営者を支える「無知の知」とは何か
本田宗一郎とイーロン・マスクに共通点があった? 稀代の経営者を支える「無知の知」とは何か
Merkmal
全長5m級!トヨタが新たな「ラージSUV」まもなく発売!? 17年ぶり復活! 斬新フェイス&車中泊出来そう空間の「クラウン」 発売はどうなった?
全長5m級!トヨタが新たな「ラージSUV」まもなく発売!? 17年ぶり復活! 斬新フェイス&車中泊出来そう空間の「クラウン」 発売はどうなった?
くるまのニュース
伝統を継承するマッスルクルーザー! スズキが米北米市場で2025年型「ブルバードM109R」を発売
伝統を継承するマッスルクルーザー! スズキが米北米市場で2025年型「ブルバードM109R」を発売
バイクのニュース
フレキシブルウイング巡る論争が再燃。メルセデスに注目集まるも、今のところFIAは介入せず
フレキシブルウイング巡る論争が再燃。メルセデスに注目集まるも、今のところFIAは介入せず
motorsport.com 日本版
驚異のパフォーマンス向上! 最新スパークプラグの技術とその効果~カスタムHOW TO~
驚異のパフォーマンス向上! 最新スパークプラグの技術とその効果~カスタムHOW TO~
レスポンス
シボレー コルベット【1分で読めるスーパーカー解説/2024年最新版】
シボレー コルベット【1分で読めるスーパーカー解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
『ぽんこつジムニー』ハコ替え計画26-1「JB64のシートを移植しよう」
『ぽんこつジムニー』ハコ替え計画26-1「JB64のシートを移植しよう」
グーネット

みんなのコメント

53件
  • 97年F1ハンガリーGPのアロウズヤマハ、デイモン・ヒルはあと少しで優勝出来たと思うと悔しかっただろうな。
  • ヤマハと共にと言うか、ヤマハ含め他社頼りでしょ。
    トヨタは技術がないから資金提供だけ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村