先日、4輪F1の将来に関する話題で、2025年までの現行レギュレーションの「次」は? に対するF1チーフテクニカルオフィサーのパット・シモンズの「発言」に注目が集まりました。シモンズは現行の4ストロークに代わる2ストロークが、"次世代"のF1エンジンになる可能性について言及したのですが・・・もしそれが実現したら、MotoGPにも影響を与えることになるかもしれませんね?
(※webサイト ロレンス 2020年1月14日の記事より)
バッテリー+電気モーターよりエコ?
F1の2ストローク化・・・は、伝統あるモータースポーツ専門誌、Motor Sport Magazineの報道記事のなかで紹介された、F1チーフテクニカルオフィサーのP.シモンズのコメントによるものです。1970年代から2010年代まで、長年にわたり多くのF1チームで活躍した重鎮技術者であるシモンズの発言だけに、彼の「コメント」は世界的に大きなニュースとして報じられることになりました。
F1は2025年まで、現行のV6ターボハイブリッドのパワーユニットを採用することが決まっていますが、将来環境に配慮した「カーボンニュートラル」化を実現するため、エコ燃料を使った2ストロークエンジンの導入を検討している・・・とシモンズはモータースポーツ産業協会でのエネルギー効率化会議のなかで発言しました。
現在モータースポーツ界では、エコなカテゴリーとして「フォーミュラE」や「MotoE」がすでに開催されていますが、水素ベースのエコ燃料を使った2ストロークの「新フォーミュラ」が実現すれば、それはバッテリーと電気モーターを使ったマシンと同等・・・またはよりエコなモータースポーツを実現できるのではないか・・・と期待されています。
F1で導入されたら、MotoGPもその流れに追従する・・・かも?
またシモンズは「直接噴射、プレッシャー・チャージング、そして新点火システムは、今の2ストロークエンジンを非常に効率的かつ、環境に優しいものにすることを可能にしています」とコメントし、 「私は2ストロークには良い未来があると思います」とも語っています。
Motor Sport Magazineの報道の中で、シモンズは多くの政治家が「電気自動車」の将来に賭けていることにも言及しています。自動車業界のパラダイムシフトを引き起こす鍵になるかもしれない「電気自動車」は、既存の自動車業界・経済界の勢力分布図を書き換える可能性をも秘めています。世界中の政治家たちが、環境問題と利権を動機に、電気自動車に対して政治的野心を抱くのも当然の話でしょう。
しかしシモンズは同時に「私は内燃機関の持っている可能性は、非常に高いと思っています」と主張。 ただしその前提として、それが「水素」で動くものであることを付け加えています。
このMotor Sport Magazineの報道記事を受け、2輪モータースポーツ専門メディアのbikesportsnews.comは、「2026年に2ストロークがMotoGPに帰ってくる?」という憶測っぽい記事を掲載しました。
この記事は、もしF1の次期動力源が水素ベースのエコ燃料2ストロークになるのであれば、開発コストを共有するためにMotoGPも2ストロークに回帰するのでは? という推測がベースの記事ですが、確かにF1がそうなれば、2輪の分野もそうなるというのは、見当違いの話でもないかもしれません。
エコ燃料であることはさておき水素燃料を使う場合、排気バルブの熱残留で異常着火を起こすおそれのある4ストロークよりは、機械的バルブを燃焼室に持たない2ストロークの方が適しています。もしもF1が牽引役になって、将来水素ベースのエコ燃料がモータースポーツの標準燃料になったら、2ストロークの復権というのも現実味を帯びてくるでしょう。
もちろん、コストや安全性などの技術的な問題・・・そして電気自動車をめぐる政治的な問題など、その実現にはさまざまなハードルが待ち受けているでしょう。今後どのような未来がモータースポーツ界におとずれるのか・・・これからもみなさんとともに注目していきたいと思います。
まとめ:ロレンス編集部 宮﨑健太郎
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乗ってバイクの魅力に触れてもらいたいと思います。
怒ってばかりの人生で終わるのはもったいない。