二輪車の死亡事故のほとんどは四輪車が相手の右直事故
今年もITARDA(イタルダ:公益財団法人 交通事故総合分析センターの略称)の調査研究・分析研究発表会が開催されました。今回は堤 陽次郎 主任研究員の発表した「夜間における四輪車と二輪車の右直事故の特徴分析」から、二輪に乗るライダー、四輪を運転するドライバーが気をつけるべき点について整理してみたいと思います。※ITARDAの第23回 調査研究・分析研究発表会(https://www.itarda.or.jp/special_presentation/event)。
まず、前提となる二輪における死傷事故の95%は「車両相互」によるもので、単独事故は5%程度しかないのだとか。さらに死傷事故における相手の車両は92%が四輪車となり、二輪の死傷事故の約87%が対四輪車で起きています。
対四輪車の死傷事故でもっとも多いのは「出会い頭」。ちなみに、四輪対四輪の事故では「追突」がもっとも多いので特徴は異なります。さらに、二輪対四輪、四輪対四輪の事故類型における違いとして、二輪対四輪の場合は「右直事故」が多く、しかも、その91%は「四輪が右折で第一当事者(主な原因となっているという意味)」なのです。
さらに、二輪対四輪の事故累計を昼夜にわけて比較すると、昼間には出会い頭の事故がもっとも多かったのに対して、夜間では右直事故が一番多い事故類型になっています。
右直事故は対向車線を直進してくる車両を認知できずに右折してしまって、衝突する事故ですが、なぜ二輪と四輪の事故では右直事故が多くなってしまうのでしょうか。
二輪車の速度が高いと発見の遅れや判断の誤りが増大する
その理由は2つしかありません。右折車両の運転手の「発見の遅れ」と「判断の誤り」です。
「発見の遅れ」というのは、直進してくる二輪車を見つけられずに衝突してしまうということです。そして「判断の誤り」というのは、直進してくる二輪車の接近速度を見誤って曲がれると判断して右折時に衝突してしまうことです。当たり前と感じるかもしれませんが、いずれにしても二輪側の速度によってそのリスクは高まります。
たとえば、約3秒で右折するというシチュエーションを想定すると、30km/hで走行している二輪車であれば25m手前で発見すれば事故を回避できますが、60km/hで走行している二輪車の場合は50m手前で発見する必要があります。距離が離れるほど二輪車は小さく見えるため発見するのが難しく、さらに夜間であれば、30km/hぐらいの低速で走っていても事故リスクは高まります。
「判断の誤り」はさらに速度に左右されます。速度が高い場合、遠くから二輪車の速度と距離を判断する必要があるが、これは人間の認知特性上難しいからです。
高齢ドライバーは判断の誤りによる事故リスクが5倍以上に
こうした認知能力は加齢によって衰えることも想像に難くないわけですが、今回の発表でも四輪ドライバーの年齢によって違いがあることが指摘されています。
具体的に、32~44歳を1として75歳以上の事故リスクで比べると、「発見の遅れ」によるものは昼間で3.1倍、夜間で4.9倍。「判断の誤り」によるものは昼間で5.3倍、夜間で5.7倍となっています。高齢ドライバーほど、直進してくる二輪を見つけにくく、また接近してくるタイミングを見誤る可能性が高いというわけです。
相手が自分を見落としている可能性を考えて走ろう
さて、ここからが大事な結論です。では、二輪と四輪の事故類型として多い「右直事故」を避けるのにどうすればいいのか。
まず二輪に乗るライダーは、前方に右折しようとしている四輪車がいる場合、相手が自分を発見できてない、または接近速度を見誤っている可能性を考慮して速度を落とすことが重要といいます。とくに夜間は認識されていない可能性が高いと考えたほうが身を守るには大切です。
一方、四輪ドライバーの側は直進してくる二輪車を見落としやすいという意識をあらためて持ち、十分な安全確認を行なうという意識を持つことが重要です。
右直対応の緊急ブレーキや車車間通信の普及がカギ
とはいえ、こうした啓蒙活動というのはすでに実施されているものです。継続して啓発することは重要ですが、根本的な解決になるかといえば疑問もあります。今回の発表では、二輪側のハード面での改良として被視認性を向上させるライト類の提案があり、四輪側としては右直事故に対応するAEB(衝突被害軽減ブレーキ)の普及がうたわれています。右直事故対応のAEBはすでに量産車への採用例も出て来ています。
さらに路車間通信、車車間通信によって接近車両を認知できるようになれば、二輪対四輪に限らず、右直事故をゼロにできることが期待されます。そのためには二輪と四輪の車車間通信を実現するプロトコルを確立することや、小型二輪にも車車間通信を積むコストをどうするのかなど超えるべきハードルはありますが、こうした研究成果からより安全で事故のない交通社会になることを大いに期待したいと思います。
※図表はITARDAの第23回 調査研究・分析研究発表会・堤 陽次郎 主任研究員の資料より掲載。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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