570Sスパイダーをどのように捉えているか
AUTOCAR JAPAN(以下ACJ):マクラーレン570Sスパイダーのコンセプトと特徴をお聞かせください。
ジョージ・ビッグス(以下GB):マクラーレン570Sスパイダーは格別なクルマであり、アジアで初めて日本でお披露目できることを嬉しく思います。マクラーレン570Sスパイダーは、オープンエア・モータリングを楽しめる魅力的なリトラクタブル・ハードトップを備えた妥協なきコンバーチブルであり、わくわくするような運転を楽しめるクルマです。
「妥協なきコンバーチブル」として、570S クーペの高性能かつダイナミックな特性とエレガントさに加え、爽快なオープン化したものです。カーボン・ファイバー製のモノコックやミッドエンジンのレイアウト、極限の性能といったスーパーカーのようなパフォーマンスを、高級スポーツ・コンバーチブルのセグメントに初めてもたらしました。
最も重要な点は、570Sクーペと比較しても性能上の妥協が一切ないことで、圧倒的なスピード、比類なきダイナミズム、エレガントさを備えています。スポーツ・シリーズのモデルに共通するカーボン・ファイバー製のモノセルII シャシーは、コンバーチブルの形状でも強度が損なわれず、構造補強を施す必要がありません。そのため、マクラーレンのエンジニアたちは、スティールやアルミニウム製シャシーに付きものの強度不足に煩わされることなく、570Sスパイダーの開発に取り組むことができました。
どのように日本のマーケットで戦ってゆく?
ACJ:今後クーペとスパイダーの生産比率はどのように予想されていますか?
GB:570Sスパイダーは発表以来好評をいただいております。マクラーレンのクルマはお客様のオーダーに沿って製作しますので現時点では不明です。ひとつの例として先に登場した650Sでは、クーペが40%、スパイダーが60%でしたので恐らくこのくらいの比率に収まるのではないでしょうか。
正本:補足しますとわたしどものクルマはマークがお話ししましたようにカーボン・コンポジットが基本になっています。コンバーチブル・モデルの弱点であるドライビング・ダイナミクスが悪くなったり重量が重くなったりすることがまったく無いクルマですから、ドライビング・ダイナミクスと爽快なオープンエア・モータリングのミックスを楽しんでいただけるクルマです。
ACJ:ライバルと目するクルマはありますか?
正本:よく聞かれるのですが、あまりそのようなカタチでは見ていません。わたしたちのDNAはモータースポーツから始まっていますので、そのドライビング・プレジャーを一般のお客様にどうやって体験していただこうか、ということだけを考えております。
ちなみにマクラーレンのオーナーはコレクターというよりは、自らサーキットを走られる方が非常に多いのが特徴です。正直あまり他車を意識していません。
ACJ:ローンチ・エディションの日本への導入台数は
GB:残念ですが具体的な数字をお伝えすることはできません。しかし世界的に高い需要があることは分かっています。各マーケットにまんべんなく届けて行きたいと思います。
ACJ:ビッグスさんお薦めのボディカラーを教えてください。
GB:一般的にスポーツカーは明るいカラーが好まれるかと思いますが、わたしの好みではキラキラしないシックなカラーが似合うと思います。570Sスパイダーにはブルー・フレークが入ったアイス・シルバーがわたしのお薦めです。
EVやSUV、そしてあらたなモデルレンジ
ACJ:世界的にEVへシフトする流れにありますが。マクラーレンとしてはどのように考え、実用化の時期は
GB:わたしどものクルマで最初にハイブリッド・システムを採用したのはP1になります。ここで何を目的にしたかというと求めていたものは性能です。モーターを組み合わせることによりリアルな加速をどこまで実現できるかを主眼に置きました。
わたしたちが問題にしているのは、どこまで性能を上げられるかということです。ハイブリッド化、EV化に向けて、どこまで性能を上げられるかをトータルで見て実用化していきたいと考えています。
わたしたちが掲げているのは2022年までの戦略、「TRACK22」として50%をハイブリッド化してゆく予定です。そこから先はどのように戦略展開してゆくかはこれからの課題ですが、その中でハイブリッド化、EV化が進んでゆくことは間違いないかと思います。
ACJ:新たなレンジのモデルを予定していますか
GB:現在マクラーレンではスーパー、アルティメイト、スポーツの3レンジを展開しています。この先に登場するモデルはこの3レンジ内になります。現時点では570Sスパイダーが最新のモデルですが、ファクトリーでは次のローンチに向けた新型の開発が進められています。その中からしかるべき時にしかるべきモデルを出してゆきます。
ACJ:近年スポーツカー・メーカーがSUVを送り出していますが、マクラーレンとして手掛ける予定はありますか?
GB:No! わたしたちはスポーツカーのメーカーとしてこれまで開発を続けてきました。ブランドとして2シーターでミッドシップのスーパーカーのフューチャーをしっかり押さえたうえで開発を進めてきて、市場でもスーパーカーのメーカーとしてブランド認知を高めることに成功しました。
ですから、ここから軸足をぶらすことはありません。マクラーレンとしてはSUVをやることはまったくありません。
ACJ:本日はありがとうございました。
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