この記事をまとめると
■大量生産とコストダウンでクルマを広く普及させたのがT型フォードとVWビートルだ
偶然か? それともパクリか? 驚くほど似たデザインの輸入車と国産車3組
■クルマを現在のスタイルにした立役者はBMCのミニだった
■VWゴルフが今日のクルマの主流となっているFWDを定着させた
大量生産でクルマは一般人にも乗れる乗り物に!
1886年に、ドイツのカール・ベンツがガソリンエンジン自動車を発明して以後、今日のような自動車社会の発展の祖と言えるのは、米国フォードのT型が1908年に発売されたことによるといっていい。
T型は、大量生産方式を採用した最初のガソリンエンジン車で、これによって一般消費者もクルマを持てるようになった。それまでは、一台一台を手作りで製造していたため高価な製品となり、富裕層の手にしか届かなかったのだ。
同時に、この時期に米国で石油産業が勃興したことも、ガソリンエンジン車の普及の追い風となった。そしてガソリンスタンドの営業が始まるのだ。それまでは、薬局などで揮発性のある燃料を買うなどしていた。
第二次世界大戦後に、ドイツでフォルクスワーゲンのタイプ1(通称ビートル)が発売となり、これも世界に広まり、フォードT型が築いた1500万台強という累計販売台数を、ビートルは軽々と抜いて2100万台以上を売り上げることになる。
いまのクルマの主流スタイルと駆動方式を一般化した「ミニ」
しかし、それらT型とビートルは、基本的には戦前の設計による大衆車だった。戦前の設計というのは、設計自体も戦前に行われており、外観の様子も、前輪を覆うフェンダーがボンネットフードの脇に出っ張っている姿が一般的なのである。
今日のように、ボンネットとフェンダーが一体の造形となり、小型ながら機能性が高く、価格も手ごろで大衆車の代表となったのは、1959年に英国で誕生したミニだ。BMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)で市販されていた乗用車の部品を活用しながら、新しい時代の大衆車として開発された。
当初は、販売が思わしくなかったが、富裕層の貴族などが、ロールス・ロイスに加え、興味深い1台として購入し話題となったことで一気に普及するようになった。また、F1ドライバーがサーキットで走行を披露し、モータースポーツでも活躍するようになる。
前輪駆動(FWD)は以前からあったが、その特徴を最大に活かした合理的なクルマとして、ミニは大衆車のひな型となった。これを継承したのが、ビートルの後継となるゴルフだ。ミニは既存の部品を流用しながら商品化されたが、ゴルフは専用設計のFWD車として機能や性能をさらに高め、「世界の小型車の規範」と評価されるようになる。
日本では、ホンダ・シビックがFWDで登場し、やはり大衆車として日産サニーやトヨタ・カローラと比肩する人気車となった。
それでも当初は数えられるほどのFWD車だったが、今日ではFWDが主流となり、後輪駆動(RWD)が少数派になった。
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