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エスティマやキューブなど 相次ぐ販売終了 小型/普通車の減、問題点と解決策

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エスティマやキューブなど 相次ぐ販売終了 小型/普通車の減、問題点と解決策

販売10年以上経過の車種、廃止される運命?

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)このところ各メーカーともに国内向けの車種を次々と廃止している。

【画像】海外で活躍/日本で廃止の日本車  全264枚

マツダはミニバンのビアンテを2017年、プレマシーは2018年に廃止した。

トヨタ・アシイスも2017年に終了している。今後はトヨタ・エスティマが10月、マークXは12月、日産キューブも2019年中に終了する。

日本向けの車種ではないが、三菱パジェロは2019年8月に国内販売を終えた。

これらの車種は設計が古く、10年以上を経過したもの見られる。

最近は安全装備や運転支援機能の進化が著しいが、緊急自動ブレーキの自転車検知、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールの装着などは、マイナーチェンジでは対応できないことも多い。

機能の向上にはフルモデルチェンジが必要だ。

そうなると発売から10年以上を経過した車種は、近々フルモデルチェンジを受けるか、それとも現行型で終了するかの二者択一になる(一部のオフロードSUVやスポーツカーには長寿モデルもある)。

その結果、エスティマ(発売は2006年)、キューブ(同2008年)、マークX(同2009年)などは、フルモデルチェンジを受けずに生産を終えることになった。

なぜ日本向けの車種、次々と生産終了?

先に挙げた生産を終えるクルマには、日本向けに開発された車種が多い。

エスティマやプレマシーはミニバンで、キューブも背の高いコンパクトカーだ。マークXも日本向けのセダンで、全幅を運転しやすい1800mm以下に抑えた。

生産を終えた理由は、需要の先行きがわかりにくいからだ。

トヨタ・エスティマ廃止のワケ

エスティマは背の高いミニバンでありながら、卵型の個性的な外観に特徴がある。人気車だった時期もあるが、最近はサイズの近いアルファード&ヴェルファイアがフルモデルチェンジされて販売も好調だ。

相対的にエスティマの売れ行きは下がった。

また少子高齢化により、今後ミニバンの売れ行きがさらに下がることも懸念され、エスティマをフルモデルチェンジしても十分な販売効果を得られるとは限らない。

そこでLサイズミニバンは、アルファード&ヴェルファイアに任せて、エスティマは終了することになった。

プレマシー/ビアンテ廃止のワケ

プレマシーやビアンテも同様だが、特に今のマツダは、魂動デザインでカッコ良く運転の楽しいクルマをめざしている。このコンセプトに対応できるのは、背の高いクルマではSUVが限界だ。

マツダは開発を集中させるために車種数を抑える必要があり、ミニバンはデザイン面の折り合いも悪いから生産を終えた。

日産キューブ廃止のワケ

キューブは和風の内装が特徴だ。ガラスルーフには障子からイメージを得た「SHOJIシェード」も備わり、車内を適度に明るい光で満たす。前後のシートはソファ風にデザインされ、座り心地は柔軟だ。

このようにキューブは高い天井で車内が広いだけでなく、クルマの持ち味が穏やかだ。外観も水平基調で角に丸みを持たせ、柔和な印象を受ける。今の日本車には、目を吊り上げた怒り顔が多いが、キューブは対称的だ。

ほかに似通ったコンパクトカーはなく、キューブは今でも人気が根強い。そこで日産は次期型も検討していたが、開発を凍結した。

今は環境性能の向上、自動運転に通じる運転支援技術の開発、通信機能の進化など、投資の対象も多いからだ。

そこに国内需要の不透明も加わり、キューブは現行型で終わることになった。

トヨタ・マークX廃止のワケ

マークXを廃止した背景には、セダンの人気低迷がある。ちなみに海外では、フォードがセダン市場からの撤退を表明した。

廃止で小型/普通車の販売ダウン 軽が増税?

フルモデルチェンジを見送ったり、生産を終える車種が増えると、当然ながらクルマの売れ行きが下がる。

それは予想以上のペースになる。なぜなら新型車の発売に伴う相乗効果も失うからだ。

例えば日産キューブがフルモデルチェンジを行うと、それを目当てに来店した客が、ノートを買うこともある。

キューブでは自宅マンションの立体駐車場に入らないことに気付き、購入を諦めかけた時、セールスマンがノートを提案することもあるからだ。

またキューブを買おうとすれば、トヨタのルーミー&タンク、スズキ・ソリオなど、ライバル車も検討する。仮にキューブが売れなくても、ルーミーが売れたりするわけだ。

新型車が登場すると、いろいろな相乗効果が得られる。よって新型車が減ると予想以上のマイナスになってしまう。

そして今は、唯一の日本向けカテゴリーの軽自動車が好調に売れている。小型/普通車が国内市場に冷淡なこともあり、商品力を高めた軽自動車が販売を急増させた。

その結果、国内で売られる新車の40%近くが軽自動車になり、販売ランキングの上位も独占されている。

直近の2019年8月は、1位がN-BOXで以下はタント、デイズ&デイズルークス、スペーシア、ムーヴ&ムーヴキャンバスと5位まで軽自動車が続き、6位になって小型車のシエンタが入った。

今の状態が続くと、ますます軽自動車が中心の売れ方になる。そうなれば軽自動車が増税され、毎日の買い物や通院に使う高齢者の生活を圧迫することになりかねない。

海外向けの車種導入など、新型車望む

今後行うべきことは、国内における小型/普通車のニューモデルを増やすことだ。

国内向けに開発するのが理想だが、それが無理なら、海外で売られる魅力的な車種を導入すれば良い。

例えば日産なら欧州で売られるコンパクトカーのマイクラ、コンパクトSUVのインフィニティQX30などが考えられる。業務提携を結ぶルノーのトゥインゴやカングーを日産ブランドで販売する方法もあるだろう。

トヨタではヴィッツ(海外名はヤリス)やパッソよりも小さなアイゴが魅力的だ。クーペではミドルサイズのシビック・クーペが注目される。

三菱は前述のようにパジェロが生産を終えたが、海外にはオフロードSUVのパジェロ・スポーツもある。

それから海外でフルモデルチェンジされているジュークやレガシィは、日本国内仕様も至急刷新させたい。

両車種ともに国内では従来型を継続販売するようだが、設計の古いクルマは新型車に比べて安全装備も劣る。

日本のメーカーが、海外よりも安全性の低いクルマを国内で売ってはいけない。

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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