もくじ
ー ラップ更新を期待するのは当然 問題はドライバー
ー ダウンフォースが決め手 パワーは1014ps以上
ー エンジンに神経質なところはなし ほとんどが英国製
ラップ更新を期待するのは当然 問題はドライバー
AMGのトビアス・ムアースCEOは、メルセデス-AMGが新たに送り出すハイパーカーであるプロジェクト1について、ニュルブルクリンクのラップタイム更新を「期待するのは妥当」だと話している。つまり、1983年のニュルブルクリンク1000kmでシュテファン・ベロフがポルシェ956に乗って記録したノルドシュライフェ(北コース)におけるラップタイム、6分11秒1を上回ろうというのだ。
ムアースはプロジェクト1に期待する具体的なラップタイムについては明らかにしていないが、AMGでは過去の記録を詳細に分析しており、もちろん、このなかには1983年の1000kmレースの予選でベロフがスポーツプロトタイプカーのポルシェ956で記録した6分11秒というラップも含まれている。さらにベロフはレース中のラップとなる6分25秒9という記録も同じ車両で残している。
なお、現在の量産モデルによる最高記録、6分47秒はポルシェ911 GT2 RSによるものだ。しかし、ムアースによれば、プロジェクト1でのラップ更新にとって、もっとも難しい課題は、この偉業を達成するための「相応しいドライバーを見つけること」だという。
ダウンフォースが決め手 パワーは1014ps以上
ラップタイム更新は、このクルマがもつ675kgものダウンフォースによるところ大きいだろう。最近公開されたマクラーレン・セナのような巨大な固定式リアウイングなしで、プロジェクト1ではこれだけのダウンフォースを確保することに成功している。
ムアースはプロジェクト1の車重は1300kgから1400kgであると明かしたうえで、発生するダウンフォースについて、「車重の約半分に達する」と語っている。つまり、仮に車重を1350kgとした場合、ダウンフォースは675kgとなり、マクラーレンが主張するセナの800kgには届かないということだ。
さらに、セナの場合には249km/hとされている最大ダウンフォースの発生速度も、明らかにされていない。セナやフォードGT同様に、プロジェクト1でもサーキット走行用に車高を下げて、ダウンフォースを増やすことができる。これは、昨年のフランクフルト・モーターショーでの公開以降、明らかにされたこのハイパーカーがもつ多くの特徴のひとつにすぎない。
ムアースはこのクルマの1014psというパワーについても、現時点で1.6ℓV6エンジンがダイナモメーター上で記録した数値にすぎず、実際の出力はこの値に「プラス、プラス、プラス」になると話す。最終的には1116psに届かないまでも、まだどれほどのものになるかは分からないという。
エンジンに神経質なところはなし ほとんどが英国製
メルセデスのハイパフォーマンス・パワートレイン部門の責任者であるアンディ・コーウェルによれば、エンジンにとっての最大の課題は、信頼性やロードカー用への搭載といったものではないという。例え真夏のドバイで渋滞に巻き込まれても、このクルマはオーバーヒート無しにアイドリングを続けられるというのだ。
それよりも、エミッションの問題や、通常であればエンジニア数人がかりの作業となるエンジンスタートを、「たとえどれだけの期間ガレージにしまい込まれていても、どんな天候であっても、ボタンを押すだけで可能にすること」が難しいと話す。
エンジン生産は英国ブリックスワースの拠点でメルセデス-AMGのハイパフォーマンス・パワートレイン部門によって行われるが、メルセデスのフォーミュラ1チームも多くの助言を行っているようだ。それでも、Xtrac社が開発を進めている専用設計の8速ロボタイズド・マニュアル・ギアボックスや、現時点では非公表のサプライヤーが供給するタブやボディワークといった、その主要コンポーネントのほとんどが英国内で生産されることになる。
ムアースによれば、240万ポンド(3億6440万円)というその価格にもかかわらず、275台という生産台数に対して、AMGには1100人もの購入希望者が殺到しているとのことだ。
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