2度のMotoGPチャンピオンであるケーシー・ストーナーは、古巣のドゥカティではサテライトチームのホルヘ・マルティン(プラマック)による今シーズンの戴冠を望んでいない勢力が存在する可能性を指摘した。
2024年シーズンは残すところ最終戦ソリダリティGPのみとなったが、タイトル争いではマルティンが24ポイントと大きくリード。3連覇を目指すフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)は、かなり厳しい状況に置かれている。
■マルティン、サテライトチームでタイトル王手「世界を相手に12人のチームで戦っている」
サテライトチームのライダーがチャンピオンになれば、2001年のバレンティーノ・ロッシ以来の快挙となるが、マルティンは来年アプリリアへ移籍するため、ゼッケンナンバー1は他陣営へ持ち込まれてしまうことにもなる。
ドゥカティはタイトル争いでふたりのライダーを自由に競わせ、公平な関係を維持すると常に主張してきた。ゼネラルマネージャーのジジ・ダッリーニャも、第19戦マレーシアGPでエネア・バスティアニーニにチームメイトのバニャイヤのサポートを頼むことはないだろうと語っていた。
だがストーナーは、かつてドゥカティに在籍していた時のメーカー内部の政治を直接目撃しているため、古巣のこういった姿勢を完全に信じきれていないようだ。
「僕はホルヘがタイトルにふさわしいと思っているし、それを勝ち取れるポジションにつけていると思うよ」
ストーナーはイタリアのGazzetta dello Sport紙にそう語った。
「ペッコ(バニャイヤの愛称)は勝つために全力で挑んでくるだろうし、ドゥカティもナンバー1を維持したいと思っている。混乱が起こる可能性もあるけど、僕としては全てがスムーズに進んでほしいと思っている」
そしてストーナーは、ドゥカティの一部はマルティンの勝利を望んでいないのではないかという指摘に対し、こう語った。
「僕も同じ意見だよ。僕はドゥカティという企業のことは分かっているし、彼らは勝つためにどういうことをするのかも知っている。これまでにそれが起きてこなかったのには驚かされた。それか、実際には起きていて、ホルヘはそれを上手く乗り越えたのかもしれない」
ストーナーはドゥカティを引っ張るダッリーニャが平等に戦わせることを望んでいるのは認めつつ、他の幹部はそうは思っていない可能性を指摘した。
「ジジはそう思っている。でも、ナンバー1を失いたくないと思っている人もそこにはいる」
「でも、誰もが彼らをとても注意深く見つめている。もしそこでミスがあれば、表沙汰になるだろう。問題を起こしてしまったら、裏目に出てしまう」
「全てが問題なく進んで、真の世界チャンピオンの姿を見れれば良いと思う」
またストーナーは2025年にアプリリア移籍を選んだマルティンを大いに賞賛。その一方で移籍の引き金となったマルク・マルケスを選んだドゥカティを批判した。
「ホルヘは、自分に何ができる能力があるのかを示し、継続的に改善してきた。彼はこのチャンピオンシップで勝利するのにふさわしい」
「ドゥカティにとって、来年彼を失うのはかなり痛手になるだろう。でも彼はバニャイヤとレース勝利やチャンピオンを争える唯一の存在になるために、この数年間非常に努力してドゥカティに対して忠誠を示してきたのに、ファクトリー昇格のチャンスは奪われてしまった。不公平だと思うよ」
「でも残念なことに、それがドゥカティのやり方であって、何人ものライダーを失ってきた理由でもある。ベストなバイクから離れなくてはならないけど、お金のためだけにレースをしているわけじゃなく、情熱や楽しむためにレースをしているんだ。そして自分に簡単に背を向けるような人がいると、何処か別の場所でモチベーションを見つけようとするんだ」
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