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クラシカルなボディに秘めたZ34 日産フェアレディZへ試乗 405psの3.0L V6ターボへ

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クラシカルなボディに秘めたZ34 日産フェアレディZへ試乗 405psの3.0L V6ターボへ

長年フェアレディZを守ってきた日産

世界の自動車市場は、21世紀に入って大きく変わった。特に、比較的手頃な価格帯のスポーツカーでは。

【画像】クラシカル・ボディに秘めたZ34 日産フェアレディZ 競合モデルと比較 スープラも 全137枚

振り返るとZ33型のフェアレディZが発売されたのは2002年で、20年も前だったことに驚いてしまう。アメリカ・カリフォルニアで開かれたメディア向け発表会の記憶が、遠く感じられるわけだ。

2002年のフェアレディZは、日産のルネッサンス、再興を象徴するようなクルマに思えた。パワフルな自然吸気のV6エンジンを後輪駆動シャシーに搭載し、ハンサムなスタイリングのボディで包み込んだ、手頃な価格の2シーター・スポーツクーペだった。

ドライビング体験は、最高の洗練度とまではいえなかった。それでも、パワフルな動力性能にテールを振り回せる操縦性が組み合わされ、世界中でファンを獲得することに成功した。

時代が変わっても、日産はフェアレディZを守ってきた。Z34型が2009年に登場し、ボディはワイドになり、インテリアはラグジュアリーさを高めたが、基本的な個性はそのまま。自然吸気のV6エンジンが、リアタイヤを駆動した。

日産はフェアレディZへ改良を加え続け、ハードコアなニスモ仕様もリリースした。しかし、確かに一定量は売れていたが、フルモデルチェンジできるほどの数を販売できなかった。現在の欧州市場から、フェアレディZの姿は消えてしまった。

Q50由来の3.0L V6ターボは405ps

それでも、アメリカ市場で日産は諦めていなかった。クラシカルなスタイリングの内側にZ34型の基本構造を隠しつつ、新世代としてRZ34型が登場した。見た目は一新されているが、確かにホイールベースは2550mmで変わっていない。

パワートレインは新しく、従来の3.7L V6自然吸気から、3.0L V6ツインターボへ置き換わっている。日産の上級ブランド、インフィニティQ50(スカイライン)に搭載されるユニットが由来で、最高出力は405psを発揮する。ただし、従来より80kgも重い。

トランスミッションは、6速マニュアルか9速オートマティックが選べる。上級のパフォーマンス・グレードを選べば、リミテッドスリップ・デフも装備される。

スタイリングはシャープさを増し、1980年代風でありつつ未来的。リアフェンダーの給油リッドが不自然に大きいが、Z34型の構造をベースに新しいボディパネルを被せたことで生まれた妥協といえる。Z32型に似たテールライトが筆者は好きだ。

インテリアでは、旧世代感を隠せていない。モニター式のメーターパネルや、最近の必須アイテムといえる大きなタッチモニターは得ているものの、全体的にはZ34型の名残りがある。

ダッシュボード上に3枚のアナログメーターが並んでいるのも、前世代と同じ。レバー式のハンドブレーキなども、クラシカルなアイテムといえる。

エアコン用のダイヤルは運転席から見にくく、奥へ追いやられた印象。パワーシートの調整スイッチは、シートベース部分にあり触れにくい。

ためらうことなく7100rpmまで吹け上がる

とはいえ、動的能力は確実に向上している。望むべき走りを得るため、Z34型では3.7L V6エンジンを一生懸命働かせる必要があったものの、RZ34型の3.0L V6ターボは低回転域から余裕がある。

48.3kg-mの最大トルクが1600rpmで得られるため、発進直後からたくましい。そのまま回転数の上昇に合わせて急速にパワーが高まり、レブリミットへ飛び込んでいく。その過程で放たれるサウンドも勇ましい。

最高出力の405psは6400rpmで得られるが、ためらうことなく7100rpmのリミッターまで吹け上がる。気持ちの良いユニットだ。

6速MTはシフトレバーが軽すぎ、感触に優れるとはいいにくいが、正確にゲートを選べる。シフトダウン時に回転数を合わせるレブマッチ機能も備え、必要ならドライバーを助けてくれる。

シャシーの仕上がりも悪くはない。パワーステアリングは電動式に置き換わったが、適度な重み付けで反応はリニア。切り込んでいくほど徐々に重みが増し、フロントタイヤの感覚も掴みやすい。Z34型では、最後まで油圧式だった。

タイヤはブリヂストンのS007で、日常的な速度域のグリップ力は充分といえ、コーナリングラインを熱心に維持してくれる。トラクションも低くはなく、フルアクセルでも暴れることなくダッシュする。

低速域でテールを振り回せるシャシー特性

ところが高速で荒れた路面へ侵入すると、RZ34のシャシーがさほど磨き込まれていないことが見えてくる。不意の起伏ではダンパーの減衰力不足が顔を出す。シャシーには振動が伝わり、ドライバーを少し不安にさせる。

タイヤのグリップ力も、負荷が増大していくと急激にトーンダウン。きついヘアピンでは、想像より早くアンダーステアへ転じていた。Z34よりフロントノーズが重いことの現れでもある。

そのかわり、スタビリティ・コントロールをオフにすれば、リアタイヤを狙い通りに滑らせることも難しくはない。試乗車はLSD付きのパフォーマンス・グレードで、ドリフトを漸進的に維持できた。オープンデフなら、挙動は安定しないだろう。

低速域で思い切りテールを振り回せるシャシー特性は、Z34やZ33型にも通じる個性といえる。だが、惜しくもそれ以外でも前世代との密接さを感じてしまう。

新しいV6ターボエンジンはパワフルで扱いやすく、一歩進んだ印象はある。インテリアに実装されたデジタル技術も、2022年水準としては不足ない。とはいえ、それ以外のドライビング体験で新しいと感じる部分は決して多くないことも事実だ。

現在あるべき水準に届いていないシャシー

そのかわりというべきか、価格はライバルよりお手頃。新しいフェアレディZの北米価格は、4万1015ドル(約607万円)から。パワーで劣る4気筒エンジンのスープラより、2525ドル(約37万円)も低く設定されている。

試乗したパフォーマンス・グレードでも5万1015ドル(約755万円)から選べ、V6エンジンのスープラや、ポルシェ718ケイマンより安い。反面、アメリカではV8エンジンのマスタングが1万ドル(約149万)も安く買えてしまう。

RZ34型フェアレディZは、動的能力の洗練性で現在あるべき水準には届いていないようだ。BMWの力も借りた先進的なトヨタ・スープラという存在によって、余計に古く感じられてしまうという側面もあるけれど。

ちなみに欧州市場へは、CO2の平均排出量などが理由でRZ34型フェアレディZの導入予定はないという。

日産フェアレディZ パフォーマンス(日産Z/北米仕様)のスペック

北米価格:5万1015ドル(約755万円)
全長:4380mm
全幅:1845mm
全高:1315mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.3秒
燃費:8.5km/L
CO2排出量:−
車両重量:1590kg
パワートレイン:V型6気筒2997ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:405ps/6400rpm
最大トルク:48.3kg-m/1600rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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みんなのコメント

20件
  • スタイル!ノーマルだとイマイチかもしれないけど弄り方によってはなんとかなりそう。そこはスープラと違いますね。
  • 欧州では売ってないのにこの品不足感は何なんだろう。
    何とかしてよニッサンさん!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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