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【詳細データテスト】スズキ・アクロス 高効率の電費 優れた燃費 実用重視ながら高いシャシー性能

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【詳細データテスト】スズキ・アクロス 高効率の電費 優れた燃費 実用重視ながら高いシャシー性能

はじめに

スズキの新型車であるアクロスは、既に販売されているある中型電動SUVに、あまりにも似ている。トヨタRAV4のPHEVモデルだ。といっても、デザインを盗用したというような話ではない。これはバッジエンジニアリングモデルなのだ。OEMと言ったほうがわかりやすいだろうか。

【画像】スズキ・アクロスとライバル 全16枚

お気づきかもしれないが、スズキのように規模が小さい日本車メーカーは、現在の欧州市場では苦境に立たされている。その主な理由は、厳しい排ガス規制により、利幅の小さい小型車にも高価なエミッション対策技術の搭載が必要だからだ。

ダイハツは2013年に欧州市場から撤退しているし、スバルはその瀬戸際にある。つい先日、英国三菱が歴代モデルのコレクションをオークションにかけたニュースが流れたが、これも撤退に向けた身辺整理の一環だ。

しかし、スズキは踏みとどまった。この決断に、2019年にトヨタが株式の5%を取得し、モデル共有の準備が整ったことの影響は大きいだろう。プラグインハイブリッドのアクロスだけでなく、ハイブリッドのカローラ・ツーリングもスウェイスとして販売されている。

もちろん、自社開発モデルも引き続きラインナップされている。ヴィターラ(エスクード)、Sクロス、イグニスにスイフト。ただし、どれもハイブリッド仕様だ。そのため、エンジン単体モデルしかないジムニーは、取り扱い車種から外れてしまった。とにかくCO2排出量を引き下げるのが、メーカーにとっての急務だからだ。

というわけで、今回のロードテストは一石二鳥だ。スズキが必要に迫られて新たに進もうとしている方向性を探ると同時に、トヨタRAV4 PHEVの実力も推し量れるのだから。

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

奇妙なことに、アクロスはRAV4と競合する欧州市場に投入された。システム出力306psとなるトヨタの新世代PHEVパワートレインに4WDの組み合わせは、数ヶ月前に兄弟車で投入されたのとまったく同じものだ。

このシステムの構成は、185psの2.5Lアトキンソンサイクルエンジンをフロントに横置きし、前後各1基ずつの電気モーターを組み合わせたもの。モーターはフロントが182ps、リアはよりコンパクトで55psを発生する。

このシステムを、一般的なSUVのそれと異なるものにしているのは、電動化デバイスだ。前後アクスルの機械的な接続はなく、多くのプラグインSUVがそうであるように、後輪をモーターで駆動する4WDとなっている。

内燃エンジンとフロントモーターの出力は、トヨタ独自のプラネタリーギアを用いたトランスアクスルを介して前輪を駆動する。このユニットにはクラッチが組み込まれ、ハイブリッドモードやEVモードを選択した際に、エンジンとの接続を切ったり断続的にエンジンを停止させたりすることができる。

いっぽうで、モーターとエンジンが同時に稼働する際には、遊星歯車式e−CVTがエンジン回転数を調整して、もっとも効率的な状態でクルマを走らせる。

言及しておくべき要点は、リアへのアウトプットシャフトがないこと。たとえば、軽いオフロードに対応するトレイルモードでは、4WDシステムやリアモーターの作動状況を決めるのは、すべてESPやトラクションコントロールを起動するセンサーの情報だ。

パワートレインそのものは、プラグインではないRAV4ハイブリッドと同じものだ。ただし、駆動用バッテリーはハイブリッドの6.5Aニッケル水素に対し、51Ah液冷式リチウムイオンで、フロントモーターはハイブリッドの120psより5割少々パワフルになっている。

この変化により、大きく変わった点はふたつ。まずは車重で、パッシブダンパーを装備したアクロスは、RAV4ハイブリッドより280kg程度重い。それでも、数ヶ月前にテストしたレンジローバー・イヴォークP300eよりは200kgほど軽いのだが。

次が性能向上で、0−100km/h加速は6.0秒と、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIのDSGモデルと同等ながら、CO2排出量の公称値は22g/kmに過ぎない。しかも、EV走行の航続距離は75kmに達するという。開発はトヨタが行ったわけで、スズキの功績ではないものの、技術的には大きな進歩を果たしたといえる。

エクステリアのデザインについては、語るべきことはそれほど多くない。サイズやシルエットはRAV4と変わらず、フロント周りが穏やかな顔つきに改められた程度の変更しか施されていない。モノグレード展開で、装備内容は充実。19インチホイールが標準装着される。

内装 ★★★★★★★★☆☆

キャビンで唯一、本当に批判したいのは、高級感や目を奪われるような要素が欠けていることだ。マテリアルのリッチさや艶めきがなく、手触りや質感は5万ポンド(約700万円)に近い価格のクルマに期待されるレベルに達していない。

ダッシュボードやドアトリム、シートなどを覆うブラックの合皮は、見た目も手触りもいかにも合皮で、ツルツルして作り物感がある。ワイパーとウインカーのレバーをはじめとしたスイッチ類には、ちょっとばかり手触りが軽くてチープなものも少なくない。

競合するPHEVを探すと、同じ価格帯にランドローバー・ディスカバリー・スポーツがあり、より高級なレンジローバー・イヴォークとの価格差も大きくないことを考えると、残念に思えてしまうところだ。

それでも、アクロスのキャビンは十分に快適で、かなり機能的だ。それは、兄弟車のRAV4にも共通する特長である。事実、ラバーを巻いた大ぶりなエアコン操作用ダイヤルや、同様のデザインで掴みやすい走行モードセレクターは、ランドローバーより頑丈で使いやすいかもしれない。

また、室内のあちこちに小物を置けるスペースが設けられている。ドリンクボトルやカップはもちろん、財布や携帯電話、キーや手袋など、身の回りのアイテムはどれも居場所を見つけられるはずだ。

居住スペースはかなり広い。座面から天井までは前後席ともたっぷり1mあり、レッグルームは運転席で1m少々取っても、その後ろに720mmを確保できるのだから悪くない。ディスカバリー・スポーツは、後席がスライドするので最大780mmに達するが、アクロスの後席でも、背の高い大人が快適に長距離を過ごすには十分だ。

荷室容量は490Lで、RAV4ハイブリッドの580Lと比べれば、プラグイン仕様のほうがやや減少している。それでも、大きめのスーツケースをふたつ呑み込むのに不足はなく、フロアは開口部までフラットなので、スムースに積み下ろしできる。

フロア下に収納スペースはないが、これはスペアタイヤを積んでいるから。SUVには、スペースセーバーでもスペアタイヤはあったほうがいいと思う。

走り ★★★★★★★★★☆

アクロスは、兄弟車のRAV4 PHEVもそうだが、電力での航続距離に関していうと、プラグインハイブリッドとしてはレアケースだ。18.1kWhのバッテリーをフルチャージすると、WLTCモードで75km走行が可能だという。

A級道路や高速道路、ストップ&ゴーを繰り返す市街地などを含めた今回のテストコースでは、エンジンが始動するまでに77kmを走り切った。公称値の40%にも届かないPHEVがあることを考えると、EV航続距離はこのクルマの強力なセールスポイントになりうる。

EVモードで走ると、十分以上の速さをみせる。スロットルレスポンスは正確そのもので、加速性能は交通の流れへ楽に乗れるものだ。おもしろいことにこのモードでは、バッテリーの電力を使い切らない限りはエンジンが介入してこない。キックダウンスイッチが入るまで踏み込んでもエンジンはかからないが、おそらくその必要を覚えることもないだろう。

ただし、突発的に強力な加速が必要となったときにはエンジンもかかってほしいというのであれば、オートEVもしくはHVの各モードを選べば、期待通りに作動してくれるはずだ。

ガソリンハイブリッドシステムが優先となるHVモードでは、よりパンチの効いたパフォーマンスをみせる。テストコースの1.6kmストレートでは、0−97km/hが6.4秒、48−113km/hが5.8秒だった。これはどうみても速いといえるタイムだ。

電気モーターがインスタントに放出するトルクにより、追い越し加速はじつに楽だと感じる。たとえ、e−CVTと内燃エンジンが回ると、それとは違う性質の影響をもたらすとしてもだ。

というのも、ペダルを踏み続けて、エンジンに火が入ると、取り立ててうれしいわけでもない、やや騒々しい音が聞こえてくるのである。

ただしこのエンジン、効率はいい。充電が切れても、16km/L台の燃費が出るのだ。

そこから一転、急ブレーキを踏むと、かなり素早く停止する。その過程では、車体の重さをしっかりと感じはするのだが。

路面の湿ったテストコースで、113km/hから停止までは51.2mを要したが、これはドライ路面でテストしたBMW X3の2.0Lディーゼルモデルより3mも短い。

摩擦ブレーキと回生ブレーキの連携は、多少なりともより直感的にできる余地がある。また、ブレーキペダルはもう少し一貫性を高められただろう。

それでも、アクロスは全体的にみれば運転しやすく、地味に満足できる。セッティングを変えたり、あれこれいじったりカスタマイズしたりして好みに合わせるような必要のないクルマだ。

使い勝手 ★★★★★★☆☆☆☆

インフォテインメント

9.0インチ画面のインフォテインメントシステムに内蔵されるのは、デジタルラジオとBluetooth接続のみ。同等装備のRAV4 PHEVや、同じ価格帯の競合モデルと異なり、アクロスにナビゲーションシステムは標準装備されない。

OSは、現行のトヨタ車に乗ったことがあれば操作法がわかるはず。グラフィックの洗練度がやや劣るのは、驚くには値しない。画面の外側にはナビゲーションマップのショートカットボタンが残されているが、押しても「利用できません」とのメッセージが出るだけなのは、腹立たしく感じるところだ。

もっとも、Android AutoとApple CarPlayは標準搭載なので、対応するスマートフォンを持っていれば、機能的に決定的な不足を覚えることはないだろう。

オーディオはまさに必要十分といったところ。驚くほど鮮明な音質ではないが、それなりにパワフルで、ボリュームを上げても音の歪みはない。

燈火類

LEDプロジェクターヘッドライトを標準装備し、デイタイムライトもLED。自動レベリングや、駐車時の時差消灯機能も備えている。

ステアリングとペダル

テスター陣は前寄りのポジションを取ったが、ペダル配置は全員が快適に運転できるものだった。やや左寄りのブレーキペダルは、左足ブレーキがやりやすい。ステアリングコラムの調整幅は広い。

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

アクロスを軽く走らせてみると、快い実直さとシンプルさを見出せる。背が高いクロスオーバーモデルの多くとは異なり、ミラクルな運動性を発揮したり、そのサイズや重さ、またSUV的なところを感じさせないようなクルマではない。

むしろ、その大きさや四駆らしいフォルムが、快適性や安心感をもたらす。これに近いものを挙げるなら、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツだろうか。

ロックトウロック2.6回転のステアリングは、英国生まれのライバルよりスローだが、レスポンスの正確さや、心地よくなめらかなほどよい手応えの一貫性で劣るものではない。

かなりボッテリしたステアリングで、路面のフィールを十分に伝えてはくれない。しかし、コーナーへ入ると、舵角に応じて抵抗感が高まり、ロールはするがコントロールが効いている。

シャシーが十分なスタビリティを保ち、十分なメカニカルグリップを何不自由なく生み出しそうなことはわかり、通したい走行ラインをキープできる。

もちろん、これは重いクルマだと感じられる。ボディのロールはそれを示しており、うねりの強い直線を飛ばしていると上下動も発生しがちだ。コーナリングに入れば、前輪が重量を支え、アンダーステアに対して抵抗する能力にも限界がある。

しかし、喜ばしいことに、そのリミットはかなり高く、思い切りハードに走らせないとそのレベルには達しない。そして、シンプルさと実用本位ぶりが最優先されたこのクルマのキャラクターを踏まえると、ドライバーが日常的に限界域を試そうという気になるとは思えない。その問題をあえて槍玉にあげる必要はないだろう。

サスペンションのトラベルは、まず不足を感じることのないもので、コーナリング中のインパクトはほぼ余さずに吸収してくれる。ただし、いつでもバンプをまったく感じさせないというわけではない。

というわけで、ドライバーを夢中にさせるような走りや、超繊細なアジャスト性でほかに勝るものではない。しかし、ドライバーの入力に対するレスポンスは、期待通り正確で、操縦系はオイルのようになめらかで直感的に仕立てられている。

運転してみると、これは好ましいバランスに仕上がっているクルマだ。日々付き合っていくのは、非常にイージーだといえる。

快適性/静粛性

運転席の電動調整できる範囲は、全体的にみてかなりいい。しかし、シートそのものに関しては、もも裏のサポートがちょっと足りないというテスターもいた。

座面は高めで、前方の視界は路面を見下ろすようで、後方視界もまずまず悪くない。大ぶりで見つけやすい操作系やスイッチ類は、ちょうど手が届く範囲に配置されている。

EVモードでは、走行中でも室内がほどよく静かで、エンジンがかかっても低回転であれば静粛性は損なわれない。113km/h走行時にも、2.5Lユニットの音はほとんど聞こえてこないのだが、ロードノイズや風切り音は大きくなってくる。このときの室内騒音は67dBで、昨年テストしたディスカバリー・スポーツのディーゼルモデルを1dB上回る。

乗り心地にはよいところも悪いところも見受けられるが、不快さはまったくない。市街地の速度域では、轍や路面のひび割れを乗り越えるとゴツゴツ感やバタバタ感がこうるさいものの、不快感やぎこちなさを責め立てたくなるほどではない。

速度が上がると、上下動が増し、時折ゆらめくプライマリーライドが、車重の大きさを感じさせるようになる。それでも、このたまに発生する波打ちは、しなやかさによって和らげられる。

結局のところアクロスは、アンジュレーションのある速度域の高いA級道路や高速道路を快適に走れるクルマとなっている。たとえ、この価格帯で最高の乗り心地や洗練性を備えていないとしてもだ。

購入と維持 ★★★★★★★★★☆

アクロスは、はっきりいってしまえば、スズキの、下手をしたらトヨタのSUVにさえ目もくれなかったようなユーザーが対象になる。ローンを組んだら、月々の支払い額はアウディやBMW、メルセデス・ベンツ、レクサスやその他のプレミアムブランドの物件を買えるのだ。

もっとも、その予算があって、プレミアム系ではなくアクロスを選ぶユーザーが、そう多いとは思えない。もしも選ぶ理由があるとすれば、税制上のメリットだろう。カンパニーカーとするなら、コストをボルボXC60 T6リチャージPHEVの半分以下に抑えられる。

合理的なカンパニーカーのドライバーで、育ち盛りの子供でもいれば、アクロスは魅力的なクルマに映るだろう。プライベートで購入するには説得力がいまひとつ足りないものの、それでも最新の中型ガソリンハイブリッドSUVが、外部充電しなくても17.0km/L走れば、十分経済的だろう。しかも、コンスタントに充電できる環境があれば、EV走行の航続距離も十分にあるので、使い方によっては100.0km/Lにも届く可能性がある。

ただし、懸念材料もある。RAV4 PHEVの車載充電器は6.6kWまで対応するが、アクロスのそれは3.3kWが上限なのだ。そのため、フルチャージまでの所要時間は、トヨタ版が2時間半ほどで済むところ、スズキ版は5時間半ほどかかってしまう。

スペック

レイアウト

プラットフォームはトヨタのTNGA−Kで、動力の大部分はフロントに積まれる。横置きされる2.5L直4ガソリンエンジンは、182psの電気モーターとともに、プラネタリーギアを介して前輪を駆動。後輪は55psのモーターでダイレクトに駆動する電気式4WDで、機械式4WDの設定はない。

サスペンションは四輪独立で、フロントがストラット、リアがダブルウィッシュボーン。前後重量配分は、実測で57:43だった。

エンジン

駆動方式:フロント横置き前輪駆動/電気式後輪駆動
形式:直列4気筒2487cc、アトキンソンサイクル、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ87.5×103.5mm
圧縮比:14.0:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:185ps/6000rpm
最大トルク:23.1kg-m/3200-3700rpm
モーター最高出力:182ps(フロント)/55ps(リア)
モーター最大トルク:27.5kg-m(フロント)/12.3kg-m(リア)
システム総合出力:306ps/6000rpm
馬力荷重比:164ps/t
エンジン比出力:74ps/L

ボディ/シャシー

全長:4635mm
ホイールベース:2690mm
オーバーハング(前):923mm
オーバーハング(後):983mm

全幅(ミラー含む):2160mm
全幅(両ドア開き):3620mm

全高:1690mm
全高:(テールゲート開き):2160mm

足元長さ(前席):最大1070mm
足元長さ(後席):720mm
座面~天井(前席):最大1000mm
座面~天井(後席):1000mm

積載容量:490~1168L

構造:スティールモノコック
車両重量:1865kg(公称値)/1966kg(実測値)
抗力係数:0.32
ホイール前・後:7.5Jx19
タイヤ前・後:235/55 R19 101V
ヨコハマ・エイビッドGTブルーアース
スペアタイヤ:スペースセーバー

変速機

形式:遊星歯車式動力分割機構(フロント)/ダイレクト駆動(リア) 
最終減速比:3.41:1(フロント)/10.8:1(リア)

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:17.0km/L
ツーリング:15.7km/L
動力性能計測時:7.4km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):-km/L
中速(郊外):-km/L
高速(高速道路):-km/L
超高速:-km/L
混合:100.0km/L

燃料タンク容量:55L
駆動用バッテリー:リチウムイオンバッテリー、18.1kWh(グロス値)
EV走行可能距離:77km
エンジン走行可能距離:864km
現実的な航続距離:941km
CO2排出量:22g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、スタビライザー

ステアリング

形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.6回転
最小回転直径:10.4m

ブレーキ

前:340mm通気冷却式ディスク
後:317mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS、EBA、EBD
ハンドブレーキ:電動、スイッチ(センターコンソール右側に設置)

静粛性

アイドリング:−dB
全開時(145km/h):75dB
48km/h走行時:56dB
80km/h走行時:61dB
113km/h走行時:67dB

安全装備

VSC/ABS/EBD/BA/TPMS/PCS/RSS/LDW/BSM
Euro N CAP:5つ星(トヨタRAV4ハイブリッド、左ハンドル、2019年)
乗員保護性能:成人93%/子供87%
交通弱者保護性能:85%
安全補助装置性能:77%

発進加速

テスト条件:湿潤路面/気温10℃
0-30マイル/時(48km/h):2.4秒
0-40(64):3.5秒
0-50(80):4.8秒
0-60(97):6.4秒
0-70(113):8.3秒
0-80(129):10.5秒
0-90(145):13.1秒
0-100(161):16.4秒
0-402m発進加速:15.0秒(到達速度:153.0km/h)
0-1000m発進加速:27.3秒(到達速度:189.4km/h)

ライバルの発進加速ライバルの発進加速
レンジローバー・イヴォークP300e RダイナミックHSE(2021年)
テスト条件:湿潤路面/気温2℃
0-30マイル/時(48km/h):2.9秒
0-40(64):3.9秒
0-50(80):5.3秒
0-60(97):6.8秒
0-70(113):8.8秒
0-80(129):11.2秒
0-90(145):16.1秒
0-100(161):24.4秒
0-402m発進加速:15.5秒(到達速度:143.4km/h)
0-1000m発進加速:29.2秒(到達速度:167.7km/h)

キックダウン加速

20-40mph(32-64km/h):1.9秒

30-50(48-80):2.4秒

40-60(64-97):3.0秒

50-70(80-113):3.6秒

60-80(97-129):4.2秒

70-90(113-145):5.0秒

80-100(129-161):6.0秒

90-110(145-177):7.6秒

制動距離

テスト条件:湿潤路面/気温10℃
30-0マイル/時(48km/h):9.9m
50-0マイル/時(64km/h):26.7m
70-0マイル/時(80km/h):51.2m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.12秒

ライバルの制動距離レンジローバー・イヴォークP300e RダイナミックHSE(2021年)
テスト条件:湿潤路面/気温2℃
30-0マイル/時(48km/h):11.4m
50-0マイル/時(64km/h):31.1m
70-0マイル/時(80km/h):60.0m

結論 ★★★★★★★★★☆

スズキ・アクロスは、トヨタ RAV4 PHEVのスタイリングを多少変えただけのバッジエンジニアリングモデルだ。しかし、その基礎が素晴らしく強固だ。

スズキ初のプラグインハイブリッドは、クラストップレベルの航続距離を謳うばかりでなく、電力の自律性にも優れているというのがみごとだ。

ハンドリングは熟成された、予測しやすく、安心感のあるものだ。リアルな走行状況でのパフォーマンスは、どのモードを選んでも、地味ながら優れている。

しかも、プラグインのガソリンハイブリッドパワートレインは、駆動用バッテリーを使い果たしてもかなり効率のいいところを見せてくれる。

今回のテストを通じて、数値化できる客観的な指標でいえば、アクロスは抜きんでたクルマだという以外にないだろう。

ただし、4万5599ポンド(約638万円)という価格は、すんなり受け入れられるものではない。ランドローバー・ディスカバリー・スポーツやBMW X3のPHEVバージョンでも、これよりずっと高価だというわけではないし、商品力やリセールバリューでは上を行く。

しかし、感覚的なものより、デイリーユースでの実用性能を重視するなら、覚えておいてほしい。アクロスは、これまでにテストした電動化SUVの大半より優れている。

担当テスターのアドバイス

サイモン・デイヴィスプラグインハイブリッドの価値には懐疑的だが、このクルマは存分に効果を発揮しているように思える。充電環境が整っていて、短距離移動がメインなら、給油の機会は滅多にないはずだ。

マット・ソーンダース徹底的に練り上げられ、堂々と中流市場を目指した、使いやすいファミリーカーという印象だ。また、妥協がないというのがなによりすばらしい。価格が高いのは確かだが、ほぼどんなユーザーの期待にも応えるであろうクルマだ。

オプション追加のアドバイス

フル装備状態で販売されるアクロスなので、もっとも大きな選択肢はボディカラーということになる。ディーラーオプションとしては、バンパーの保護コーティングやラバーのフロアマットが用意されている。

改善してほしいポイント

・ハードに加速した際のエンジンノイズは、もっと抑えてもらいたい。
・ブレーキペダルのフィールは、もうすこし一定したものにできるはずだ。
・価格に見合った魅力的なキャビンがほしいところだ。

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