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【リムジンで活きるPHEVのメリット】アウディA8 L 60 TFSIe 英国試乗

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【リムジンで活きるPHEVのメリット】アウディA8 L 60 TFSIe 英国試乗

メルセデス・ベンツとBMWのリムジンに対抗

text:Neil Winn(ニール・ウィン)

【画像】アウディA8とドイツ製ライバル 全78枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


電動化技術の導入が幅広いモデルで進むが、最もそのメリットを享受できそうなのが、このアウディA8。高級なリムジンとして求められる部分で、通常のガソリンやディーゼルエンジンのクルマより優れているのだから。

リアシートの出色の洗練性や滑らかな乗り心地だけでなく、オーナーが嬉しい、控えめなランニングコストや環境負荷も得ている。PHEVだからこそ、だ。

ドイツブランドのBMWとメルセデス・ベンツは、PHEV版のリムジンを数年前から提供してきた。アウディの拠点、インゴルシュタットの技術者にとっては、目標となるモデルだったはず。

そしてアウディが持つ最新のハイブリッド技術を、A8へ投入する機会がやって来た。コンベンショナルな3.0L V6ターボ・ガソリンエンジンは、339psを発生。そこへ、127psの電気モーターが組み合わされている。

システム総合での最高出力は449psで、8速ATを介して四輪を駆動。大きなボディだが、パフォーマンスは充分に力強い。0-100km/h加速に要する時間は、PHEVのメルセデス・ベンツS560eやBMW 745eより短い、4.9秒となる。

最高速度は249km/hでリミッターがかかる。ドイツのアウトバーンでも不足はないだろう。

一方でA8 60 TFSIeを選ぶような、都市部の移動が中心となるユーザーにとって、もっと興味深い数字が電気の力だけで走れる距離。メルセデス・ベンツSクラスは40km、BMW 7シリーズは45-49kmなのに対し、アウディA8は46kmとなっている。

バッテリーの充電量を自動的に管理

A8 60 TFSIeのバッテリー充電量に不足がなければ、多くの状況で純EVのように目的地まで移動できる。電気モーターも、一般的な状況なら、充分な力を発揮する。

電気モーターとバッテリーで到達できる最高速度は135km/h。リアシートの乗員へ、素晴らしく静穏な移動体験をもたらしてくれる。エンジンノイズや変速といった賑やかさから開放され、リラックスした雰囲気に浸れるだろう。

バッテリーの充電量が少なくなるか、135km/hを超えるとV6ガソリンエンジンが始動。電気モーターからのバトンタッチはシームレスで、ほとんど感知できない。

風切り音なども聞こえず、加速感はどこか実体感がない。まるでエアバスのジェット機が離陸体制にあるように、A8 60 TFSIeは速度を増していく。

ただし、軽くはないバッテリーを搭載するため、A8 60 TFSIeはドライバーズカーではない。コーナーでは、エアサスペンションはボディロールを許してしまう。

ステアリングの操舵感は正確なものの、感触には乏しい。ブレーキの制動力も、ペダル操作に対しての一貫性に、やや欠ける場合がある。運転手のような技術を持つ人が、運転手のように走らせるクルマだ。

実際に運転すると、新たな発見もある。A8 60 TFSIeはナビゲーションのデータをもとに、バッテリーの管理を自動的に行なってくれる。目的地が近い場合は電気モーターの支援が積極的になり、距離が遠い場合はガソリンエンジンが活発にクルマを進める。

目前に制限速度の低い区間がある場合には、アクセルペダルに小さな振動を加え、回生ブレーキの利用を促してくれる。回生システムは、コースティング時に最大で25kW、減速時に80kWのエネルギーを回収し、バッテリーの充電量を増やせる。

PHEVで得られるメリットが際立つ

このシステムは電気モーターでの航続距離を増やし、環境負荷を減らせるだけではない。乗員にとっても、よりスムーズな走りを味わえるメリットがある。

もっとも、アウディのフラッグシップモデルだけあって、インテリアの設えは豪奢で、後部座席の空間も広々。加減速が多少スムーズでなくても、十二分にリラックスできているはずだが。

プラグイン・ハイブリッド版のA8を選ぶべきかは、使用するシーンの中心がどこにあるか、に依存する。都市部での移動時間が大部分を占めるのなら、迷わずA8 60 TFSIeを選びたいところ。

市街地での走りは静寂そのもの。ボーズ社製のノイズキャンセリング・ヘッドフォンを付けているより静かだ。試乗時の燃費は、35.4km/Lに届くこともあった。

一方で、長距離を高速道路で移動することが多いなら、ディーゼルエンジン版の方が良いだろう。この条件では電動化技術の長所を充分に活かしきれない。

最大46kmというEVモードでの走行距離と、60g/kmという少ないCO2の排出量も魅力。英国ではコンジェスチョン・チャージと呼ばれる渋滞税も免除になり、社用車としてのランニングコストも抑えられる。

電動化技術で得られるメリットが際立つPHEV版A8。この内容で不満を持つユーザーは、多くはいないはずだ。

アウディA8L 60 TFSIe(英国仕様)のスペック

価格:8万8195ポンド(1190万円)
全長:5302mm
全幅:1945mm
全高:1488mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.9秒
燃費:38.4km/L
CO2排出量:60g/km
乾燥重量:2330kg
パワートレイン:V型6気筒2995ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:449ps(システム総合)
最大トルク:71.2(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック

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みんなのコメント

2件
  • 試乗と書いてあり、車がPHEVであるなら、どれくらいの距離を、どのように走ったか、その時の実燃費の説明くらいは欲しい。せめて片道300km程度は走ってほしい(途中充電無し)。
    カタログ値を書かれても、あっそう。
  • 先代A8はまさかのFFのみ設定だったが今回はどうなの?
    まさかのリアはモーター駆動のみのE-fourですか?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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