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【手頃な価格でも整備費用は侮れない】BMW X5 英国版中古車ガイド E70型

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【手頃な価格でも整備費用は侮れない】BMW X5 英国版中古車ガイド E70型

手頃な価格が今でも人気の理由

text:John Evans(ジョン・エバンス)

【画像】2代目から4代目 BMW X5 全62枚

translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)


不具合を起こしやすいポイントを見れば、2007年に発表された第2世代のX5には注意が必要だと良く分かる。タイミングチェーン、吸気マニホールドのバタフライバルブ、エアサスペンションなど、ウイークポイントを挙げだすときりがない。

BMWを専門に扱うショップでは、誰もがE70型X5を良くは話さない。サスペンションや駆動系統が中心だが、電気系統やエンジンのトラブルも少なくない。

なぜ欲しいと思う人がいるのか。簡単。235psを発生するX5 30dが、英国なら4000ポンド(54万円)程度で手に入るから。モンスターSUVのX5 Mとなると、2万4000ポンド(324万円)まで跳ね上がるが。

ディーゼルエンジンを搭載したM50dもある。トリプルターボの3.0Lエンジンは、380psと75.3kg-mを叩き出す。トルクでいえば、ガソリン版のX5 Mより6.2kg-mも太い。BMW認定中古車の場合、英国では2013年式で8万8500kmの走行距離のクルマが、2万1250ポンド(286万円)だ。

E70型に興味があるのなら、フェイスリフトを受けた後期型で、走行距離が短く整備記録が整っているクルマを選ぶべきだろう。リスクも減らせる。

2代目へと進化したX5、E70型は、より広い車内と洗練された技術、秀でたラグジュサリーさで、初代の成功をさらに伸ばしたモデル。オプションで3列目シートを選ぶこともできた。

ガソリンエンジンとディーゼルエンジンが選べ、英国では235psの3.0Lディーゼルが最も人気だった。トランスミッションはATのみ。発売から1年後、286psを発揮するツインターボ版も追加されている。

LCIの前か後かの2つに分かれるX5

後期モデルでは286ps版はxドライブ35dと呼ばれ、235ps版はxドライブ30dへと改められた。ガソリンエンジンは6気筒の3.0Lと、8気筒の4.8Lの2択。2009年には最強版の4.4LツインターボV8を搭載したX5 Mが登場するが、販売台数は少ない。

ガソリンエンジンの方が、不具合は少ない傾向がある。走行距離が少ないなら、燃費は悪くても、ディーゼルよりも有力候補にして良い。

フェイスリフトを受けた後期型は2010年に登場。BMW流に呼べば、LCI(ライフ・サイクル・インパルス)。X5は、LCI前か後かの2つに分けられる。

見た目でわかりやすい違いは、フロントバンパーとヘッドライトの形状。インフォテインメント・システムも新しくなっている。

エンジンは、ユーロ5基準に合わせて環境性能が高められつつ、最高出力も向上。グレード名の数字も振り直されている。

例えばガソリン版では、355psだった48iは、407psの50iへと改められた。E70型のモデル末期となる2012年には、近年のMパフォーマンス仕様の始まりといえる、M50dが登場している。

X5は装備が充実していた。エアコンはもちろん、クルーズコントロールにレザー内装、パーキングセンサー、オートライトとワイパーなど。Mスポーツ仕様の方が多い。

パノラミックガラスルーフを備えているクルマも少なくない。他の中古車でも同じだが、すべての機能が正常に動くかは、確認しておきたい。

不具合を起こしやすいポイント

エンジン

冷間時はタイミングチェーンからのカタカタという異音に注意する。インジェクターの不良で、始動性が悪かったり、回転が荒くなる場合がある。排気ガスが白い場合、ターボアクチュエーターの故障が疑われる。ベアリングからの異音にも注意。

後期型のディーゼルでは、距離を重ねるとDPF(パティキュレート・フィルター)の不具合が生じやすい。マニフォールドを溶かす恐れもある。修理は安くない。初期のディーゼルは、グロープラグが詰まりがち。交換には、吸気マニフォールドを外す必要がある。

全般にシリンダーヘッドやインジェクター周りは、故障しやすい。

トランスミッション

初期のクルマでは、フロントのプロペラシャフトにリコールが出ている。対応済みか確認したい。ユニバーサル・ジョイントを壊し、エンジン下部を叩いてしまう。

定期的なソフトウエアのアップデートは有効。初期の6速ATの場合、トルクコンバーターやメカトロニック、クラッチパックなどが傷みやすい。

サスペンション

ブッシュ類は14万5000kmほどで交換が必要。リアサスペンションのエアバッグの状態を確認する。エアポンプも正常か見ておきたい。

ブレーキとホイール

電子サイドブレーキが正常かを確認する。まれにオンの状態でロックされてしまう。ランフラットタイヤはホイールへの脱着が難しい。ブレーキもタイヤも、安い出費ではない。

ボディ

オフロード走行やトレーラーの牽引によるダメージを確認する。フォグライトの曇りも見ておきたい。

インテリア

すべての警告灯が付き、走行時は消えることを確認する。パノラミックガラスルーフの不調も一般的。事前に動くかどうか、確かめたい。

専門家の意見を聞いてみる

ジャスティン グローブナー・ガレージ社代表

「E70型のX5は、信頼性は高くありませんが、価格が安いので人気があります。2万ポンド(270万)を超えるクルマもありますが、多くは4000ポンド(54万円)から1万ポンド(135万円)。修理費用は別ですが」

「お値打ちに思えますが、修理には多くの費用が必要です。今は大丈夫でも、後々には発生することも少なくありません」

「例えばエアサス。サスペンションのエアバッグは空気漏れしやすく、エアポンプが機能している限りは大丈夫そうに見えます。ですが追々エアポンプもだめになると、修理費用は2倍に膨らみます。注意した方が良いですよ」

知っておくべきこと

初期のディーゼルエンジンでは、吸気マニフォールドのバタフライバルブが壊れることがある。改良版の部品でも壊れる。10万kmか4年毎には交換した方が無難だ。

いくら払うべき?

4000ポンド(54万円)~8900ポンド(120万円)

2008年から2009年の、初期のクルマが中心。一部は7シーターもある。走行距離は短い方が良い。

9000ポンド(121万円)~1万999ポンド(147万円)

19万kmくらいまでの前期モデルも含まれているが、全般的に走行距離は短くなってくる。

1万1000ポンド(148万円)~1万4499ポンド(194万円)

2010年式が増えてくる。フェイスリフト後の30dや40dも出てくる。

1万4500ポンド(195万円)~1万6999ポンド(229万円)

2011年から2012年式の車両が中心。走行距離は12万kmくらいが中心。

1万7000ポンド(230万円)~2万2000ポンド(297万円)

後期モデルで、ハイスペック・グレードが選べる。走行距離は8万km以下に絞りたい。

英国で掘り出し物を発見

BMW X5 3.0d Mスポーツ xドライブ 登録:2011年 走行:8万3600km 価格:1万4699ポンド(198万円)

BMWでの完璧な整備記録が選びたくなる特徴。2オーナー車であることも、しっかり走るクルマの証。タイヤの状態も良いようだ。パノラミックガラスルーフは付いていないが、ランフラットタイヤを履く。

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