この記事をまとめると
■普通乗用車には3ナンバーと5ナンバーが存在
スカイラインにレガシィが国内人気を失うのにボディを肥大化した理由とは
■いま日本では3ナンバー車が多くなっている
■3ナンバーと5ナンバーの規格や歴史について解説
いま多くのクルマが3ナンバーになっている
登録乗用車には、普通乗用車と小型乗用車というふたつのカテゴリーが存在する。ナンバープレートの分類番号から、普通乗用車は3ナンバー車、小型乗用車は5ナンバー車と呼ばれている。小型乗用車は5のほかに7という分類番号もあるが、一般的には5ナンバー車とされている。
5ナンバー車の条件としては、全長4700mm以内、全幅1700mm以内、全高2000mm以内、そして総排気量が2000cc以内となっている。これらの条件をひとつでも超えると3ナンバー車に分類される。そのため、総排気量が2000cc以内であっても、ボディサイズが5ナンバーの条件をオーバーしていれば3ナンバー車となる。筆者の愛車となる2023年式トヨタ・カローラセダンも1500ccエンジンを搭載するものの、全幅が1745mmなので3ナンバーとなっている。
昭和のころには日本車のほとんどは5ナンバー車であった。トヨタ・クラウン、日産セドリックといった、当時の高級車であっても、ボディサイズ、排気量ともに5ナンバー車が基本となっており、上級版として2600ccや2800cc、あるいは3000ccといったエンジンを搭載し、モールなどでボディを幅広にし、バンパーを大型にした、なんちゃって3ナンバーボディサイズとなっていた。
潮目が変わったのは、1989年に3ナンバー車の自動車税の課税について、排気量のみでの区分となり、さらに排気量の細分化が行われ、とくに2000cc超3000cc以下だったのが、2000cc超から2500cc以下、2501cc超から3000cc以下となったときだ。
3ナンバー車が買いやすくなったこともあり、このタイミングで3ナンバーワイドボディ専用車が相次いで発売され、日産シーマや三菱ディアマンテといったヒットモデルが誕生した。既存モデルでも、たとえばトヨタ・クラウンでは、1987年にデビューした8代目では3ナンバーワイドボディをラインアップ、そして9代目では全車3ナンバーワイドボディとなっている。
はじめは排気量の大きい上級車から3ナンバーワイドボディ化してきたのだが、段々とその傾向が大衆車クラスにまで浸透が進み、いまではたとえばトヨタ車の乗用車全ラインアップのうち5ナンバー車は、ヤリス(GR、ヤリスクロス除く)、アクア、パッソ、ルーミー、シエンタ、カローラ・アクシオ、カローラ・フィールダー、ライズと、指で数えられるぐらいしかラインアップされていない。
衝突安全基準もクルマの規格に影響
5ナンバー車が減ってきている背景のひとつが、衝突安全基準の厳しさが増していること。日本国内の衝突安全基準はASEAN(東南アジア諸国連合) NCAPに比べても緩いといわれており、事実、前述したトヨタ車でもヤリスは欧州仕様が3ナンバー車なのに対し、日本仕様は5ナンバー車となり、そのほかの車種は国内限定もしくはほぼ国内限定モデルとなっている。スズキ・スイフトも国内仕様は5ナンバーサイズなのに対し、海外仕様は幅の広い3ナンバーサイズとなっている。つまり、世界戦略モデルとして売ろうとすると3ナンバーサイズにならざるをえない状況になっているともいえるのである。
それでも、日本国内の衝突安全基準もそれなりに厳しいものとなっている。そのなかで5ナンバーという(とくに全幅)限られたサイズのなかで衝突安全性能を高めようとすると、3ナンバー車より開発コストがかかるとも、あるメーカーのエンジニアから聞いたことがある。つまり、5ナンバーサイズにおさめるためにかかる苦労とコストは、ほかの部分で相殺せざるを得ないともいえるのだ。
欧州仕様のヤリスと国内仕様のヤリスは基本性能で結構差があるとはよく聞く話だが、日本国内でも3ナンバーサイズにしていれば、クルマの性能全体をより向上させることもできたかもしれない。ただ、パッソやルーミー、ライズはダイハツからのOEM(相手先ブランド供給)車となり、軽自動車との共用部分も多いので、開発の際のアプローチによっては話が変わることもある。
駐車場や自宅までの道路インフラの都合上、5ナンバー車でなければならないという話もあるが、筆者の自宅近くは区画整理の行き届かない細い道路が入り組んだ住宅街も多いが、アルファードなども珍しくなく、物理的に問題なければ、とくに5ナンバー車にこだわっている人ばかりという感じでもない。
筆者も30年以上カローラ・セダンを乗り継いできたので、現行モデルまでは5ナンバー車をずっと乗り続けてきたが、いざ3ナンバーとなった現行車を所有してみると、3ナンバーになったからといった使い勝手の悪さはほとんど感じることなく、むしろワイドボディとなったことにより、走行時の安定感が増したことによって確実に疲労が減ったことを感じ、暇を見ては遠乗りするようになった。
ヨーロッパの都市だって、日本並みと言えるかどうかはわからないが、市街地の道路はけっして広いとはいえないが、コンパクトカーに至るまで3ナンバー化が進んでいる。VW(フォルクスワーゲン)ポロだって、先代まで5ナンバーサイズだったが、いまでは3ナンバーサイズとなり、少し前のゴルフ並みともいえる立派なサイズとなっている。
何を優先させるべきかと言う見解の相違なのかもしれないが、日本メーカー車といっても、ASEANなど新興国専売とでもいうべきコンパクトカーは軒並み全幅の広い3ナンバーサイズになっている。全幅の広い3ナンバーのコンパクトハッチバックとなるスズキ・バレーノは、インドでは人気モデルとなっているが、日本では早々に販売終了。日本では性能よりも扱いやすいサイズ感というものがより重視されるということなのだろうか。
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みんなのコメント
…でかぶつの3ナンバーじゃ梺の住宅街で引っ掛かるのがオチ。
日本にはここ以外にも旧い住宅街の路地と言い表す方が近い道のある場所がたくさんある。
小型車や軽は必要不可欠。
擦る
離合できない
で、デメリットが何ですって?