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ポルシェ911 カレラ GTS 後輪駆動の7速MTへ試乗 ターボのサスに480ps

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ポルシェ911 カレラ GTS 後輪駆動の7速MTへ試乗 ターボのサスに480ps

ターボ譲りのサスペンション

昨年末、AUTOCARでは四輪駆動に8速PDKが組み合わされたポルシェ911 カレラ4 GTSに試乗した。年が明けた今回は、後輪駆動に7速MTが組み合わされた、より純粋なカレラ GTSを英国の公道で確かめたいと思う。

【画像】ポルシェ911 カレラ GTSとターボS 競合のハイパフォーマンス・モデルと比較 全113枚

最新の911 GT3に続くシリアスな992型の完成度を、よりピュアな構成で検証できる。近年では、911ですらMTを選ぼうというドライバーは少ないという。それでも、ポルシェは後輪駆動にこの選択肢を残してくれた。ダンケシェン。

まず、911 カレラGTSを簡単におさらいしておこう。これまでのGTSは、カレラをベースにした特別パッケージのようなモデルだった。特別に仕立てられたコンポーネントなどは基本的に装備されず、妥当な価格で訴求力のあるオプションが選べる911といえた。

しかし992型のGTSは異なる。サスペンションは入念に手が加えられた911 ターボ譲り。リアサスペンションにはヘルパースプリングが備わり、路面の起伏などで深く圧縮したときや伸長した時に、メインスプリングを支えてくれる。

鋳鉄製のブレーキディスクもターボ譲りで、カーボンセラミック・ディスクも選択できる。PASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント)として組まれるダンパーは、GTSの独自チューニングが与えられている。

カレラSより明らかに意欲的な911

大幅なダイエットを叶えるべく、ライトウエイト・パッケージも用意されている。リアシートを撤去し、918スパイダー風のカーボンファイバー製バケットシートをフロントに搭載。軽量なガラスとバッテリーが組まれる。

その結果30kgの軽量化を実現でき、MTに後輪駆動という組み合わせなら、車重は1500kgを切ることになる。四輪駆動やPDKを選ぶと、少し重くなってしまう。

エンジンもGTS仕様。3.0L水平対向6気筒ツインターボ・エンジンは、カレラSから30ps増強され、最高出力480psを得ている。増加量としては大きくないものの、500馬力に迫る数字だから、1.5tの車重には充分以上だろう。

GTSを見た目で彩ってくれるのは、専用のスポーツエグゾースト。防音材も省かれ、豊かなサウンドを車内で存分に鑑賞できるようになっている。

果たして、911 カレラGTSの完成度は圧巻。ターボより穏やかだし、GT3ほど徹底的というわけではない。それでも、身のこなしの軽いサラブレッド的な性格が一層磨かれ、カレラSより明らかに意欲的な911に仕上がっている。

路面とタイヤとの関係性をドライバーへ伝えてくれる能力では、カレラSとGT3との中間。より911の走りを理解しやすい。

エンジンの個性も濃くなっている。GTSでは6000rpmを超えたあたりから、明確にアグレッシブさが高まる。クランクスピードが上昇する感覚が伝わり、それに応じてカレラGTSのボディは力強く押し進められる。

伝統的なシュツットガルトのスポーツカー

乗り心地やステアリングの感触は、カレラSと明確な違いはないかもしれない。だが決してゼロではない。ドライバー次第では、長く乗るほどに想像以上の差を感じ取ることができるだろう。

濡れた路面でも優秀なグリップ力と操縦性の懐の深さとが融合し、より自由に911のテールを振り回すことが可能。フロント側のドライブシャフトは、必要ないと感じるかもしれない。

トランスミッションは、ストロークの短い7速MTと、シフトパドルでシャープな8速PDK、どちらが良いか悩むところ。それぞれに長所はある。だがドライバー・フォーカス度の高いカレラGTSを選ぶなら、ポルシェ謹製のMTがベターだと考える。

とはいえ、PDKのキビキビとした変速は気持良い。ミドシップのスーパーカーに並ぶ、現実世界でのスピードも得られる。

本当は911 GT3が欲しいものの、納車待ちの順番が待てない場合、後輪駆動でMTのカレラGTSを選ぶべきだろうか。GT3級の一体感やシリアスさを求めるなら、ケイマンGT4の方が近いかもしれない。しかし、その次の候補は間違いなくカレラGTSだといえる。

通常のカレラよりスパイシーな911をお探しなら、GTSより手前のカレラSと慎重に比較した方が良い。GTSはシリアス過ぎる、と感じるドライバーもいるかもしれない。

GTSならではの素晴らしく緻密な操縦性

911 カレラのエッジをシャープにした以上の、明確な違いを備えているGTS。992型のなかでも、キラリと光るポジショニングにあるといえる。

ポルシェが磨いた3.0Lフラット6ツインターボ・ユニットは、従来の仕様以上にソウルフル。秀抜な姿勢制御とシャープなステアリングとが組み合わさり、公道では素晴らしく緻密な操縦性を実現させている。

ポルシェ911で、伝統的なシュツットガルトのスポーツカーらしさを濃く味わいたいなら、軽量なGTSこそ選択するべき992型だと筆者は思う。

一方で、PSAMスポーツサスにカーボンセラミック・ブレーキ、RSスパイダー・アルミホイールを装備させたカレラSは、GTSより安価に仕上がる。実際の環境で比べるなら、GTSに迫るほど運転は楽しい。どちらにするか、一晩では決められない2択ではある。

ポルシェ911 カレラ GTS クーペ(英国仕様)のスペック

英国価格:11万1380ポンド(約1692万円)
全長:4519mm
全幅:1852mm
全高:1298mm
最高速度:310km/h
0-100km/h加速:4.1秒
燃費:9.1-9.6km/L
CO2排出量:236-249g/km
車両重量:1510kg
パワートレイン:水平対向6気筒2981ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:480ps/6500rpm
最大トルク:57.9kg-m/2300-5000rpm
ギアボックス:7速マニュアル

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