サマーブレイクを経たアルゼンチンが誇るFFツーリングカー選手権、TC2000の第6戦が8月10~11日の週末にコルドバのアウトドローモ・パルケ・シウダード・デ・リオ・クアルトで開催され、休み明けでもルノー陣営のアクシオン・エナジー・スポーツが躍動する展開に。
予選からフルーエンスGTがトップ3を独占するなか、レース1ではファクンド・アルドリゲッティが快勝を決める一方、TOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアの2台は同士討ちに散る失意の展開に。続くレース2でも、シリーズ3冠王者のリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が今季2勝目を手にしている。
ルノー陣営がビリクム初制覇。伏兵の予選初ポールから“王者の息子”が連勝を達成/TC2000第5戦
このTC2000第6戦の翌週に、同地で開催されるシルエット・フォーミュラ選手権のトップレースを含め『スピード・ウイーク』と銘打たれた週末。ブラジル武者修行を経たシリーズ復帰初年度に、未だ未勝利の続く5冠王者マティアス・ロッシ(トヨタ・カローラTC2000)にとっても、ここは「是が非でも獲りたいラウンド」だと意気込む。
「ここリオ・クアルトは、ドライブするのにもっとも美しいサーキットのひとつだ。ここ数レースでクルマは進化したし、チームの絆はとても強いと感じている。それが第6戦に全力で向かうモチベーションになっている。目標はもちろん、今季初優勝と大量のポイントを獲得することだ」と続けたカローラTC2000の117号車を操るロッシ。
「このトラックはタイムに直結する高速コーナーをどう攻略するかだけでなく、国内最長の部類に入る直線でトップスピードを稼ぐべく、クルマは最適な空力負荷を備えていなければならない。適切なセットアップを行うことが非常に重要だし、そこが挑戦になるだろう」
その言葉どおり、FP1とFP2で最速タイムを記録し好調なスタートを切ったロッシだったが、予選が始まると様相が一変。ダウンフォースを削ったか、はたまたエンジンマッピングを切り換えたかのようにスピードを増したルノー勢がセッションを席巻し、僚友アルドリゲッティや、実の息子である20歳の新鋭ティアゴ・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)らとの直接対決を制した父リオネルが、今季4回目、キャリア通算33回目のポールポジションを射止めた。
■2戦続いた“6周目”の悪夢
土曜現地17時40分から開始された20分+1ラップのレース1では、チャンピオンシップ順位に応じたシリーズ特有の“ハンディキャップ・タイムペナルティ”制度の適用により、アルドリゲッティが最上位グリッドからスタートを切ると、決勝16周でバランスの取れたマシンとプッシュ・トゥ・パスを効果的に活用。そのままカテゴリー通算2度目の優勝を達成した。
一方、序盤の6周目には重要な瞬間が発生し、TGR陣営のマルセロ・チャロッキ(トヨタ・カローラTC2000)が先輩ロッシに仕掛けると、勝利を目指してターン1でブレーキング勝負を挑んだ際に両車が接触。このアクシデントにより、カローラはともにダメージを負って走行不能に追い込まれ、とくにロッシにとっては前戦でミッショントラブルが発生したラップ数と同じ“魔の6周目”となってしまう。
明けた日曜午前11時20分開始の35分+1周でも波乱の展開は続き、スタート直後にはルノー陣営のサテライト的な立ち位置としてディレクTV・オカサ・レーシングから参戦する85号車ティアゴを筆頭に、ホンダ陣営のYPFホンダRVレーシングに所属するベルナルド・ラヴァー(ホンダ・シビックTC2000)の10号車と、シボレーで奮闘するYPFエライオン・オーロ・プロ・レーシングのダミアン・フィネンチ(シボレーYPFクルーズ)の3台がターン1でクラッシュ。とくにティアゴのルノーはタイヤバリアに激突し、ここでセーフティカーが導入される。
数周のスロー走行を経てアルドリゲッティを先頭にリスタートを迎えると、11周目にはペーニャがプッシュ・トゥ・パスの最後のショットを利用して首位奪還に成功。終盤、TGRのロッシが18番グリッドからチャンピオンの背後に意地の猛追を見せたものの、惜しくも届かず。現役王者がキャリア通算35勝目を手中に収めた。
これでペーニャが174ポイントとしてランキング2位のラヴァーに57ポイント差とした2024年のTC2000シリーズ。折り返しの第7戦は8月31~9月1日にパルケ・アウトドローモ・シウダード・デ・コンコルディアにて争われる。
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