熱風では頭を冷やせない!
記録的な猛暑は、信号待ちのライダーが熱中症で倒れた、という噂話を広げるほどに深刻です。走行風を受けるバイクは気温が多少高くても平気ですが、ライダーにとっては熱のこもった猛暑の熱風で、身体を冷やす効果が急激に衰えます。しかも、放熱を妨げるヘルメット、グローブ、ブーツ、プロテクターなどの安全装備は、涼しさに限定して考えると逆効果。信号待ちでも涼しい、ベンチレーションに頼らないライダーの猛暑対策を考えてみました。
バイクが快適と言われる理由は、走行風が身体を抜けるから。ヘルメットのベンチレーションも、この原理で頭部を冷やすわけですが、体温に近い気温の熱風では期待できません。
そこで、ライダー向けの対策として考えられるのが、冷却材グッズを利用することです。とはいえ、歩くときと同じネッククーラーで太刀打ちができるとは思えず、頭にのせて冷やす「ヘッドクーラー」を試してみることにしました。
本来は帽子の中に入れて、そのままかぶるとひんやり爽やかさを感じられるものです。帽子の中に入れられるなら、ヘルメットでも使えるのではないか、と考えたわけです。
通販サイトでは「ヘッドクール」「ヘッドマット」「アイスパッド」などの商品名で出ています。冷たくなる原理は、首にひっかけるネッククーラーと同じです。
今回試した商品は、28度以下で自然凍結し、結露しにくいので髪が濡れにくい、というところがポイントでしたが、もっとも魅かれたのは「マイナス7度の体感」というフレーズでした。これなら暑さでぼーっと判断ミスも避けられて一石二鳥です。
巨大通販サイトで四捨五入して3000円。この種のグッズは1000円を切る価格から販売されていますが、価格と効果は比例するだろうと張り込んで、すぐにポチリました。
この時点での唯一の心配は、ヘルメットに入らなかったら困る、ということだけでした。
思ったより薄い。考えたら当たり前だが、その分……
商品はポスト投函で、すぐにやってきました。最初の印象は「意外に薄い」です。箱に入った状態で1cm足らず。製品本体の厚さは5mm程度でした。交換できるヘルメットの内装材みたいな印象です。形状は花びらが開いたような状態で、頭の丸みにフィットします。厚みのせいでヘルメットがかぶれない、なんてことはありませんでした。
早速、冷凍庫に放り込んでみました。「28度以下で自然凍結」するのですが、期待も込めてがっちり凍結させて臨みます。効能がない状態では白色、冷やすと白く凍結した感じを連想させます。
試してみたのは某日午前11時。手元の温度計では気温33度の晴天でした。目的地は昼飯ついでのラーメン店。テスト走行を兼ねて都心を30分ほど走るコースを設定しました。
その結果は……ナイマス7度の体感は得られませんでした。確かにヘルメットをかぶった直後は冷たいのですが、よく考えると頭にビニール袋をのせているようなものですから、体温と熱風ですぐに温まってしまいます。私見ですが、ネッククーラーのように開放した状態の方が体感できるのかもしれません。
効果は最大12時間持続可能とありましたが、30分後の製品は、透明な液体の中に粒氷のように白く凍結が残っている状態でした。とても効果が12時間持続するとは思えませんでしたが、冷えた店内でラーメンを食べていると、ちゃんと凍結した状態に変わっていきました。
「体感」「最大」という文字を都合よく解釈したのが、失敗だったと思います。現に、28度以下で凍結しているのですから。
後日、帽子の中に入れて歩いてみました。その時の気温は32度の晴天。結果は、帽子を上からぎゅっと押すと、確かにヒンヤリします。20分ほど歩いたところ、たびたび押さえても、歩いている分だけ汗が噴き出て、その汗の行き場がなく、髪がぐっしょり濡れたのでした。
ヘッドクーラーはヘルメットでも問題なく装着できますが、猛暑対策には向いていませんでした。手近な通販サイトで簡単に解決法が見つかるほど、ライダーの猛暑対策は簡単ではない、ということかもしれません。
しかしデリバリー・ユーザーも含めて、猛暑の中でもバイクで走りたい。そこで今度は視点を変えて、通販サイトから本格的な猛暑対策グッズを探し、試してみたいと思います。
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みんなのコメント
半キャップのヘルメットなら分かるが…
勘違いを生むような記事は、どうか…と思います。